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「さぁ!お前達!好きに飲んで、好きに食べなさい!」
お祖母様の食事開始の宣言にうおー!との太い声が響く。騎士団のみんなが雄叫びを上げた。
「うっせぇ…ティアラ、ちゃんと食べろよー」
「相変わらずみんな元気ね」
「おー、変わんねぇよ、みんな」
「テオは変わったでしょ?どう?新婚生活」
「なっ…んで知って…」
「お祖母様に聞いた」
にやりと笑うと真っ赤になったテオが口をぱくぱくとさせている。このモテ男にも昨年春がやって来たらしい。パン屋のお嬢さんを助けた所、恋が芽生えたとか。
「連れてくれば良かったのにぃ」
「いや、そうしたかったんだけどな。ちょっと、体調が良くなくて」
「え!?大丈夫なの!?」
「あー、大丈夫。悪阻だから」
「は!?え!?お、おめでとう!!」
「ありがとな」
なんと!!テオがパパに!!あのテオが!!!女性には笑顔の一つも見せた事のないこの男がパパ!!
うわぁ…人の人生ってわからないなぁ…!!
「お嬢様、お肉をどうぞ」
「ありがとう、モニカ。モニカも食べて来てね。私にはお兄様がいるから」
「俺はお兄様かよ」
「そうよ?」
実は、私の初恋はテオだったりする。無愛想だけど、たまに見せる優しい顔がカッコよくて密かに憧れていた。まぁ、歳の差が十歳離れてるから、ある程度の年齢でないなって思ったけど。
それに、その頃にはもう、私はリュダールに惹かれていたから。
「飲み物はジュースか?酒か?」
「ジュースで!!!」
「どうした、酒で失敗でもしたか?」
「抱きつき魔になるらしいのよね」
「そりゃ大変だ」
「でしょ?」
「お前に抱きつかれたら、うちの騎士団使いもんにならなくなるわ」
チラリと周りの騎士達を見回して、テオはうんうんと頷いている。私に抱きつかれたら、みんなの戦意が下がるって事?酷い!!
「ジュースな」
「うん、葡萄のね!」
「はいはい」
テオは飲み物コーナーに行ってしまった。私は周りを見渡して、来て良かったと改めて思った。お肉の取り合いをする人、お酒を飲んで楽しそうに騒ぐ人、脱ぎ出す人、何故か泣いてる人。たくさんの人がそれぞれ今を過ごしている。
私も、あんな風に今を目一杯楽しみたい。
「ティアラ、疲れてないかい?」
「あ、お祖母様!大丈夫です」
「そうかい。少し気分は晴れたかい?」
「え…もう…お祖母様には何でもお見通しですね」
「ははは、伊達に生きてないさ」
からからと笑うお祖母様が好きだ。自分の悩みが小さく思える。いつだって豪快で、真っ直ぐで。悩みや困難はすっぱりと切り開いちゃうお祖母様はカッコいい。
「ティアラは自分を後回しにする所があるからね。たまには自分の事だけ考えるのもいいさ」
「自分の事だけ…」
「そう、あいつらを見てみなよ。肉なんて焼けばあるのに取り合いして今は殴り合ってる」
「あ、ほんとだ」
これは俺の肉だ!いいや俺のだ!と殴り合う人がいるのに、みんな無視してそのお肉を食べている。多分、殴り合いが終わったら何も焼けてない。
「肉一枚で殴り合う奴もいれば、酒なんていつでも飲めるのに何故か飲み比べを始めたり。レディがいるっていうのに、脱いだりさ」
「あぁ…すでに下着一枚ですね」
「自分のしたい事を優先してるだろ?」
確かに。楽しさを紐解いてみたら、やりたい事をやってるだけだわ。脱ぐ人、特に。誰も望んでないのに。
「ティアラもね、そうすれば良いのになってお祖母様は思うんだよ」
「…良いのかしら…自分のしたい事をして、思った事をぶちまけても」
「もちろんいいさ!誰かの為にって生きるのも大切だ。だけど、まず自分がスッキリしないと!」
「そうね…」
確かにスッキリしてなかった。もやもやと霧の中を歩いてるみたいに。気になるなら聞けば良かったのに。
ただ、怖くて聞けなかっただけだ。
「壁があれば登るだろ?それでも越えられなかったら、いっそ壊せば良い」
「壊す…」
「そうさ!バラバラに壊せば、もう壁じゃない。そして、それを越えるんだ」
「バラバラに…壊す…」
リュダールとの関係を壊して…越える…。
もやもやした霧が晴れたら、そこには何があるだろう。
「お祖母様…私、ちゃんと知ろうとしなかった事があるの」
「ほう、そりゃ知らなきゃ何にも出来ないねぇ」
「何にも…?」
「知らない事には対処出来ないだろ?」
対処…した事になってないのかしら…あれは。
私の中で疑問が浮かぶ。
どうすれば、きちんと出来るのかしら。
リュダールとアリーシャ、そして私。
全員がスッキリして前に進める方法は他にもあったのかしら。
私の脳内は疑問だらけになってしまった。
お祖母様の食事開始の宣言にうおー!との太い声が響く。騎士団のみんなが雄叫びを上げた。
「うっせぇ…ティアラ、ちゃんと食べろよー」
「相変わらずみんな元気ね」
「おー、変わんねぇよ、みんな」
「テオは変わったでしょ?どう?新婚生活」
「なっ…んで知って…」
「お祖母様に聞いた」
にやりと笑うと真っ赤になったテオが口をぱくぱくとさせている。このモテ男にも昨年春がやって来たらしい。パン屋のお嬢さんを助けた所、恋が芽生えたとか。
「連れてくれば良かったのにぃ」
「いや、そうしたかったんだけどな。ちょっと、体調が良くなくて」
「え!?大丈夫なの!?」
「あー、大丈夫。悪阻だから」
「は!?え!?お、おめでとう!!」
「ありがとな」
なんと!!テオがパパに!!あのテオが!!!女性には笑顔の一つも見せた事のないこの男がパパ!!
うわぁ…人の人生ってわからないなぁ…!!
「お嬢様、お肉をどうぞ」
「ありがとう、モニカ。モニカも食べて来てね。私にはお兄様がいるから」
「俺はお兄様かよ」
「そうよ?」
実は、私の初恋はテオだったりする。無愛想だけど、たまに見せる優しい顔がカッコよくて密かに憧れていた。まぁ、歳の差が十歳離れてるから、ある程度の年齢でないなって思ったけど。
それに、その頃にはもう、私はリュダールに惹かれていたから。
「飲み物はジュースか?酒か?」
「ジュースで!!!」
「どうした、酒で失敗でもしたか?」
「抱きつき魔になるらしいのよね」
「そりゃ大変だ」
「でしょ?」
「お前に抱きつかれたら、うちの騎士団使いもんにならなくなるわ」
チラリと周りの騎士達を見回して、テオはうんうんと頷いている。私に抱きつかれたら、みんなの戦意が下がるって事?酷い!!
「ジュースな」
「うん、葡萄のね!」
「はいはい」
テオは飲み物コーナーに行ってしまった。私は周りを見渡して、来て良かったと改めて思った。お肉の取り合いをする人、お酒を飲んで楽しそうに騒ぐ人、脱ぎ出す人、何故か泣いてる人。たくさんの人がそれぞれ今を過ごしている。
私も、あんな風に今を目一杯楽しみたい。
「ティアラ、疲れてないかい?」
「あ、お祖母様!大丈夫です」
「そうかい。少し気分は晴れたかい?」
「え…もう…お祖母様には何でもお見通しですね」
「ははは、伊達に生きてないさ」
からからと笑うお祖母様が好きだ。自分の悩みが小さく思える。いつだって豪快で、真っ直ぐで。悩みや困難はすっぱりと切り開いちゃうお祖母様はカッコいい。
「ティアラは自分を後回しにする所があるからね。たまには自分の事だけ考えるのもいいさ」
「自分の事だけ…」
「そう、あいつらを見てみなよ。肉なんて焼けばあるのに取り合いして今は殴り合ってる」
「あ、ほんとだ」
これは俺の肉だ!いいや俺のだ!と殴り合う人がいるのに、みんな無視してそのお肉を食べている。多分、殴り合いが終わったら何も焼けてない。
「肉一枚で殴り合う奴もいれば、酒なんていつでも飲めるのに何故か飲み比べを始めたり。レディがいるっていうのに、脱いだりさ」
「あぁ…すでに下着一枚ですね」
「自分のしたい事を優先してるだろ?」
確かに。楽しさを紐解いてみたら、やりたい事をやってるだけだわ。脱ぐ人、特に。誰も望んでないのに。
「ティアラもね、そうすれば良いのになってお祖母様は思うんだよ」
「…良いのかしら…自分のしたい事をして、思った事をぶちまけても」
「もちろんいいさ!誰かの為にって生きるのも大切だ。だけど、まず自分がスッキリしないと!」
「そうね…」
確かにスッキリしてなかった。もやもやと霧の中を歩いてるみたいに。気になるなら聞けば良かったのに。
ただ、怖くて聞けなかっただけだ。
「壁があれば登るだろ?それでも越えられなかったら、いっそ壊せば良い」
「壊す…」
「そうさ!バラバラに壊せば、もう壁じゃない。そして、それを越えるんだ」
「バラバラに…壊す…」
リュダールとの関係を壊して…越える…。
もやもやした霧が晴れたら、そこには何があるだろう。
「お祖母様…私、ちゃんと知ろうとしなかった事があるの」
「ほう、そりゃ知らなきゃ何にも出来ないねぇ」
「何にも…?」
「知らない事には対処出来ないだろ?」
対処…した事になってないのかしら…あれは。
私の中で疑問が浮かぶ。
どうすれば、きちんと出来るのかしら。
リュダールとアリーシャ、そして私。
全員がスッキリして前に進める方法は他にもあったのかしら。
私の脳内は疑問だらけになってしまった。
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