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スラム編
武器屋
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「結局無かったね」
「……落ち込まないで」
街道の騒動から時間が経過し、レナとコトミンは宿屋に向けて移動する。目当ての魔法腕輪は何十軒も武器屋を回ったが結局どの店も取り扱っておらず、購入する事は出来なかった。仕方ないのでレナはこれまで通りに付与魔法の熟練度の向上のために地道に魔法の訓練を行う事を考えていると、コトミンが何かを思いついたように彼の服の袖を引く。
「レノ……街の外に出る」
「え?」
「魔物を倒してレベル上げをする」
コトミンの意外な申し出にレナは戸惑い、彼女の発言は意外だったが確かに一理あり、レナは一度も帝都の外に赴いたことはなく、実際に魔物と戦った事はない。ヴァンパイアは魔人族なので完全な魔物とは言い切れず、そもそも彼女程の力を持つ魔物は滅多にいない。
だが、帝都の外に出るには身分証を提示する必要があり、身分証を所持していないレナとアイリィは街の外に移動する事が出来ない。別の街に向かうにも身分証が存在しないのは不便であり、冒険者ギルドで登録が行えれば身分証の代わりとなるギルドカードを発行して貰えるのだが、現在の冒険者ギルドは一般人は冒険者に志望できないため、2人が冒険者に志願する事は出来ない。
ホノカならば冒険者ギルドにレナを紹介できるとは思うが、彼女は店にヴァンパイアが現れたせいでしばらくの間は街を離れる。予想よりもヴァンパイアとの戦闘で店の被害が大きく、建物の改装を終える2、3週間の間は魔道具店に訪れる事もホノカに相談する事も不可能。
「でも外に出るってどうやって……街は外壁で覆われているし、二つの出入口にはずっと兵士が見張ってるよ?」
「大丈夫……私の変身能力を利用する」
「変身って……それだとコトミンしか外に出れないでしょ」
「いいからこっちに来て……」
レナはコトミンに引きつられて人通りの少ない場所に移動し、何をする気なのかと彼女に視線を向けると、コトミンはレナの身体に抱き付く。
「うわっ!?どうした……わああっ!?」
「……合体」
抱き付かれたままレナは彼女に視線を向けると、自分を抱きしめるコトミンの身体が唐突に溶け始め、文字通りにスライム状に変化する。そのままレナの身体にコトミンの身体が纏わり付き、数秒後には全身が飲み込まれる。
『ぷはっ!!な、何が起きて……あれ?』
次にレナが瞼を開くと何時の間にか自分に抱き付いていたコトミンの姿が消えており、それ以前に自分の声がどういう事なのかコトミンの声に変化している事に気付く。レナは戸惑いながらも自分の両腕を確認すると、何故か女性のように真っ白な肌に変色しており、心なしか胸元の部分に異様な重量感を感じた。
『コトミン?一体何処に……』
『落ち着いて……私は貴方の傍にいる』
『ひゃあっ!?』
耳元でコトミンの声が囁かれ、レナは慌てて振り返るが彼女の姿は見えず、何が起きているのか混乱していると自分の胸元に視線を向けて目を見開く。
『な、なんで胸が膨らんで……というより、この姿……!?』
何時の間にか胸元の部分の服が膨らんでおり、それどころか先ほど来ていた服も変化しており、何時の間にか女性が着るようなワンピースに変化していた。それだけではなく、髪の毛も何時の間にか伸びており、身長の方も若干高くなっており、レナは慌てて自分の姿を確認するためにすぐ傍の建物の壁際に掌を伸ばし、付与魔法を発動させる。
『水属性!!』
『おおうっ』
レナの掌を通して水属性の付与魔法が発動し、建物の壁の一部を凍結させ、鏡のように凍らせた氷で自分の姿を確認する。付与魔法の応用であり、耳元からコトミンの感心した声が聞こえるが、そんな事よりも自分の容姿の変化に驚きを隠せない。
『嘘っ……これが私?』
『……これが私の真の能力』
壁に形成した氷の鏡に視線を向けると、そこにはコトミンと容姿が非常に酷似した美少女が立っており、何が起きたのか分からなかったが、すぐにレナはコトミンの「合体」という言葉を思い出す。彼女の言葉は比喩ではなく、本当にレナの肉体にコトミンが張り付いて合体したのだ。表面上は女性に見えるが、実際はスライムと化したコトミンが張り付いているだけであり、完全に女性に変化した訳ではない。
『凄い能力だけど……でもどっちにしろ身分証がないよ?』
この能力を利用すれば体格差が大きく離れている人間以外ならばどんな人物でも変化できるが、いくら外見を変化したとしても身分証がなければ街の外の門を通り過ぎることは出来ない。実在する誰かに変装し、その人物の身分証を盗み出せば通過できるかも知れないが、流石にレナも犯罪は犯したくはない。
『大丈夫……この姿で無理やり外に移動すれば私達だとバレる事はない。安全な場所まで逃げきれば変身を解除すればいい』
『なるほど……いや、でもそれだと兵士から逃げられなければどうしようもないよね』
この帝都に駐在している兵士達のレベルは一般人と比べると高く、今現在のレナのレベルの身体能力で逃げ切れるとは思えないのだが、コトミンは不思議そうな声を上げる。
『……レナは聖属性の魔法が使えるから問題ないと思う』
『え、どういう意味?』
『聖属性の魔法は肉体を活性化させて一時的に身体能力を強化させる事が出来る……知らなかった?』
『なん、だと……!?』
予想外のコトミンの言葉にレナは動揺を隠せず、今まで聖属性の付与魔法は肉体の治療しか行えないと考えていたが、そもそもこの世界の回復魔法とは肉体が最初から持っている自然治癒能力を高めて回復させると聞いており、他にも身体能力を強化させる効果を生みだしても可笑しくはないのかも知れない。
レナは自分自身に聖属性の付与魔法を施した事が無いので知らなかったが、コトミンの言葉が真実ならばどの程度まで身体能力を上昇させるのか気にかかり、今この場で試してみる事にした。
「……落ち込まないで」
街道の騒動から時間が経過し、レナとコトミンは宿屋に向けて移動する。目当ての魔法腕輪は何十軒も武器屋を回ったが結局どの店も取り扱っておらず、購入する事は出来なかった。仕方ないのでレナはこれまで通りに付与魔法の熟練度の向上のために地道に魔法の訓練を行う事を考えていると、コトミンが何かを思いついたように彼の服の袖を引く。
「レノ……街の外に出る」
「え?」
「魔物を倒してレベル上げをする」
コトミンの意外な申し出にレナは戸惑い、彼女の発言は意外だったが確かに一理あり、レナは一度も帝都の外に赴いたことはなく、実際に魔物と戦った事はない。ヴァンパイアは魔人族なので完全な魔物とは言い切れず、そもそも彼女程の力を持つ魔物は滅多にいない。
だが、帝都の外に出るには身分証を提示する必要があり、身分証を所持していないレナとアイリィは街の外に移動する事が出来ない。別の街に向かうにも身分証が存在しないのは不便であり、冒険者ギルドで登録が行えれば身分証の代わりとなるギルドカードを発行して貰えるのだが、現在の冒険者ギルドは一般人は冒険者に志望できないため、2人が冒険者に志願する事は出来ない。
ホノカならば冒険者ギルドにレナを紹介できるとは思うが、彼女は店にヴァンパイアが現れたせいでしばらくの間は街を離れる。予想よりもヴァンパイアとの戦闘で店の被害が大きく、建物の改装を終える2、3週間の間は魔道具店に訪れる事もホノカに相談する事も不可能。
「でも外に出るってどうやって……街は外壁で覆われているし、二つの出入口にはずっと兵士が見張ってるよ?」
「大丈夫……私の変身能力を利用する」
「変身って……それだとコトミンしか外に出れないでしょ」
「いいからこっちに来て……」
レナはコトミンに引きつられて人通りの少ない場所に移動し、何をする気なのかと彼女に視線を向けると、コトミンはレナの身体に抱き付く。
「うわっ!?どうした……わああっ!?」
「……合体」
抱き付かれたままレナは彼女に視線を向けると、自分を抱きしめるコトミンの身体が唐突に溶け始め、文字通りにスライム状に変化する。そのままレナの身体にコトミンの身体が纏わり付き、数秒後には全身が飲み込まれる。
『ぷはっ!!な、何が起きて……あれ?』
次にレナが瞼を開くと何時の間にか自分に抱き付いていたコトミンの姿が消えており、それ以前に自分の声がどういう事なのかコトミンの声に変化している事に気付く。レナは戸惑いながらも自分の両腕を確認すると、何故か女性のように真っ白な肌に変色しており、心なしか胸元の部分に異様な重量感を感じた。
『コトミン?一体何処に……』
『落ち着いて……私は貴方の傍にいる』
『ひゃあっ!?』
耳元でコトミンの声が囁かれ、レナは慌てて振り返るが彼女の姿は見えず、何が起きているのか混乱していると自分の胸元に視線を向けて目を見開く。
『な、なんで胸が膨らんで……というより、この姿……!?』
何時の間にか胸元の部分の服が膨らんでおり、それどころか先ほど来ていた服も変化しており、何時の間にか女性が着るようなワンピースに変化していた。それだけではなく、髪の毛も何時の間にか伸びており、身長の方も若干高くなっており、レナは慌てて自分の姿を確認するためにすぐ傍の建物の壁際に掌を伸ばし、付与魔法を発動させる。
『水属性!!』
『おおうっ』
レナの掌を通して水属性の付与魔法が発動し、建物の壁の一部を凍結させ、鏡のように凍らせた氷で自分の姿を確認する。付与魔法の応用であり、耳元からコトミンの感心した声が聞こえるが、そんな事よりも自分の容姿の変化に驚きを隠せない。
『嘘っ……これが私?』
『……これが私の真の能力』
壁に形成した氷の鏡に視線を向けると、そこにはコトミンと容姿が非常に酷似した美少女が立っており、何が起きたのか分からなかったが、すぐにレナはコトミンの「合体」という言葉を思い出す。彼女の言葉は比喩ではなく、本当にレナの肉体にコトミンが張り付いて合体したのだ。表面上は女性に見えるが、実際はスライムと化したコトミンが張り付いているだけであり、完全に女性に変化した訳ではない。
『凄い能力だけど……でもどっちにしろ身分証がないよ?』
この能力を利用すれば体格差が大きく離れている人間以外ならばどんな人物でも変化できるが、いくら外見を変化したとしても身分証がなければ街の外の門を通り過ぎることは出来ない。実在する誰かに変装し、その人物の身分証を盗み出せば通過できるかも知れないが、流石にレナも犯罪は犯したくはない。
『大丈夫……この姿で無理やり外に移動すれば私達だとバレる事はない。安全な場所まで逃げきれば変身を解除すればいい』
『なるほど……いや、でもそれだと兵士から逃げられなければどうしようもないよね』
この帝都に駐在している兵士達のレベルは一般人と比べると高く、今現在のレナのレベルの身体能力で逃げ切れるとは思えないのだが、コトミンは不思議そうな声を上げる。
『……レナは聖属性の魔法が使えるから問題ないと思う』
『え、どういう意味?』
『聖属性の魔法は肉体を活性化させて一時的に身体能力を強化させる事が出来る……知らなかった?』
『なん、だと……!?』
予想外のコトミンの言葉にレナは動揺を隠せず、今まで聖属性の付与魔法は肉体の治療しか行えないと考えていたが、そもそもこの世界の回復魔法とは肉体が最初から持っている自然治癒能力を高めて回復させると聞いており、他にも身体能力を強化させる効果を生みだしても可笑しくはないのかも知れない。
レナは自分自身に聖属性の付与魔法を施した事が無いので知らなかったが、コトミンの言葉が真実ならばどの程度まで身体能力を上昇させるのか気にかかり、今この場で試してみる事にした。
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