不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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真・最終章 七魔将編

感情

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「ば、馬鹿な……不死身、なのか?」
「落ち着きなさい、ナオちゃん!!不死身の生物なんているはずがないわ!!」
「ふっ……それはどうかな?」


怪我を負っても影で覆い込む事で元の状態へと戻った兵士を見てナオは顔色を青ざめるが、アイラはすぐに彼女の言葉を否定する。しかし、如何に否定しようとブラクに傷を負わせても怪我は瞬時に塞がれてしまう。

本来であれば影魔法は強い光に弱いため、白炎を纏うアイラの攻撃は有効的なはずだった。だが、兵士に憑依したブラクの「影」は攻撃を受ける際に攻撃箇所の影を引かせる事でアイラの攻撃を受ける。当然だが死骸は傷つく事になるが、いくら傷つけられようと影で怪我をした箇所を覆い込めば元通りになる。


(あの影を何とかしないと……それなら!!)


アイラは兵士ブラクに向けて接近すると、彼女は右足を高速に繰り出して目にも止まらぬ速さで連撃を繰り出す。先ほどは威力を重視ししていたが、今回は連続攻撃に意識を集中させて攻撃を繰り返す。


「連脚!!」
「ぐううっ!?」
「や、やったか!?」


高速に繰り出される足技に対して兵士の身体に衝撃が走り、止めとばかりにアイラは渾身の蹴りを食らわせると兵士の肉体は後ろに吹き飛ぶ。だが、この時に兵士は両腕でアイラの蹴りを受け止め、威力を最小限に抑えた事でどうにか踏み止まる。


「ふふふっ……今のは中々の攻撃だったぞ」
「そ、そんな馬鹿な!?あれだけの攻撃を受けて何故……」
「いいえ……全部、受け流されてしまったわ」


現役を引退したとはいえ、巨人族をも打ち倒せる程の打撃力を誇るアイラの攻撃を兵士が受けて平気な事にナオは戸惑う。しかし、攻撃を繰り出した側のアイラは先ほどの自分の攻撃が全て防がれていた事に気付いていた。

信じがたい事にブラクはアイラの攻撃を全て受け流し、最後の攻撃も防御する事で最小限の損傷に抑えていた。それでも肉体の方は怪我を負っただろうが、影で覆い込めばどれほどの怪我を負おうと関係ない。


「人間にしては随分と強いな……だが、その程度の攻撃速度ではこの俺には通じんぞ」
「ば、馬鹿な……どうして!?」
「……さっき、攻撃を仕掛けた時に確かに骨が折れる感触はあったわ。だけど、すぐにあの影が腕を包み込んで元に元してしまう。いいえ、無理やりに元の形に維持すると言った方がいいかしら」
「も、元の形?」


攻撃を仕掛けたアイラはブラクに攻撃が通じない理由を察し、彼は先ほどのアイラの「連脚」に対して全ての攻撃を受ける時は影を解除して生身の肉体で受けていた。それでいながら攻撃を受けた直後に損傷した箇所は影で包み込み、次の攻撃を生身で受けてはまた影で損傷箇所を塞ぐ。これを繰り返してアイラの攻撃を受け切った。

魔鎧術の応用でアイラは拳や足に白炎を纏わせて攻撃する事ができるが、本来ならばブラクにとっては相性が悪いはずの彼女の攻撃もブラクは兵士の肉体を利用して防ぎきる。どれだけ兵士の肉体を傷つけようと、本体である影その物に攻撃を加えなければ彼を倒す事はできない。


(私の攻撃を全て受け流すなんて……いくら何でも反応が速過ぎる)


ここでアイラが疑問に抱いたのは兵士の反応速度であり、アイラの連続攻撃ですらも兵士は全て対応して受け切った。それでもアイラの攻撃で兵士の肉体はかなりの損傷を負っているはずだが、元々死体である兵士はいくら肉体を傷つけられようと死ぬ事はない。

しかし、ここでアイラが気になったのは死体を操っているブラクの異常なまでの反応速度だった。ブラクはアイラの攻撃を全て見極めてから攻撃を受ける箇所の影を操作して防いでいるとしか考えられず、その反応力は一流の戦士や格闘家にも匹敵する。仮に現役の格闘家であってもアイラの攻撃速度に反応できる人間は限られているはずだが、ブラクの場合は反応力が不自然なまでに素早い。


(この男、まさか……人間じゃない?)


アイラは兵士の姿を見て改めて不気味さを覚え、自分が兵士を操るブラクに対して恐怖を抱いた事を自覚する。そんな彼女の感情を読み取ったかのようにブラクは兵士の肉体を通して語り掛ける。


「貴様、恐怖を感じたな?この俺が怖いか?」
「なっ……戯言を!!」
「誤魔化しても無駄だ。この俺はことができる」
「感情……だと!?」


感情を読めるというブラクの言葉は何故か嘘とは思えず、アイラもナオも表情を青ざめさせる。ブラクは人の感情を読み取る事で相手がどのように行動するのか先読みできる事を明かした。


「どれほど優れた戦士であろうと、俺は感情を読み取って対処ができる。影魔法を使用すればどれほど軟弱な人間の身体であろうと強制的に操作して対応できるからな」
「まさか……今までの攻撃を防ぐ事ができたのはそういう事だったのね」


兵士の肉体に宿ったブラクは影魔法で無理やりに肉体を操作する事で、アイラ程の実力者の攻撃すらもいなす程の力を引き出す事ができた。彼が望めば影魔法は兵士の肉体を強制的に動かし、その行動で兵士の肉体には大きな負荷が掛かるが、元々死体という事もあっていくら負荷を与えようと既に死んでいる人間ならば関係はない。
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