不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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真・最終章 七魔将編

剣姫復活

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「そろそろ奴が来る頃だからな……お前は邪魔だ、死ね」
「くっ!?」
「アイラさん!!」


何かを感じ取ったようにブラクは玉座の間の扉へ視線を向けると、改めてアイラに対して向き合う。アイラは自分の攻撃が通じないブラクにどのように対処するべきか悩むが、ここでアイラはある方法を思いつく。


(打撃が通じないのであれば……あれなら倒せるかもしれない)


アイラは一か八かの賭けになるがブラクを倒すために拳から掌底へと切り替え、再び彼の元へ突っ込む。またもや自分に向けて打撃を喰らわせるつもりなのかとブラクは鼻で笑う。


「無駄だと言っているのが聞こえないのか?」
「はああああっ!!」
「アイラさん!?」


走っている最中にアイラは玉座の魔にて倒れている人間に視線を向けると、その内の兵士が装備していた剣を掴み取る。この行動にブラクは驚愕の表情を浮かべ、一方でアイラは兵士から回収した剣を引き抜く。

彼女は走りながらも手元に魔力を集中させ、魔刀術を発動させて剣全体に白炎が包み込む。武器を手にしたアイラに対してブラクは焦った表情を浮かべ、格闘家だと思い込んでいたばかりにアイラの意表を突いた行動にブラクは戸惑う。


「馬鹿な!!貴様、剣まで……!?」
「やああっ!!」


魔刀術を発動させた剣をブラクに目掛けてアイラは振り下ろし、その一撃は見事にブラクの身体を切断した。アイラが先ほど拳から掌底へ切り替えたのは剣を掴み取るためであり、剣の一撃ならばブラクが攻撃を受ける際に影を別の箇所に移動しようと、肉体その物を切断すれば損傷は与えられる。

これまでは打撃を受けた時は肉体を痛めた程度で済んでいたが、アイラの剣の一撃によってブラクの肉体は真っ二つに切り裂かれ、二つに肉体が分断された事で影も両断される。この際に右半身の影だけは身体に纏わりつき、左半身の影は消えてなくなってしまう。


「っ――!?」
「剣舞!!」


身体を真っ二つに切り裂かれた際にブラクは苦悶の表情を浮かべるが、更にアイラは剣を舞うように振りかざしてブラクの肉体を幾度も切り裂く。斬られる度にブラクの肉体から闇属性の魔力が噴き出し、最後は首だけの状態になったブラクにアイラは剣を突き刺す。


「これで終わりよ!!」


頭部ごとアイラは玉座の魔の柱に目掛けて剣を突き刺すと、串刺しになったブラクの頭部から黒煙が噴き出す。この黒煙こそ兵士の死体に憑依したブラクの「影」その物であり、遂にアイラの白炎の魔刀術によって浄化する事に成功した。


「はあっ、はあっ……」
「アイラさん!!大丈夫ですか!?」
「え、ええっ……少し、魔力を使いすぎたわね」


アイラはブラクを倒す事に成功すると、彼女は胸元を抑えて苦笑いを浮かべる。魔術師ではない彼女が魔鎧術や魔刀術を多用する事は身体に大きな負担が掛かり、慌ててナオはアイラに肩を貸す。


「ナオちゃんはもう平気なの……?」
「は、はい……身体も自由に動けるようになってきました。他の者たちもどうやら動けるようになってきています」
「う、ううっ……」
「申し訳ございません、女王陛下……」


ブラクの闇属性の魔力の影響で倒れていた兵士や家臣達も身体の自由を取り戻し、どうやら体内に入り込んでいた闇属性の魔力が抜けて体調が回復したらしい。それもこれもブラクの分身を倒したアイラのお陰であり、彼女がいなければこの場の全員が死んでいた可能性もある。

しかし、兵士の死体に紛れてブラクの分身が乗り込んできた事に対してナオは嫌な予感が消えず、最後に彼が死ぬ前に告げた言葉が気になっていた。ブラクはまるでこの玉座の間に誰かが迫っているかのような発言を残した事でナオはすぐに警戒態勢を敷くように命じた。


「まだ敵が城内に残っている可能性がある!!動ける者はすぐに警戒態勢へ入れ!!」
「は、はいっ!!」
「アイラさんはゆっくりと休んでください、もう大丈夫ですからね」
「そう?ならお言葉に甘えて……」
「急報!!急報です!!」


ナオが指示を出して玉座の間の家臣達が動き出そうとした瞬間、玉座の間の扉が開かれて慌てた様子の兵士が駆けつけてくる。今度は操られた兵士ではなく、先ほど街の調査に派遣させた本物の兵士が戻って来たらしい。


「女王陛下、街中に奴がまた現れました!!」
「奴?あの蜥蜴男か?」
「はっ!!しかも今回は様子がおかしいとの事です!!今までとは姿形が多少異なり、全身が赤く染まって口から火竜のように炎の塊を放つとか……」
「火竜だと?どういう意味だ?」
「わ、分かりません。私も報告を受けただけで詳細までは……」


兵士の報告を受けてもナオは疑問を抱き、またもや七魔将のガイアが街中に現れて暴れている事は見当がついていた。しかし、ガイアが現れるのとほぼ同時に城内にブラクが現れた事からナオは七魔将が本格的に動き出した事を勘付く。
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