不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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蛇足編

砂船の旅

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――砂漠都市での事件から数日後、レナ達は砂船に乗って砂漠を横断していた。偶然にも再会したハルナも合流してレナ達は砂漠の旅を楽しむ。


「わあっ!!凄い凄い!!前に乗った船より凄く早い!!」
「私達が乗っていたのは小型船でしたが、こちらの方が断然に早いのですね」
「うえ~……船酔いした」
「砂丘を乗り越える事が多いから普通の海よりも揺れが激しいらしいからね」


甲板にてティナは興奮した様子で外の様子を眺め、ハルナは彼女の隣で気持ち悪そうにへたり込む。船に弱いのかハルナは砂船に乗った事を後悔するが、彼女は放っておくと何を仕出かすか分からないのでレナは旅に同行させた。


「コトミン達は大丈夫かな?そろそろ戻った方がいいかもしれないけど……」
「え~もう少し楽しもうよ~」
「シズネ様もいらっしゃるのですから危険な目に遭う事はないはずです」
「ううっ……駄目だ、気分悪いから部屋で寝てる」


ハルナは船酔いに耐え切れずにレナ達が借りた部屋へ向かおうとするが、その途中で彼女は他の乗船客に絡まれてしまう。


「おっと、姉ちゃん随分と気持ちが悪そうだな」
「おじさん達の部屋に寄っていくかい?船酔いに聞くいい薬があるぜ」
「ひひっ……まだガキのようだがいい身体をしてるじゃねえか」
「…………」
「あ、ちょっ……」


ハルナに絡んできたのは獣人族の男達であり、恐らくは傭兵だと思われるが彼等はハルナの胸を見て下衆な笑みを浮かべる。彼女の身体が目当てなのは明らかであり、自分達の部屋へ連れて行こうとするがハルナは苛ついた様子で睨みつけた。


「……消えろ」
「ひっ!?」
「な、何だこいつ……」
「やばいぞ、逃げろ!!」


睨まれた瞬間に傭兵達は異様な殺気を感じ取り、まるで巨大な獣と相対したような感覚を抱く。獣人族は人間よりも生存本能が優れているのでハルナの殺気を感じただけで獣人族の男達は格の違いを思い知り、慌てて道を開いた。

気分が悪そうにハルナは身体をふらつかせながらも客室へ向かい、その様子を傭兵達は安堵した様子で見送る。もしもハルナが船酔いしていなければ容赦なく彼等は黒焦げにされていただろう。


「な、何だか知らないがやばかったな」
「くそっ、良い女を見つけたと思ったのに」
「ま、まあいいだろ。それよりもあっちの方にもいい女がいるぞ」


傭兵達は今度は甲板にいるティナとリンダに視線を向け、ハルナから彼女達に狙いを切り替えて近付こうとしてきた。だが、そんな彼等の前にレナが立ちはだかる。


「すいません、この娘達は俺の女なんで近づかないでくれますか?」
「あん?なんだこのガキ……」
「おいおい、お前みたいなガキがあんな美女二人と付き合ってるだと?」
「ふざけた野郎だ、砂海に叩き落すぞ!!」


自分達の前に立ちはだかるレナに傭兵達は怒りを露わにするが、そんな彼等に対してレナはひと睨みすると威嚇の技能を発動させた。


「そんな怖い事を言わないでくださいよ。ここは穏便に……ね?」
「「「ひいっ!?」」」
「え?何々?」
「ティナ様、こちらへ……」


レナの威嚇を受けた傭兵達はハルナに睨みつけられた以上の恐怖を抱き、悲鳴を聞いて不思議に思ったティナが振り返るが、事情を察したリンダが彼女を安全な場所まで避難させる。傭兵達はレナを前にして身体が震え上がり、態度を一変させた。


「い、嫌だな~冗談ですよ」
「じゃあ、俺等はここで……」
「ご迷惑をおかけしました!!」


傭兵達は急ぎ足でその場を立ち去ると残されたレナはため息を吐き出し、今回はウルは傍にいないのでティナやリンダに声を掛けようとする輩は後を絶たない。ウルは現在は船の中にある倉庫で大人しくしており、砂船に魔獣が乗り込む際は檻の中に閉じ込められて倉庫に保管される決まりになっていた。

レナとしてはウルを窮屈な場所に閉じ込める事は避けたかったが、他の乗船客が怯えてしまうので彼を檻に閉じ込めて目的地に辿り着くまでは船内に預かってもらうしかなかった。レナ達の次の目的地は砂漠の中でも一番人気の観光名所だった。


「あっ!?あそこで何かキラキラしたのが光ってるよ!?」
「ティナ様、落ち着いて下さい……あ、あれは!?」
「どうしたの二人とも……うわっ!?」


ティナが指差した方向にリンダとレナは視線を向けると、砂漠で金色に光り輝く物体が確認できた。レナは即座に観察眼と遠視の技能を発動させると、砂漠を移動する黄金の生物を発見した。


『ゴォオオオオッ!!』


黄金の生物の正体は全身が金色に輝く砂で構成された「サンドゴーレム」であり、体長は10メートルを軽く超えていた。このサンドゴーレムは全身が砂金で構築されており、ゴーレム種にしては珍しく好戦的ではない。


「あれが噂に聞く黄金のゴーレムですか……」
「本当に全身が金ぴかだな……」
「綺麗だけどちょっと眩しいね~」


黄金に輝くサンドゴーレムを見てレナ達はあまりの煌めきに目を奪われ、直視するのはきついのでサングラスを取り出す。この黄金のサンドゴーレムは世界中を探してもこの砂漠にしか存在せず、だからこそ彼等の住処は観光名所となっていた。
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