1,937 / 2,091
蛇足編
砂船の旅
しおりを挟む
――砂漠都市での事件から数日後、レナ達は砂船に乗って砂漠を横断していた。偶然にも再会したハルナも合流してレナ達は砂漠の旅を楽しむ。
「わあっ!!凄い凄い!!前に乗った船より凄く早い!!」
「私達が乗っていたのは小型船でしたが、こちらの方が断然に早いのですね」
「うえ~……船酔いした」
「砂丘を乗り越える事が多いから普通の海よりも揺れが激しいらしいからね」
甲板にてティナは興奮した様子で外の様子を眺め、ハルナは彼女の隣で気持ち悪そうにへたり込む。船に弱いのかハルナは砂船に乗った事を後悔するが、彼女は放っておくと何を仕出かすか分からないのでレナは旅に同行させた。
「コトミン達は大丈夫かな?そろそろ戻った方がいいかもしれないけど……」
「え~もう少し楽しもうよ~」
「シズネ様もいらっしゃるのですから危険な目に遭う事はないはずです」
「ううっ……駄目だ、気分悪いから部屋で寝てる」
ハルナは船酔いに耐え切れずにレナ達が借りた部屋へ向かおうとするが、その途中で彼女は他の乗船客に絡まれてしまう。
「おっと、姉ちゃん随分と気持ちが悪そうだな」
「おじさん達の部屋に寄っていくかい?船酔いに聞くいい薬があるぜ」
「ひひっ……まだガキのようだがいい身体をしてるじゃねえか」
「…………」
「あ、ちょっ……」
ハルナに絡んできたのは獣人族の男達であり、恐らくは傭兵だと思われるが彼等はハルナの胸を見て下衆な笑みを浮かべる。彼女の身体が目当てなのは明らかであり、自分達の部屋へ連れて行こうとするがハルナは苛ついた様子で睨みつけた。
「……消えろ」
「ひっ!?」
「な、何だこいつ……」
「やばいぞ、逃げろ!!」
睨まれた瞬間に傭兵達は異様な殺気を感じ取り、まるで巨大な獣と相対したような感覚を抱く。獣人族は人間よりも生存本能が優れているのでハルナの殺気を感じただけで獣人族の男達は格の違いを思い知り、慌てて道を開いた。
気分が悪そうにハルナは身体をふらつかせながらも客室へ向かい、その様子を傭兵達は安堵した様子で見送る。もしもハルナが船酔いしていなければ容赦なく彼等は黒焦げにされていただろう。
「な、何だか知らないがやばかったな」
「くそっ、良い女を見つけたと思ったのに」
「ま、まあいいだろ。それよりもあっちの方にもいい女がいるぞ」
傭兵達は今度は甲板にいるティナとリンダに視線を向け、ハルナから彼女達に狙いを切り替えて近付こうとしてきた。だが、そんな彼等の前にレナが立ちはだかる。
「すいません、この娘達は俺の女なんで近づかないでくれますか?」
「あん?なんだこのガキ……」
「おいおい、お前みたいなガキがあんな美女二人と付き合ってるだと?」
「ふざけた野郎だ、砂海に叩き落すぞ!!」
自分達の前に立ちはだかるレナに傭兵達は怒りを露わにするが、そんな彼等に対してレナはひと睨みすると威嚇の技能を発動させた。
「そんな怖い事を言わないでくださいよ。ここは穏便に……ね?」
「「「ひいっ!?」」」
「え?何々?」
「ティナ様、こちらへ……」
レナの威嚇を受けた傭兵達はハルナに睨みつけられた以上の恐怖を抱き、悲鳴を聞いて不思議に思ったティナが振り返るが、事情を察したリンダが彼女を安全な場所まで避難させる。傭兵達はレナを前にして身体が震え上がり、態度を一変させた。
「い、嫌だな~冗談ですよ」
「じゃあ、俺等はここで……」
「ご迷惑をおかけしました!!」
傭兵達は急ぎ足でその場を立ち去ると残されたレナはため息を吐き出し、今回はウルは傍にいないのでティナやリンダに声を掛けようとする輩は後を絶たない。ウルは現在は船の中にある倉庫で大人しくしており、砂船に魔獣が乗り込む際は檻の中に閉じ込められて倉庫に保管される決まりになっていた。
レナとしてはウルを窮屈な場所に閉じ込める事は避けたかったが、他の乗船客が怯えてしまうので彼を檻に閉じ込めて目的地に辿り着くまでは船内に預かってもらうしかなかった。レナ達の次の目的地は砂漠の中でも一番人気の観光名所だった。
「あっ!?あそこで何かキラキラしたのが光ってるよ!?」
「ティナ様、落ち着いて下さい……あ、あれは!?」
「どうしたの二人とも……うわっ!?」
ティナが指差した方向にリンダとレナは視線を向けると、砂漠で金色に光り輝く物体が確認できた。レナは即座に観察眼と遠視の技能を発動させると、砂漠を移動する黄金の生物を発見した。
『ゴォオオオオッ!!』
黄金の生物の正体は全身が金色に輝く砂で構成された「サンドゴーレム」であり、体長は10メートルを軽く超えていた。このサンドゴーレムは全身が砂金で構築されており、ゴーレム種にしては珍しく好戦的ではない。
「あれが噂に聞く黄金のゴーレムですか……」
「本当に全身が金ぴかだな……」
「綺麗だけどちょっと眩しいね~」
黄金に輝くサンドゴーレムを見てレナ達はあまりの煌めきに目を奪われ、直視するのはきついのでサングラスを取り出す。この黄金のサンドゴーレムは世界中を探してもこの砂漠にしか存在せず、だからこそ彼等の住処は観光名所となっていた。
「わあっ!!凄い凄い!!前に乗った船より凄く早い!!」
「私達が乗っていたのは小型船でしたが、こちらの方が断然に早いのですね」
「うえ~……船酔いした」
「砂丘を乗り越える事が多いから普通の海よりも揺れが激しいらしいからね」
甲板にてティナは興奮した様子で外の様子を眺め、ハルナは彼女の隣で気持ち悪そうにへたり込む。船に弱いのかハルナは砂船に乗った事を後悔するが、彼女は放っておくと何を仕出かすか分からないのでレナは旅に同行させた。
「コトミン達は大丈夫かな?そろそろ戻った方がいいかもしれないけど……」
「え~もう少し楽しもうよ~」
「シズネ様もいらっしゃるのですから危険な目に遭う事はないはずです」
「ううっ……駄目だ、気分悪いから部屋で寝てる」
ハルナは船酔いに耐え切れずにレナ達が借りた部屋へ向かおうとするが、その途中で彼女は他の乗船客に絡まれてしまう。
「おっと、姉ちゃん随分と気持ちが悪そうだな」
「おじさん達の部屋に寄っていくかい?船酔いに聞くいい薬があるぜ」
「ひひっ……まだガキのようだがいい身体をしてるじゃねえか」
「…………」
「あ、ちょっ……」
ハルナに絡んできたのは獣人族の男達であり、恐らくは傭兵だと思われるが彼等はハルナの胸を見て下衆な笑みを浮かべる。彼女の身体が目当てなのは明らかであり、自分達の部屋へ連れて行こうとするがハルナは苛ついた様子で睨みつけた。
「……消えろ」
「ひっ!?」
「な、何だこいつ……」
「やばいぞ、逃げろ!!」
睨まれた瞬間に傭兵達は異様な殺気を感じ取り、まるで巨大な獣と相対したような感覚を抱く。獣人族は人間よりも生存本能が優れているのでハルナの殺気を感じただけで獣人族の男達は格の違いを思い知り、慌てて道を開いた。
気分が悪そうにハルナは身体をふらつかせながらも客室へ向かい、その様子を傭兵達は安堵した様子で見送る。もしもハルナが船酔いしていなければ容赦なく彼等は黒焦げにされていただろう。
「な、何だか知らないがやばかったな」
「くそっ、良い女を見つけたと思ったのに」
「ま、まあいいだろ。それよりもあっちの方にもいい女がいるぞ」
傭兵達は今度は甲板にいるティナとリンダに視線を向け、ハルナから彼女達に狙いを切り替えて近付こうとしてきた。だが、そんな彼等の前にレナが立ちはだかる。
「すいません、この娘達は俺の女なんで近づかないでくれますか?」
「あん?なんだこのガキ……」
「おいおい、お前みたいなガキがあんな美女二人と付き合ってるだと?」
「ふざけた野郎だ、砂海に叩き落すぞ!!」
自分達の前に立ちはだかるレナに傭兵達は怒りを露わにするが、そんな彼等に対してレナはひと睨みすると威嚇の技能を発動させた。
「そんな怖い事を言わないでくださいよ。ここは穏便に……ね?」
「「「ひいっ!?」」」
「え?何々?」
「ティナ様、こちらへ……」
レナの威嚇を受けた傭兵達はハルナに睨みつけられた以上の恐怖を抱き、悲鳴を聞いて不思議に思ったティナが振り返るが、事情を察したリンダが彼女を安全な場所まで避難させる。傭兵達はレナを前にして身体が震え上がり、態度を一変させた。
「い、嫌だな~冗談ですよ」
「じゃあ、俺等はここで……」
「ご迷惑をおかけしました!!」
傭兵達は急ぎ足でその場を立ち去ると残されたレナはため息を吐き出し、今回はウルは傍にいないのでティナやリンダに声を掛けようとする輩は後を絶たない。ウルは現在は船の中にある倉庫で大人しくしており、砂船に魔獣が乗り込む際は檻の中に閉じ込められて倉庫に保管される決まりになっていた。
レナとしてはウルを窮屈な場所に閉じ込める事は避けたかったが、他の乗船客が怯えてしまうので彼を檻に閉じ込めて目的地に辿り着くまでは船内に預かってもらうしかなかった。レナ達の次の目的地は砂漠の中でも一番人気の観光名所だった。
「あっ!?あそこで何かキラキラしたのが光ってるよ!?」
「ティナ様、落ち着いて下さい……あ、あれは!?」
「どうしたの二人とも……うわっ!?」
ティナが指差した方向にリンダとレナは視線を向けると、砂漠で金色に光り輝く物体が確認できた。レナは即座に観察眼と遠視の技能を発動させると、砂漠を移動する黄金の生物を発見した。
『ゴォオオオオッ!!』
黄金の生物の正体は全身が金色に輝く砂で構成された「サンドゴーレム」であり、体長は10メートルを軽く超えていた。このサンドゴーレムは全身が砂金で構築されており、ゴーレム種にしては珍しく好戦的ではない。
「あれが噂に聞く黄金のゴーレムですか……」
「本当に全身が金ぴかだな……」
「綺麗だけどちょっと眩しいね~」
黄金に輝くサンドゴーレムを見てレナ達はあまりの煌めきに目を奪われ、直視するのはきついのでサングラスを取り出す。この黄金のサンドゴーレムは世界中を探してもこの砂漠にしか存在せず、だからこそ彼等の住処は観光名所となっていた。
10
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。