不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

文字の大きさ
1,936 / 2,091
蛇足編

聖剣二刀流

しおりを挟む
――聖剣カラドボルグはレナが生まれて初めて手にした聖剣だった。彼は残念ながら聖剣を使いこなす器ではなかったが、何度もこの聖剣のお陰で窮地を救われた。そして聖剣には意思が存在し、もしかしたらハルナが聖剣を渡そうとしたのは彼女が無意識に聖剣の意志をくみ取ったのかもしれない。

ハルナの元から離れた聖剣はレナの元へ真っ直ぐに向かい、アイスゴーレムはそれに気づかずにレナに止めを刺そうとした。自分の肉体を変形させて右手に巨大な斧のような刃へと変貌させ、凍り付いたレナに目掛けて振り払う。


『シネェエエエッ!!』
「っ――!?」


アイスゴーレムが刃を振り下ろした瞬間、ハルナが投擲した聖剣は水中で加速してアイスゴーレムの腕を切り落とす。そのお陰でレナは破壊されずに済み、アイスゴーレムはいきなり腕を切られて悲鳴をあげる。


『アアアアッ!?』


通常のアイスゴーレムと違って魔術師は自分の肉体を利用してアイスゴーレムへと変貌したため、腕を切り裂かれれば氷の中の自分の肉体も切り裂く。腕から血を噴き出しながらアイスゴーレムは水底に倒れ込み、その間に聖剣カラドボルグは凍り付いているレナの元へ向かう。

カラドボルグの力を感じ取ったレナは凍り付いた状態から意識を取り戻し、自分の身体に張り付いた氷を解かすために魔鎧術を発動させた。レナの魔鎧術は本人の意志で本物の炎のように温度を上げる事ができるだけではなく、数千メートルの水圧にも耐えきれる。


『おらぁっ!!』
『ウアアッ!?』


完全に凍り付いたと思われたレナが全身に蒼の炎を纏って動き出す姿を見てアイスゴーレムは慌てて逃げ出そうとしたが、そんな相手にレナは容赦せずにハルナから受け取ったカラドボルグを手にした。聖剣を扱えるのは聖痕の所有者かあるいは勇者の子孫だけで有り、レナの場合は後者に当てはまる

勇者の子孫であるレナは聖剣を扱えるが雷属性の聖痕を持たない彼では真の力を引き出す事はできない。だが、錬金術師ならば聖剣を複製させる事もできる。空間魔法を発動させてレナは水中で手頃な大きさの剣を取り出し、それに魔力を込めて「物質変換」の能力で新しい聖剣を生み出す。


(聖剣二刀流……なんてね)


レナは右手にハルナから渡されたカラドボルグを掴み、もう片方の手には錬金術師の複製の能力で作り上げたもう一つのカラドボルグを生み出す。この世に一つしか存在しないはずのカラドボルグをもう一本生み出したレナはカラドボルグ同士を重ね合わせる。


『イ、イヤァアアアッ!!』


アイスゴーレムはレナの姿を見て恐怖し、急いで陸上へ上がろうと水中を移動する。だが、それをレナが見逃すはずがなく彼は二つの聖剣を振りかざす。


『十文字斬り!!』
『アギャアアアッ!?』


二つの聖剣の刃を重ね合わせた状態でレナは剣を振り払うと、十字の形を雷撃がアイスゴーレムの背後へと向かう。通常の聖剣の二倍の雷撃を受けたアイスゴーレムの肉体は粉々に砕け散り、完全に溶けて消えてなくなった――





――数か月後、砂漠都市には大勢の観光客が訪れる様になった。この地で二つの聖剣を扱う剣士が誕生し、街を滅ぼそうとした氷の巨人を一撃で打ち倒したとい噂が流れたという。




※これにて砂漠都市編は終了です。次からは別の舞台になります。
しおりを挟む
感想 5,095

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

離婚する両親のどちらと暮らすか……娘が選んだのは夫の方だった。

しゃーりん
恋愛
夫の愛人に子供ができた。夫は私と離婚して愛人と再婚したいという。 私たち夫婦には娘が1人。 愛人との再婚に娘は邪魔になるかもしれないと思い、自分と一緒に連れ出すつもりだった。 だけど娘が選んだのは夫の方だった。 失意のまま実家に戻り、再婚した私が数年後に耳にしたのは、娘が冷遇されているのではないかという話。 事実ならば娘を引き取りたいと思い、元夫の家を訪れた。 再び娘が選ぶのは父か母か?というお話です。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。