最強の職業は付与魔術師かもしれない

カタナヅキ

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ゴブリンキング編

アメリアの正体

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「きゃあぁああああっ!?」
「消えろっ!!」
『オオッ……!!』


北門の出入口に現れたアメリアはカトレアを戦斧で薙ぎ払い、彼女は悲鳴を上げながら吹き飛ばされ、その光景に外に出たレナ達は唖然とする。どうして彼女がこの場所に現れたのか、何故ゴブリンキングでは無くカトレアを狙ったのか、様々な疑問がレナの脳裏に駆け巡るがその間にも意識を覚醒したゴブリンキングが起き上がり、咆哮を放つ。


『キサマラァアアアアアッ!!オレヲオコラセタイカァアアッ!!』
『ッ……!?』


周囲で殴り合いを繰り広げていたゴブリンナイト達が硬直し、即座にゴブリンキングに視線を向けると慌てて跪く。主人の怒りを感じ取った事で冷静さを取り戻し、恐怖で身体を震わせる。その光景にアメリアは鼻で笑い、ゴブリンキングに掌を伸ばす。


「よくやったね……偉いよ」
『アアッ……オカアサン』
「よしよし……」


ゴブリンキングは差し出された彼女の小さな手を仰々しく両手で握りしめ、先ほどまでの威厳が消え去り、彼女の前で跪く。その光景にレナ達は動揺を隠せず、どうしてアメリアにゴブリンキングが従っているのか理解できなかった。


「アメリア……さん?」
「どうなってるんだ……」
「まさか……」


レナは目の前の光景に動揺しながらも、これまでに接してきたアメリアの行動を思い返す。彼女はヨウカの護衛役としてポチ子と供に行動する事が多く、この帝都からレナ達が抜け出す際に王城の地下牢まで行動を共にした人物であり、地下牢の隠し通路を知っている数少ない人間である事を思い出す。そして目の前ではゴブリンキングを自分のペットのように可愛がるアメリアの姿が存在し、レナの頭の中にある推測が思い浮かび、歯を食い縛る。


「まさか……お前がっ!!お前なのかっ!!」
「あら……あんた達も来てたんだね」
「えっ!?その声は……!!」


アメリアはレナ達の存在に気付いて顔を振り向き、その声音を聞いたアイリィは驚いた声を上げ、すぐにレナも彼女の声の違和感に気付き、アラン炭鉱でもよく耳にしたドワーフの女性の「ミラ」の声と同じだった。アメリアはレナ達の目の前で自分の顔に手を伸ばし、顔の皮膚を剥ぐ。


「うわっ!?」
「なっ……」
「まさか……」
「……騙された」
「そういう事さ!!」


彼女は自分の顔面に張り付いていた皮膚のような皮を剥ぎ取り、頭に乗っていたカツラを剥ぎ取るとそこにはワルキューレ騎士団の少女ではなく、炭鉱で遭遇した年老いたドワーフ族の「ミラ」の顔が存在した。彼女はマスクとカツラを地面に捨て去り、戦斧を軽々と振り回しながら高笑いを上げる。


「どうだい?あんた達も騙されただろう?気弱で可憐な少女に心を許しただろう?どんな気分だい?自分よりも年下だと思い込んでいた相手が実はあんた等の何倍も生きている人間だと知った気分はっ!?」
「……下衆な性格ですね」
「くそっ……そういう事だったのか」


正体を現した「ミラ」にレナ達は悔し気な表情を浮かべ、ゴブリン達が地下水路から侵入した理由を悟る。ヨウカがレナ達を王城の地下牢まで送り届けた時、護衛役を務めていたアメリア(ミラ)も地下通路の存在を知ったという事になり、彼女は帝都からゴブリンを誘き寄せる方法を知った。



――彼女の正体は数十年前にこの帝都のスラム街に生まれたドワーフ族の女性であり、ミラは生まれた時から「魔物使い」の職業を習得しており、小さい頃から彼女は他の魔物を従わせる能力を持っていた。この力でミラは街の外に連れ出した魔物を利用してスラム街の過酷な環境を生き抜き、彼女の力を見込んだとある暗殺者の男に拾われ、武芸を学ぶ。



彼女は成人年齢を迎えた時、自分に武芸を教えてくれた人間を殺害する。特に恨みを抱いていたわけではないが、眠っている自分に欲情して襲い掛かろうとした男に咄嗟に反撃してしまい、誤って殺してしまう。暗殺者の男は当時のスラム街では大勢の人間に疎まれており、そんな彼を殺した女として彼女は一気に知名度が広がる。

だが、男が死んでから数年が経過すると彼女はスラム街に生活に嫌気を差し、真っ当な生活を送るために旅に出る。様々な国を渡り、大勢の武闘家の元を訪れて武芸を学び、彼女の技量は磨かれる。最初の頃は普通の人間として生活を送ろうとしたが、あるゴブリンと遭遇した事で彼女の人生が大きく変化した。



数年前、帝都に戻って来た彼女は旅の路銀を使い切ってしまい、アラン炭鉱の炭鉱員として働く。その際に偶然にも遭遇したゴブリンの赤ん坊を発見し、昔から魔物の世話は得意だった彼女はゴブリンの赤子を他の炭鉱員に知られないように誰にも見つからない場所を確保して育てる事にした。



だが、全ての切っ掛けはこのゴブリンの赤子が原因であり、彼女の人生は大きく狂いだす。
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