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「ありゃ、師匠、いたんですか?」
「孫と語らってるんだよ、邪魔しないでおくれ」
「あー、そりゃすいませんね」
テオが私の前に葡萄ジュースを置いて立ち去ろうとしていた。それを目で追いながら、他の人ならどうするのかと思った。
「ねぇ、テオ?」
「何だ?」
「例えば、奥さんが他の男性と頻繁に密会していたらどうする?」
「は?嫌な事言うんじゃねぇよ」
「例えばよ」
「んー、そうだな。何か理由があるかも知れないから暫く観察して、納得出来なきゃ直接聞くかな」
テオは暫く悩んだ後、そう言った。そうよね、観察して、聞くわよね。でも、それで答えてくれなかったら…?
「聞いても答えてくれなかったら?」
「根気よく聞くかな。答えられない理由があるかもだから」
「それでも何も言ってくれなかったら?」
「俺の気持ちを全部伝えて、相手がどう出るかを見るな」
「テオの気持ち?」
私は…私の気持ちを伝えていない。
「あぁ、嫌な事は嫌だって言わないとわからないだろ?それが友達でも、仲間でも、嫁さんなら尚更」
「奥さんなら尚更…」
「そうだよ、ずっと一緒に暮らすんだ。それに、夫婦って言っても、頭が二つあったら考え方とか、行動とか、最低でも二通りだろ?」
「確かに…」
「言わないとわかんねぇし、聞かないとわかんねぇよ。そっから頭二つ使って解決策を考える」
あぁ、そうか。
そう言う事か。
霧が晴れないのは、私のせいでもあったのか。
「何だよ?リュダールに浮気疑惑でもあんのか?」
「こら!テオ!お前は本当に…!」
テオはいつも直球だ。そしてこんなに直球のテオでも聞かなきゃわからないと言った。そりゃそうだ。そんなの誰もわからない。
二人の事を何でも理解しているつもりでいたのね、私は。
「話してみろよ?楽になるかも知れないぜ?」
テオの軽い口調に、唇が開く。
ずっと抱えて来た。宝物でもないのに抱え込んでいた。
「実はね…」
私は二人に全てを話した。その時抱いた醜い感情も、それでもやっぱり信じたかった気持ちも。
「…あいつ、馬鹿だな」
「そうだねぇ…ポンコツだねぇ…」
お祖母様とテオが呆れ果てた様子で頭を抱えている。二人の様子が思ったより軽くて、一瞬え!?って思ったけど、周りから見たらそれくらいのもの?
「あの二人が本当に…お、想い合ってたら…わ、私は…」
じわり、と目が潤む。
そうならば、身を引こうと決めたじゃないの。
今更、泣くなんて。
「想い合ってないだろ…ねぇ?師匠」
「そうだねぇ…リュダールだもんねぇ…」
「え?え!?」
リュダールだもんねって…どう言う事…?私には見えてないリュダールがいるの?
「まぁ…そのうち本人が来るだろうから、その時じっくり話を聞こうか」
「場合に寄っては聞くだけじゃ終わらないかも知れないねぇ」
「え!?リュダール来るの!?やだ!私何処かに…」
会いたくない!!今、顔を見たら…感情を抑えられないかも知れない。
さぁっと血の気が引いた。
「逃げないでちゃんと話をしろ。お前があいつにしたのはただの言い逃げだ。それじゃ解決にはならない」
「今頃は屍になってるだろうから、来るとしてもまだ先さ。それまでに対策を考えようじゃないか」
「た、対策?」
「あぁ、クソ紛らわしい事する馬鹿共にお仕置きだ」
「そうだね、とっておきのお仕置きをしてやろうかね」
くっくっく…と目の前の人達が悪い顔になった。私はどうしようと思いながら、さっきお祖母様に言われた一言を思い出していた。
『たまには自分の事だけ考える』
ずっとそれはいけない事だと思っていた。みんなが納得できるようにするべきだと。私一人の意見を通す事は、我儘だと思っていた。
でも…自分の事だけ考えても良いのなら。
ほんの少しだけ。
我儘になってもいいのかな。
「私…少しだけ我儘になるわ…」
ぎゅっと拳を握る。
せめて、この休暇の間くらいは。
自分の意見を最優先する。
そう決めたら、どこかふっと楽になった気がした。
「孫と語らってるんだよ、邪魔しないでおくれ」
「あー、そりゃすいませんね」
テオが私の前に葡萄ジュースを置いて立ち去ろうとしていた。それを目で追いながら、他の人ならどうするのかと思った。
「ねぇ、テオ?」
「何だ?」
「例えば、奥さんが他の男性と頻繁に密会していたらどうする?」
「は?嫌な事言うんじゃねぇよ」
「例えばよ」
「んー、そうだな。何か理由があるかも知れないから暫く観察して、納得出来なきゃ直接聞くかな」
テオは暫く悩んだ後、そう言った。そうよね、観察して、聞くわよね。でも、それで答えてくれなかったら…?
「聞いても答えてくれなかったら?」
「根気よく聞くかな。答えられない理由があるかもだから」
「それでも何も言ってくれなかったら?」
「俺の気持ちを全部伝えて、相手がどう出るかを見るな」
「テオの気持ち?」
私は…私の気持ちを伝えていない。
「あぁ、嫌な事は嫌だって言わないとわからないだろ?それが友達でも、仲間でも、嫁さんなら尚更」
「奥さんなら尚更…」
「そうだよ、ずっと一緒に暮らすんだ。それに、夫婦って言っても、頭が二つあったら考え方とか、行動とか、最低でも二通りだろ?」
「確かに…」
「言わないとわかんねぇし、聞かないとわかんねぇよ。そっから頭二つ使って解決策を考える」
あぁ、そうか。
そう言う事か。
霧が晴れないのは、私のせいでもあったのか。
「何だよ?リュダールに浮気疑惑でもあんのか?」
「こら!テオ!お前は本当に…!」
テオはいつも直球だ。そしてこんなに直球のテオでも聞かなきゃわからないと言った。そりゃそうだ。そんなの誰もわからない。
二人の事を何でも理解しているつもりでいたのね、私は。
「話してみろよ?楽になるかも知れないぜ?」
テオの軽い口調に、唇が開く。
ずっと抱えて来た。宝物でもないのに抱え込んでいた。
「実はね…」
私は二人に全てを話した。その時抱いた醜い感情も、それでもやっぱり信じたかった気持ちも。
「…あいつ、馬鹿だな」
「そうだねぇ…ポンコツだねぇ…」
お祖母様とテオが呆れ果てた様子で頭を抱えている。二人の様子が思ったより軽くて、一瞬え!?って思ったけど、周りから見たらそれくらいのもの?
「あの二人が本当に…お、想い合ってたら…わ、私は…」
じわり、と目が潤む。
そうならば、身を引こうと決めたじゃないの。
今更、泣くなんて。
「想い合ってないだろ…ねぇ?師匠」
「そうだねぇ…リュダールだもんねぇ…」
「え?え!?」
リュダールだもんねって…どう言う事…?私には見えてないリュダールがいるの?
「まぁ…そのうち本人が来るだろうから、その時じっくり話を聞こうか」
「場合に寄っては聞くだけじゃ終わらないかも知れないねぇ」
「え!?リュダール来るの!?やだ!私何処かに…」
会いたくない!!今、顔を見たら…感情を抑えられないかも知れない。
さぁっと血の気が引いた。
「逃げないでちゃんと話をしろ。お前があいつにしたのはただの言い逃げだ。それじゃ解決にはならない」
「今頃は屍になってるだろうから、来るとしてもまだ先さ。それまでに対策を考えようじゃないか」
「た、対策?」
「あぁ、クソ紛らわしい事する馬鹿共にお仕置きだ」
「そうだね、とっておきのお仕置きをしてやろうかね」
くっくっく…と目の前の人達が悪い顔になった。私はどうしようと思いながら、さっきお祖母様に言われた一言を思い出していた。
『たまには自分の事だけ考える』
ずっとそれはいけない事だと思っていた。みんなが納得できるようにするべきだと。私一人の意見を通す事は、我儘だと思っていた。
でも…自分の事だけ考えても良いのなら。
ほんの少しだけ。
我儘になってもいいのかな。
「私…少しだけ我儘になるわ…」
ぎゅっと拳を握る。
せめて、この休暇の間くらいは。
自分の意見を最優先する。
そう決めたら、どこかふっと楽になった気がした。
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