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第二章
朝食での後悔
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カーテンが開かれる音でセラは目を覚ました。眠りは浅く、頭は重く、体は鉛のようにだるい。
ふと隣を見るとエドモンドの姿は無かった。
「おはようございます、セラ様」
リゼットが控えめな声で呼びかける。
「……ええ」
返事をしながらも、瞼はまだ半分しか開かない。
身支度を整え、王妃としての最初の朝食へと向かう。
長い食堂の中央、白いクロスのかかった長卓の一端に、エドモンドがすでに着席していた。濃紺の衣の羽織り、背筋を伸ばしてカップを手にしている。
「おはようございます、陛下」
「おはよう」
短く返された声は、昨夜と同じく感情の色を帯びていない。
給仕たちが音もなくセラの前に朝食の準備をする。香ばしいパンと、薄くスープの湯気が立つ皿が並べられる。
セラは礼儀を守って口をつけるが、緊張と寝不足で食欲がわかない。匙を手にしたまま、つい瞼が落ちそうになる。
「……」
はっとして姿勢を正すも、また瞼が重くなり、しまいには首がこくりと前に倒れそうになる。
その様子を、エドモンドは黙って見ていた。
(やはり年には勝てぬということか)
わかっていたことだったのだ。しかし、聖女としての威厳すら感じない、ただの老婆の姿に、エドモンドは、落胆を隠せなかった。
「無理をなさらず、今日はお部屋で休むといい」
エドモンドはなるべく感情を出さぬよう言い、朝食の席を立つ。
「あ……」
セラは何か言おうとしたが、睡魔と疲れで言葉が出てこない。そして主のいないエドモンドの席をじっと見つめるしかできなかった。
最後までお読みいただきありがとうございます。
※面白いと感じていただけましたら、ブックマークや評価で応援していただけると嬉しいです。
ふと隣を見るとエドモンドの姿は無かった。
「おはようございます、セラ様」
リゼットが控えめな声で呼びかける。
「……ええ」
返事をしながらも、瞼はまだ半分しか開かない。
身支度を整え、王妃としての最初の朝食へと向かう。
長い食堂の中央、白いクロスのかかった長卓の一端に、エドモンドがすでに着席していた。濃紺の衣の羽織り、背筋を伸ばしてカップを手にしている。
「おはようございます、陛下」
「おはよう」
短く返された声は、昨夜と同じく感情の色を帯びていない。
給仕たちが音もなくセラの前に朝食の準備をする。香ばしいパンと、薄くスープの湯気が立つ皿が並べられる。
セラは礼儀を守って口をつけるが、緊張と寝不足で食欲がわかない。匙を手にしたまま、つい瞼が落ちそうになる。
「……」
はっとして姿勢を正すも、また瞼が重くなり、しまいには首がこくりと前に倒れそうになる。
その様子を、エドモンドは黙って見ていた。
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わかっていたことだったのだ。しかし、聖女としての威厳すら感じない、ただの老婆の姿に、エドモンドは、落胆を隠せなかった。
「無理をなさらず、今日はお部屋で休むといい」
エドモンドはなるべく感情を出さぬよう言い、朝食の席を立つ。
「あ……」
セラは何か言おうとしたが、睡魔と疲れで言葉が出てこない。そして主のいないエドモンドの席をじっと見つめるしかできなかった。
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