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バルトロス帝国編
回復魔法
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――レナが目を覚ましたのは翌日の朝であり、気絶している間はずっとコトミンの胸の中に抱かれていたため、朝食の時間になっても食堂に降りてこない2人に疑問を抱いたエリナが部屋の中に入り込んできた時に抱き合った状態のまま眠っている2人を見て大騒ぎになったが、当の宿屋の主であるバル(受付にいた獣人族の女性の本名)から騒ぎを起こすなと3人とも説教を受けてしまう。
どうにかエリナの誤解を解けた頃には既に時刻は昼を迎えてしまい、レナはもう一度昨日の魔道具店に立ち寄る事にした。今回はコトミンは宿に残しており、あまりに外に出入りすると彼女を誘拐した盗賊に見つかってしまう可能性があるため、本当ならば警備兵に相談すべき事なのだがコトミンが魔物(自称)という理由もあり、普通に考えれば街中に魔物が居る事自体が問題なので警備兵には相談できなかった。
レナとしては彼女が元々の住処としていた場所まで送り届けたい所だが、そもそも彼女は盗賊に捕まっている間は木箱に詰められていたのでどのような経路で移動したのかは本人にも分からず、元の住処を探す方法を考えなければならない。だが、当面の間は宿代や食事代を確保するため路銀稼ぎが重要であり、幸いと言うべきか黒猫亭はこの街の中でも良心的な値段で宿泊も食事も可能な宿屋であり、2人分の宿代でも銀貨1枚と銅貨5枚程度で収まる。計算上では今のレナの路銀でも三日分は過ごせるが、その三日の間に仕事に就くか、あるいは自分自身で資金を稼ぐ方法を見つけなればならない。
「回復魔法を使える?」
「はい……と言っても付与魔法ですけど」
「そうか、君は付与魔術師だったのか」
魔道具店の店主であり、たった一人の従業員であるホノカの元にレナは訪れ、自分の考えた「仕事」を伝える。それは回復魔法を利用した金銭稼ぎであり、回復魔法を利用して怪我の治療を請負、傷の治療の代わりに金銭を受け取るという仕事が出来ないのか相談を行う。
「ふむ……つまりは治癒魔導士が金銭に困った時に行う「回復屋」の事だね。そもそも治癒魔術師の職業を身に着けている人間自体が希少だから、実際にそんな仕事を行っている人間は僕も見た事が無いが……本当に回復魔法を扱えるのかい?」
「はい。まだ少し効果は低いですけど……」
昨晩の時はレナはコトミンの身体に「聖属性」を施した際、彼女自身は怪我の類は負ってはいなかったが、肉体を維持できる時間が延長された。下級回復薬一つでコトミンは現在の人間の姿を「1日」だけ保てる時間が延びるようだが、レナの「聖属性」を受けた時は半日程度の猶予が伸びたという。レベル2の状態で初めて発動した「聖属性」の付与魔法が下級回復薬の半分程度の効果だと判明し、もしも熟練度を向上させればより高い回復効果を引き出せる可能性が高いとレナは考えていた。
「それで僕に相談とはなんだい?」
「仕事を自分で開業する場合、やっぱり許可とか必要になるんですかね?」
「どうかな……開業といっても君の言っていた仕事内容は昔から治癒魔術師がよく利用している方法だからね……彼等は冒険者を相手に商売を行っていたようだから、冒険者ギルドから許可を得ることが出来れば問題ないんじゃないかな」
「冒険者ギルド……」
あくまでも一般人であるレナは冒険者にはなれないが、別に冒険者ではなくともホノカが語ってくれた「回復屋」という仕事は行える。どうにかギルド側から許可を取る事が出来れば商売は行えるようだが、それでも色々と不安はある。まずはどの程度稼げるのか分からない仕事であり、現時点のレナの魔力では一日に何人の怪我人を回復させる事が出来るのかも分からない。
「僕としてはあまりお勧めしないね。だけど、その顔を見ると相当にお金に困っているのかい?」
「ええ、まあっ……本当はここまで来る間に色々と仕事を探したんですけど、身分証がない事が原因で断られまして……」
「それは可哀想に」
実を言えば魔道具店に訪れる前に働ける場所がないのかレナは幾つかの店に回っていたのだが、結果としてはこの世界にも「身分証」という物が存在し、成人した人間は必ずこの身分証を所持している。この世界の人間の成人年齢は15才であり、レナは異世界人のため身分証など所持しておらず、そもそも身元を保証する人間が居なければ身分証の発行は出来ないらしい。
ちなみに冒険者ギルドに登録を行えば冒険者として活動するために「ギルドカード」と呼ばれる新しい身分証を発行されるのだが、現在は帝国の法律によって一般人は冒険者ギルドに加入できない。城を追い出す時に自分に身分証を発行しなかったデキンの無責任さにレナは大きな溜息を吐きだし、ホノカは考え事を行うように腕を組む。
「ふむ……異国人はこの国に訪れた時に身分証の仮発行が行われるはずだが、君は受け取っていないのかい?それともまさか密入国したんじゃ……」
「いやいやいやっ!!勝手に呼び出されたんですよこっちは!!」
「呼び出された?よく分からないが、まあ身分証が無いのは確かに不便だろう。そうなると大抵の仕事に就くことは出来ないだろうし……ちなみに君のレベルは幾つだい?」
「2です」
「……え?ごめん、もう一回言ってくれるかな?」
「レベル2です」
「本当なのかい?それはまた……箱入り息子だったんだね」
ホノカが驚愕した表情を浮かべ、彼女の話によるとレナの年齢でレベルが一桁台なのは非常に珍しく、普通は成人した人間ならば最低でもレベルが10を迎えているはずであり、ホノカの話によれば普通に生活を行うだけでもレベルは上昇するらしい。
レベルの上昇に必要な経験値とは別に日常生活でも得られるらしく、単純に身体を鍛える行為が効率的である。普段から身体を鍛えている人間と鍛えていない人間では同じ年齢でもレベルに差が生じるらしく、一般人の中でもレベルが高い人間も存在するという。レナのレベルは正直に言えば子供並であり、より正確な年齢であらわすと5歳児程度のレベルである。
「あの……レベルを早く上げる方法とかありますか?」
「一番効率のいい経験値稼ぎの方法はやはり魔物との戦闘だね。魔物に打ち勝つことが出来れば大きな経験値を貰えるよ。ちなみに魔術師の場合は魔法、剣士の場合は剣技、格闘家の場合は拳で魔物を打倒すればより大きな経験値を得られるよ」
「魔物……」
この世界ではゲームのように魔物を倒す事で「経験値」が得られるらしく、レナが今よりもレベルを効率よく上昇させるには魔物と戦う必要がある。レベルを上げればステータスも向上し、能力も当然だが上昇する。魔法の効果を上昇させるには熟練度だけを上げる事でも出来るが、今後の事を考えればレナ自身がレベルは上げて置いた方が良いだろう。
どうにかエリナの誤解を解けた頃には既に時刻は昼を迎えてしまい、レナはもう一度昨日の魔道具店に立ち寄る事にした。今回はコトミンは宿に残しており、あまりに外に出入りすると彼女を誘拐した盗賊に見つかってしまう可能性があるため、本当ならば警備兵に相談すべき事なのだがコトミンが魔物(自称)という理由もあり、普通に考えれば街中に魔物が居る事自体が問題なので警備兵には相談できなかった。
レナとしては彼女が元々の住処としていた場所まで送り届けたい所だが、そもそも彼女は盗賊に捕まっている間は木箱に詰められていたのでどのような経路で移動したのかは本人にも分からず、元の住処を探す方法を考えなければならない。だが、当面の間は宿代や食事代を確保するため路銀稼ぎが重要であり、幸いと言うべきか黒猫亭はこの街の中でも良心的な値段で宿泊も食事も可能な宿屋であり、2人分の宿代でも銀貨1枚と銅貨5枚程度で収まる。計算上では今のレナの路銀でも三日分は過ごせるが、その三日の間に仕事に就くか、あるいは自分自身で資金を稼ぐ方法を見つけなればならない。
「回復魔法を使える?」
「はい……と言っても付与魔法ですけど」
「そうか、君は付与魔術師だったのか」
魔道具店の店主であり、たった一人の従業員であるホノカの元にレナは訪れ、自分の考えた「仕事」を伝える。それは回復魔法を利用した金銭稼ぎであり、回復魔法を利用して怪我の治療を請負、傷の治療の代わりに金銭を受け取るという仕事が出来ないのか相談を行う。
「ふむ……つまりは治癒魔導士が金銭に困った時に行う「回復屋」の事だね。そもそも治癒魔術師の職業を身に着けている人間自体が希少だから、実際にそんな仕事を行っている人間は僕も見た事が無いが……本当に回復魔法を扱えるのかい?」
「はい。まだ少し効果は低いですけど……」
昨晩の時はレナはコトミンの身体に「聖属性」を施した際、彼女自身は怪我の類は負ってはいなかったが、肉体を維持できる時間が延長された。下級回復薬一つでコトミンは現在の人間の姿を「1日」だけ保てる時間が延びるようだが、レナの「聖属性」を受けた時は半日程度の猶予が伸びたという。レベル2の状態で初めて発動した「聖属性」の付与魔法が下級回復薬の半分程度の効果だと判明し、もしも熟練度を向上させればより高い回復効果を引き出せる可能性が高いとレナは考えていた。
「それで僕に相談とはなんだい?」
「仕事を自分で開業する場合、やっぱり許可とか必要になるんですかね?」
「どうかな……開業といっても君の言っていた仕事内容は昔から治癒魔術師がよく利用している方法だからね……彼等は冒険者を相手に商売を行っていたようだから、冒険者ギルドから許可を得ることが出来れば問題ないんじゃないかな」
「冒険者ギルド……」
あくまでも一般人であるレナは冒険者にはなれないが、別に冒険者ではなくともホノカが語ってくれた「回復屋」という仕事は行える。どうにかギルド側から許可を取る事が出来れば商売は行えるようだが、それでも色々と不安はある。まずはどの程度稼げるのか分からない仕事であり、現時点のレナの魔力では一日に何人の怪我人を回復させる事が出来るのかも分からない。
「僕としてはあまりお勧めしないね。だけど、その顔を見ると相当にお金に困っているのかい?」
「ええ、まあっ……本当はここまで来る間に色々と仕事を探したんですけど、身分証がない事が原因で断られまして……」
「それは可哀想に」
実を言えば魔道具店に訪れる前に働ける場所がないのかレナは幾つかの店に回っていたのだが、結果としてはこの世界にも「身分証」という物が存在し、成人した人間は必ずこの身分証を所持している。この世界の人間の成人年齢は15才であり、レナは異世界人のため身分証など所持しておらず、そもそも身元を保証する人間が居なければ身分証の発行は出来ないらしい。
ちなみに冒険者ギルドに登録を行えば冒険者として活動するために「ギルドカード」と呼ばれる新しい身分証を発行されるのだが、現在は帝国の法律によって一般人は冒険者ギルドに加入できない。城を追い出す時に自分に身分証を発行しなかったデキンの無責任さにレナは大きな溜息を吐きだし、ホノカは考え事を行うように腕を組む。
「ふむ……異国人はこの国に訪れた時に身分証の仮発行が行われるはずだが、君は受け取っていないのかい?それともまさか密入国したんじゃ……」
「いやいやいやっ!!勝手に呼び出されたんですよこっちは!!」
「呼び出された?よく分からないが、まあ身分証が無いのは確かに不便だろう。そうなると大抵の仕事に就くことは出来ないだろうし……ちなみに君のレベルは幾つだい?」
「2です」
「……え?ごめん、もう一回言ってくれるかな?」
「レベル2です」
「本当なのかい?それはまた……箱入り息子だったんだね」
ホノカが驚愕した表情を浮かべ、彼女の話によるとレナの年齢でレベルが一桁台なのは非常に珍しく、普通は成人した人間ならば最低でもレベルが10を迎えているはずであり、ホノカの話によれば普通に生活を行うだけでもレベルは上昇するらしい。
レベルの上昇に必要な経験値とは別に日常生活でも得られるらしく、単純に身体を鍛える行為が効率的である。普段から身体を鍛えている人間と鍛えていない人間では同じ年齢でもレベルに差が生じるらしく、一般人の中でもレベルが高い人間も存在するという。レナのレベルは正直に言えば子供並であり、より正確な年齢であらわすと5歳児程度のレベルである。
「あの……レベルを早く上げる方法とかありますか?」
「一番効率のいい経験値稼ぎの方法はやはり魔物との戦闘だね。魔物に打ち勝つことが出来れば大きな経験値を貰えるよ。ちなみに魔術師の場合は魔法、剣士の場合は剣技、格闘家の場合は拳で魔物を打倒すればより大きな経験値を得られるよ」
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