最強の職業は付与魔術師かもしれない

カタナヅキ

文字の大きさ
158 / 207
戦姫編

バジリスクの毒

しおりを挟む
「バジリスク……まさかあの超級危険種と戦ったのですか?」
「超級危険種?」
「魔物の危険度を現わす単位です。下位、中位、上位、そして超級の4つに分かれています」


ミキの言葉にレナは聞き慣れない単語を聞き、ジャンヌはレナが異世界人であり、この世界の常識に疎い事を察して自ら説明を行う。ちなみにレナが遭遇した魔物で例えると下位の危険種は「ゴブリン」や「スライム」中級の危険種は「オーク」「ゴブリンナイト」「レッドゴブリン」上級の危険種は「ゴブリンキング」最後の超級の危険種は「ゴブリンロード」が属している。


「……数か月前、私は自分の騎士団を率いて深淵の森に赴きました。森の近辺の村と町の民衆がオークの被害を受けている報告を聞き、私は青竜騎士団を率いてオークが住処としている深淵の森に向かいました」
「青竜騎士団?」
「帝国の騎士団です。元々は戦姫様の護衛部隊だったのですが、戦姫様が様々な戦果を上げた事で国王様が正式に騎士団として認めたのですが……」
「私の事は戦姫と呼ばないで下さい……今の私は戦う事が出来ず、ただ死を待つばかりの身ですから……」
「そんな……」
「話は途中でしたね……私と青竜騎士団はオークを討伐するために深淵の森に向かいましたが、待ち受けていたのは伝説の大蛇……バジリスクでした」
「バジリスク……」



――ジャンヌは悔し気な表情で自分の右肩を掴み、彼女が率いた青竜騎士団は深淵の森に存在したバジリスクと予期せぬ戦闘を繰り広げ、結果として50名を超える青竜騎士団は1名を除いて全滅し、ジャンヌもバジリスクの牙を掠めて体内に毒を埋め込まれる。残された1名の騎士は転移石を使用して彼女と共に帝都に帰還を果たし、それ以降は深淵の森を封鎖し、近辺の村や町に大量の警備兵が配備された。



元々帝都には数万の兵士が滞在していたが、深淵の森にバジリスクが存在する報告が入った時点で国王は防衛大臣のデキンに命じて民衆の警備のために帝都の軍隊を派遣する。ゴブリンロードが侵入する以前から帝都の警備は通常よりも大幅に兵士の数が減少しており、更にデキンが勇者の捜索の為に数少ない警備兵の数を割き、より帝都の警備を低下させた事になる。仮に帝都が万全の状態ならば先日のゴブリンロードとその配下のゴブリンの群れの襲撃を受けようと即座に鎮圧する事が出来るが、あるいはゴブリンロードを先導したミラも帝都の襲撃を目論む事もなかった可能性もある。

バジリスクの毒を受けたジャンヌは帝国専属の治癒魔導士や有名な薬剤師に薬を調合して貰ったが、彼女の受けた毒はクド草よりも厄介な毒であり、遅行性ではあるが致死率は100%の最悪の毒であり、彼女は定期的に回復魔法や解毒薬を飲用しているが完全に解毒する事は出来ず、現在受けている治療も毒の進行を抑える延命行為でしかない。


「私は間もなく死ぬでしょう……ですが、その前にどうしてもやらねばならない事があります。そして私の目的のためにはレナ様の力が必要なのです……どうか私に力を貸してください」
「えっ?」
「どういう事ですか?」


唐突なジャンヌの言葉にレナは驚愕し、ミキが理由を尋ねると彼女は顔色が悪くなりながらも自分の右肩を強く握りしめながら彼の力を借りたい理由を話す。


「鉄流騎士団は……まだ生きているのです。彼等の殆どはバジリスクの石化の魔眼を受けた事で肉体が石像と化しましたが、まだ生きているはずです。今も森の中で動かぬ石像と化した状態で私の事を待ち続けているでしょう……」
「石化の魔眼……まさか、本当に伝説通りにバジリスクは瞳を合わせた人間を石化させる能力を持っていたのですか!?」
「石化……?」


ジャンヌの発言にミキは激しく動揺し、その一方でレナは「石化」という単語に嫌な予感を感じ取り、彼女達の会話から察するにこの世界のバジリスクは生物を石像のように変化させる能力を持っているのではないかと考え、実際に彼の予想通りにバジリスクは自身と瞳を合わせた敵を石化させる能力を所有していた。


「はい……実際に最初に遭遇した時に団員の半数が私の目の前で石像に変化しました。ですが、もしも伝説に語られている情報通りなら彼等はまだ生きているはずです!!石化を解除すれば団員は元の人間に戻るはず……ですが、石化を解除する方法はバジリスクの血液を石像と化した肉体に降り注がねばいけません。つまり、バジリスクを倒さなければいけません」
「という事は……もしや戦姫様が訪れたのは」
「……種類は異なりますが、同じく超級危険種に指定されているゴブリンロードを打ち倒したレナ様の御力をお借りしたいのです」
「ええっ!?」
「どうかお願いします!!図々しい事は分かっていますが、バジリスクの討伐に協力して下さいっ!!」


ゴブリンロードもバジリスクと同様に伝説の魔物として知れ渡っており、ジャンヌが陽光教会に訪れたのは自分達の都合で異世界から呼び出したレナの謝罪の他に彼にバジリスクの討伐の協力を願う為だった。
しおりを挟む
感想 263

あなたにおすすめの小説

バイトで冒険者始めたら最強だったっていう話

紅赤
ファンタジー
ここは、地球とはまた別の世界―― 田舎町の実家で働きもせずニートをしていたタロー。 暢気に暮らしていたタローであったが、ある日両親から家を追い出されてしまう。 仕方なく。本当に仕方なく、当てもなく歩を進めて辿り着いたのは冒険者の集う街<タイタン> 「冒険者って何の仕事だ?」とよくわからないまま、彼はバイトで冒険者を始めることに。 最初は田舎者だと他の冒険者にバカにされるが、気にせずテキトーに依頼を受けるタロー。 しかし、その依頼は難度Aの高ランククエストであることが判明。 ギルドマスターのドラムスは急いで救出チームを編成し、タローを助けに向かおうと―― ――する前に、タローは何事もなく帰ってくるのであった。 しかもその姿は、 血まみれ。 右手には討伐したモンスターの首。 左手にはモンスターのドロップアイテム。 そしてスルメをかじりながら、背中にお爺さんを担いでいた。 「いや、情報量多すぎだろぉがあ゛ぁ!!」 ドラムスの叫びが響く中で、タローの意外な才能が発揮された瞬間だった。 タローの冒険者としての摩訶不思議な人生はこうして幕を開けたのである。 ――これは、バイトで冒険者を始めたら最強だった。という話――

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?

木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。 追放される理由はよく分からなかった。 彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。 結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。 しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。 たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。 ケイトは彼らを失いたくなかった。 勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。 しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。 「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」 これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

異世界に召喚されたが勇者ではなかったために放り出された夫婦は拾った赤ちゃんを守り育てる。そして3人の孤児を弟子にする。

お小遣い月3万
ファンタジー
 異世界に召喚された夫婦。だけど2人は勇者の資質を持っていなかった。ステータス画面を出現させることはできなかったのだ。ステータス画面が出現できない2人はレベルが上がらなかった。  夫の淳は初級魔法は使えるけど、それ以上の魔法は使えなかった。  妻の美子は魔法すら使えなかった。だけど、のちにユニークスキルを持っていることがわかる。彼女が作った料理を食べるとHPが回復するというユニークスキルである。  勇者になれなかった夫婦は城から放り出され、見知らぬ土地である異世界で暮らし始めた。  ある日、妻は川に洗濯に、夫はゴブリンの討伐に森に出かけた。  夫は竹のような植物が光っているのを見つける。光の正体を確認するために植物を切ると、そこに現れたのは赤ちゃんだった。  夫婦は赤ちゃんを育てることになった。赤ちゃんは女の子だった。  その子を大切に育てる。  女の子が5歳の時に、彼女がステータス画面を発現させることができるのに気づいてしまう。  2人は王様に子どもが奪われないようにステータス画面が発現することを隠した。  だけど子どもはどんどんと強くなって行く。    大切な我が子が魔王討伐に向かうまでの物語。世界で一番大切なモノを守るために夫婦は奮闘する。世界で一番愛しているモノの幸せのために夫婦は奮闘する。

不遇な死を迎えた召喚勇者、二度目の人生では魔王退治をスルーして、元の世界で気ままに生きる

六志麻あさ
ファンタジー
異世界に召喚され、魔王を倒して世界を救った少年、夏瀬彼方(なつせ・かなた)。 強大な力を持つ彼方を恐れた異世界の人々は、彼を追い立てる。彼方は不遇のうちに数十年を過ごし、老人となって死のうとしていた。 死の直前、現れた女神によって、彼方は二度目の人生を与えられる。異世界で得たチートはそのままに、現実世界の高校生として人生をやり直す彼方。 再び魔王に襲われる異世界を見捨て、彼方は勇者としてのチート能力を存分に使い、快適な生活を始める──。 ※小説家になろうからの転載です。なろう版の方が先行しています。 ※HOTランキング最高4位まで上がりました。ありがとうございます!

【完】転職ばかりしていたらパーティーを追放された私〜実は88種の職業の全スキル極めて勇者以上にチートな存在になっていたけど、もうどうでもいい

冬月光輝
ファンタジー
【勇者】のパーティーの一員であったルシアは職業を極めては転職を繰り返していたが、ある日、勇者から追放(クビ)を宣告される。 何もかもに疲れたルシアは適当に隠居先でも見つけようと旅に出たが、【天界】から追放された元(もと)【守護天使】の【堕天使】ラミアを【悪魔】の手から救ったことで新たな物語が始まる。 「わたくし達、追放仲間ですね」、「一生お慕いします」とラミアからの熱烈なアプローチに折れて仕方なくルシアは共に旅をすることにした。 その後、隣国の王女エリスに力を認められ、仕えるようになり、2人は数奇な運命に巻き込まれることに……。 追放コンビは不運な運命を逆転できるのか? (完結記念に澄石アラン様からラミアのイラストを頂きましたので、表紙に使用させてもらいました)

弟に裏切られ、王女に婚約破棄され、父に追放され、親友に殺されかけたけど、大賢者スキルと幼馴染のお陰で幸せ。

克全
ファンタジー
「アルファポリス」「カクヨム」「ノベルバ」に同時投稿しています。

処理中です...