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15、いざ、侯爵家へ
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私は今ミーラと共に公爵家の豪華でしっかりとした作りの馬車に乗り込み、侯爵家に向かっていました。
でも私が侯爵家に向かっている理由は、ヴァル様との婚姻が嫌になったことでも、お義母様達にもう一度仕えるためでもありません。
私は決定的な証拠を掴み、そして引導を渡す為にもう一度戻ることを決めたのです。
「お嬢様、ヴァルレイ様は許してくれたのですか?」
あの時話し合いの場にいなかったミーラが私に尋ねます。
「ええ、勿論よ。ヴァル様にも夫人にも伝えているわ」
…私が侯爵家に戻ると伝えた時はヴァル様のお顔が青ざめてしまったけれど…。
それでもすぐ迎えに行くとヴァル様は言ってくださいました。
◇
「も、戻るとはどういうことだ…?」
血の気が引いたヴァル様が私に尋ねました。
「ええ、私にもわかるようにいってくれないかしら?」
夫人にも疑問を投げかけられて、私は今読んだばかりの手紙を三人に見せるためにテーブルの上に置きました。
「…これは」
「…すごいね…」
「なんて腹立たしい内容なの」
怒りをあらわにする二人に私は嬉しくなりました。
私の為に怒ってくれる人がいることが本当に嬉しいのです。
ちなみに殿下は手紙の内容にかなりひいていましたし、憐れみの目を向けています。
「ここに書いてある通り、手紙の内容は【辞めた使用人たちの代わりに私が侯爵家に戻り仕事をする】事。
そして【私が持ち出したお金と公爵家から割り当てられているお金を持ってくる】事です」
公爵家から割り当てられているお金というのは私も正直訳がわからないので、なにもいうことはできません。
そもそも私はまだ公爵家の一員ではありませんし、まだ侯爵家の人間なのです。
そんな人に小遣いが支払われていると本気で思っているのでしょうか?
何のために洋服等最低限ながら用意したと思っているのでしょうか。
「ちなみに私が持ち出したお金、というのは心当たりがありませんが……おそらく公爵家に来る前に購入したドレス代等のことを言ってるのではないかと思います。
……あ、勿論公爵家から金品になるものは持ち出そうとは思っておりませんので安心してください!」
「そんなことは思ってもない!」
「ええ!そうよ!寧ろアニーちゃんの為にたくさんたくさん用意したいのに、ヴァルが”私がプレゼントするのです”とかいって私に選ばせても買わせてもくれないのよ!?
というかアニーちゃんの為になるものなら少し持ち出したくらいで何も思わないわ!」
「仕方ないですよ夫人。学生時代のヴァルは一目惚れしたアニー嬢になんのアピールも出来なかったんですから、今したくてうずうずしているんでしょう」
「母上も殿下も暴露しないでください!!!というかアニーはそういうことをいってるのではありません!」
「わかってるわよー、ちょっと口が滑っちゃっただけじゃない」
「ちなみに僕はわざと言ったよ」
「殿下は黙ってろ。
…母上はすぐにふざけるところがあるんだ。すまない」
謝るヴァル様の後ろで楽しそうに笑っている夫人と殿下を見て私は顔が熱くなりました。
(…ヴァル様から学生の時から好きだったと聞いてはいましたが、まさか一目惚れだったなんて…)
ドキドキと胸がうるさくなりますが、今はそういう場面ではないですわね。
「あ、あの……話を戻してもいいですか?」
ああ、ごめんねと続きを促す二人に私は続けました。
「この手紙の通り、私は一度侯爵家に戻ろうかと思います。
ですがお義母様の従順な僕になる為に戻るわけではありません」
「危険すぎる!」
ヴァル様が声を荒げますが、私は首を振りました。
「ヴァル様、私は善人の塊のような人間ではないのです。
私を利用する為に、犯罪に手を染め、人を呪うような人にはちゃんと罪を償ってもらいたいだけなのです」
「だが!あの女は君の母上を!」
「ヴァル…!」
夫人が声を上げヴァル様の言葉を遮りました。
ですが、私はどうしても聞き流せない言葉を聞いてしまったのです。
「”私のお母様を”…なんですか?」
お母様は頭を抱えて、ヴァル様を恨めしそうに睨みつけました。
「まだ話すつもりはなかったのに……」
「お願いします!教えてください!」
詰め寄る私に夫人は重い息を吐き出したあと話してくれたのでした。
◇
あの日の事を思い出した私は、手にしている鞄をぎゅうと握りしめました。
夫人は私に話してくださいました。
お父様は平民街にある娼館に通っていたこと。
それはお母様と結婚する前から続けられ、かなり回数は落ちたが今も続けられていること。
仕事で家を空けていると信じていたのは全て虚偽だったのだと、私は初めて知ったのです。
それにマナビリアさんをお義母様として連れて来たのはお父様なのに、お父様の娼館通いは今でも続けられているところに同情してしまいます。
それでも、お義母様を決して許せないと、そう誓うほどの事柄を告げられました。
それはマナビリアさんが、私のお母様を呪って殺害したかもしれないという事。
この国は土葬が一般的であり、お母様が亡くなってからまだ三年余りしか経っておりません。
夫人は私に悪いと思いつつ、埋葬されたお母様を掘り起こしたといっていました。
そして掘り起こされたお母様からは”甘い匂い”が漂っていたことがわかったらしいです。
香りは香水やオイル等身につける物以外では体臭のみで、死体からは体臭が発することはありません。
腐臭を防ぐために内臓等の臓器も取り除かれますし、亡骸は綺麗に洗浄されるのです。
それなのにお母様から香りがする理由はただ一つ。
【呪術による香り】
先程にもお伝えした通り呪術が強ければ強いほどに、香りはきつくなり、効果が出ると聞きます。
つまり原因不明だったお母様の死の原因は、呪術によるものだということでした。
(……ちょっと待って……)
ここで私は恐ろしい事を考えてしまいました。
お義母様…いえ、”マナビリア”が最初から私を呪おうとしていなかったとしたら?
(……)
ゴクリと生唾を飲み込みました。
お母様とお父様が出会う前から、お父様とマナビリアが関係を持っていました。
だからこそエリアが私よりも先に生まれているのです。
お父様と恋仲だったマナビリアがお母様を疎んでいて、邪魔をされたと考えたマナビリアがお母様を殺そうと呪具をお母様に渡していた。
勿論その場合はマナビリアとお母様に接点はありませんでしょうから、お父様も共犯だという事でしょう。
マナビリアの呪術者としての力がどれほどの者かはわかりませんが、このブレスレットからわかるように、魔法使いの私をこんな”微かな香り”で洗脳状態に出来るとしたら…。
沢山の呪具がお母様の周りを囲んでいたとしたら、人を殺すことだって可能なのではないでしょうか……。
呪術で人が死んだ場合、原因不明とその場で判断されてしまう事が多いのです。
今回の場合匂いで呪術だった可能性が分かる場合もありますが、それは死体から香りはしないからであり、死体を掘り返すことはありませんし、死体そのものがない場合は呪術は完全な殺害方法となるのです。
これが国で違法と認められた理由でもあります。
(最初は私に仕掛けられた呪具を探す為でしたが…)
正直まだ自分の仮説が信じられません。
でもお母様の死の原因を突き止めたい。
だからこそもう一度侯爵家に戻り、呪具を見つけ出す。
これが私が侯爵家に戻る理由です。
「お嬢様…」
ミーラが私の隣で不安そうな表情を浮かべています。
無理もありません。
夫人から「アニーちゃんの大変さを肌で実感してもらいたくて、侯爵家の使用人たちは全て公爵家で保護しているわ」と伝えられたのですから。
つまりどういうことかというと、今侯爵家にはお父様と、マナビリア、そしてエリアの三人だけしかいないということなのです。
私と共に戻ってきたミーラが、彼女たちにどんな扱いを受けるのか。
「大丈夫よ、ミーラ」
私はもうマナビリアの従順な僕ではない、クラベリック侯爵令嬢のアニーなんだから。
私があなたを守ってあげる。
でも私が侯爵家に向かっている理由は、ヴァル様との婚姻が嫌になったことでも、お義母様達にもう一度仕えるためでもありません。
私は決定的な証拠を掴み、そして引導を渡す為にもう一度戻ることを決めたのです。
「お嬢様、ヴァルレイ様は許してくれたのですか?」
あの時話し合いの場にいなかったミーラが私に尋ねます。
「ええ、勿論よ。ヴァル様にも夫人にも伝えているわ」
…私が侯爵家に戻ると伝えた時はヴァル様のお顔が青ざめてしまったけれど…。
それでもすぐ迎えに行くとヴァル様は言ってくださいました。
◇
「も、戻るとはどういうことだ…?」
血の気が引いたヴァル様が私に尋ねました。
「ええ、私にもわかるようにいってくれないかしら?」
夫人にも疑問を投げかけられて、私は今読んだばかりの手紙を三人に見せるためにテーブルの上に置きました。
「…これは」
「…すごいね…」
「なんて腹立たしい内容なの」
怒りをあらわにする二人に私は嬉しくなりました。
私の為に怒ってくれる人がいることが本当に嬉しいのです。
ちなみに殿下は手紙の内容にかなりひいていましたし、憐れみの目を向けています。
「ここに書いてある通り、手紙の内容は【辞めた使用人たちの代わりに私が侯爵家に戻り仕事をする】事。
そして【私が持ち出したお金と公爵家から割り当てられているお金を持ってくる】事です」
公爵家から割り当てられているお金というのは私も正直訳がわからないので、なにもいうことはできません。
そもそも私はまだ公爵家の一員ではありませんし、まだ侯爵家の人間なのです。
そんな人に小遣いが支払われていると本気で思っているのでしょうか?
何のために洋服等最低限ながら用意したと思っているのでしょうか。
「ちなみに私が持ち出したお金、というのは心当たりがありませんが……おそらく公爵家に来る前に購入したドレス代等のことを言ってるのではないかと思います。
……あ、勿論公爵家から金品になるものは持ち出そうとは思っておりませんので安心してください!」
「そんなことは思ってもない!」
「ええ!そうよ!寧ろアニーちゃんの為にたくさんたくさん用意したいのに、ヴァルが”私がプレゼントするのです”とかいって私に選ばせても買わせてもくれないのよ!?
というかアニーちゃんの為になるものなら少し持ち出したくらいで何も思わないわ!」
「仕方ないですよ夫人。学生時代のヴァルは一目惚れしたアニー嬢になんのアピールも出来なかったんですから、今したくてうずうずしているんでしょう」
「母上も殿下も暴露しないでください!!!というかアニーはそういうことをいってるのではありません!」
「わかってるわよー、ちょっと口が滑っちゃっただけじゃない」
「ちなみに僕はわざと言ったよ」
「殿下は黙ってろ。
…母上はすぐにふざけるところがあるんだ。すまない」
謝るヴァル様の後ろで楽しそうに笑っている夫人と殿下を見て私は顔が熱くなりました。
(…ヴァル様から学生の時から好きだったと聞いてはいましたが、まさか一目惚れだったなんて…)
ドキドキと胸がうるさくなりますが、今はそういう場面ではないですわね。
「あ、あの……話を戻してもいいですか?」
ああ、ごめんねと続きを促す二人に私は続けました。
「この手紙の通り、私は一度侯爵家に戻ろうかと思います。
ですがお義母様の従順な僕になる為に戻るわけではありません」
「危険すぎる!」
ヴァル様が声を荒げますが、私は首を振りました。
「ヴァル様、私は善人の塊のような人間ではないのです。
私を利用する為に、犯罪に手を染め、人を呪うような人にはちゃんと罪を償ってもらいたいだけなのです」
「だが!あの女は君の母上を!」
「ヴァル…!」
夫人が声を上げヴァル様の言葉を遮りました。
ですが、私はどうしても聞き流せない言葉を聞いてしまったのです。
「”私のお母様を”…なんですか?」
お母様は頭を抱えて、ヴァル様を恨めしそうに睨みつけました。
「まだ話すつもりはなかったのに……」
「お願いします!教えてください!」
詰め寄る私に夫人は重い息を吐き出したあと話してくれたのでした。
◇
あの日の事を思い出した私は、手にしている鞄をぎゅうと握りしめました。
夫人は私に話してくださいました。
お父様は平民街にある娼館に通っていたこと。
それはお母様と結婚する前から続けられ、かなり回数は落ちたが今も続けられていること。
仕事で家を空けていると信じていたのは全て虚偽だったのだと、私は初めて知ったのです。
それにマナビリアさんをお義母様として連れて来たのはお父様なのに、お父様の娼館通いは今でも続けられているところに同情してしまいます。
それでも、お義母様を決して許せないと、そう誓うほどの事柄を告げられました。
それはマナビリアさんが、私のお母様を呪って殺害したかもしれないという事。
この国は土葬が一般的であり、お母様が亡くなってからまだ三年余りしか経っておりません。
夫人は私に悪いと思いつつ、埋葬されたお母様を掘り起こしたといっていました。
そして掘り起こされたお母様からは”甘い匂い”が漂っていたことがわかったらしいです。
香りは香水やオイル等身につける物以外では体臭のみで、死体からは体臭が発することはありません。
腐臭を防ぐために内臓等の臓器も取り除かれますし、亡骸は綺麗に洗浄されるのです。
それなのにお母様から香りがする理由はただ一つ。
【呪術による香り】
先程にもお伝えした通り呪術が強ければ強いほどに、香りはきつくなり、効果が出ると聞きます。
つまり原因不明だったお母様の死の原因は、呪術によるものだということでした。
(……ちょっと待って……)
ここで私は恐ろしい事を考えてしまいました。
お義母様…いえ、”マナビリア”が最初から私を呪おうとしていなかったとしたら?
(……)
ゴクリと生唾を飲み込みました。
お母様とお父様が出会う前から、お父様とマナビリアが関係を持っていました。
だからこそエリアが私よりも先に生まれているのです。
お父様と恋仲だったマナビリアがお母様を疎んでいて、邪魔をされたと考えたマナビリアがお母様を殺そうと呪具をお母様に渡していた。
勿論その場合はマナビリアとお母様に接点はありませんでしょうから、お父様も共犯だという事でしょう。
マナビリアの呪術者としての力がどれほどの者かはわかりませんが、このブレスレットからわかるように、魔法使いの私をこんな”微かな香り”で洗脳状態に出来るとしたら…。
沢山の呪具がお母様の周りを囲んでいたとしたら、人を殺すことだって可能なのではないでしょうか……。
呪術で人が死んだ場合、原因不明とその場で判断されてしまう事が多いのです。
今回の場合匂いで呪術だった可能性が分かる場合もありますが、それは死体から香りはしないからであり、死体を掘り返すことはありませんし、死体そのものがない場合は呪術は完全な殺害方法となるのです。
これが国で違法と認められた理由でもあります。
(最初は私に仕掛けられた呪具を探す為でしたが…)
正直まだ自分の仮説が信じられません。
でもお母様の死の原因を突き止めたい。
だからこそもう一度侯爵家に戻り、呪具を見つけ出す。
これが私が侯爵家に戻る理由です。
「お嬢様…」
ミーラが私の隣で不安そうな表情を浮かべています。
無理もありません。
夫人から「アニーちゃんの大変さを肌で実感してもらいたくて、侯爵家の使用人たちは全て公爵家で保護しているわ」と伝えられたのですから。
つまりどういうことかというと、今侯爵家にはお父様と、マナビリア、そしてエリアの三人だけしかいないということなのです。
私と共に戻ってきたミーラが、彼女たちにどんな扱いを受けるのか。
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