35 / 47
Episode2・魔界の玉座のかたわらに
家族で初めての洞窟探検2
しおりを挟む
「ドミニク様、突然のお願いで不躾かと思いますが、昨夜お話ししていた祈り石について詳しく聞かせてください」
「まさか王妃様に興味を持っていただけるとは光栄の至りです。やはり引退して研究に没頭して正解だった……! まず祈り石の伝承についてですが、これはいにしえの時代に遡ります。所有者の祈りを宿す石といわれ、石自体に魔石のような力があります」
「魔石とは違うのですか?」
魔石とは、石自体に魔力が籠もった石のことです。
その魔力に強弱はあるものの強い魔石となると制御が難しく、特別な魔石は魔王の宝物庫で厳重に管理されているほどです。
でも祈り石とはいったいどう違うのか……。
「祈り石を魔石のような禍々しいものと一緒にしてはいけません。祈り石は所有者の祈りによって力を宿す奇跡の石です。魔石のように無差別なものではありません」
「いまいちピンときませんが、それって凄いことなんですよね?」
「所有者の祈り次第ですが宿す力に際限はありません。魔力の才覚に左右されるものではないのです。だから世界に二つとない石なんです」
「魔力の有無は関係ないのですね」
「そうです。しかし今の時代、言い伝えが残っているだけで実物を見た者はいません。ここから東北の位置にある山岳の鍾乳洞にあると言われていますが、古い時代の魔王によって仕掛けられた術で鍾乳洞の奥へ行くことが難しいんですよ。禁域として立ち入り禁止の場所になっています」
「古い時代の魔王……」
なんとなくハウストを見つめます。
視線に気づいた彼は、俺は関係ないぞと首を横に振りました。
「ブレイラ、俺が仕掛けた訳じゃない」
「分かっていますよ。でも古い時代の魔王の術とはどういうものなのです? とても恐ろしいものなんですか?」
問いかけた私にハウストはなんとも複雑な顔をしました。
「……いや、別段危険な術というわけじゃない。鍾乳洞の中で魔力を使うと外に強制送還されるという単純なものだ」
「え、なんですかそれ」
予想外の術内容に驚きました。
なんだか思っていたのと違います。もっと重大な問題が発生するものだとばかり。
「俺に聞くな。だが、だからこそ今まで放置されてきたんだ。歴代魔王もわざわざ術を解除する必要性にも迫られなかった。それほど危険な術ではないからな」
「あなたもですか?」
「解除することはできるが、すぐには無理だぞ? 古くとも魔王が施したものだ。術は単純でも解除にはそれなりの時間がかかる」
「なるほど、それもあって放置されているわけですね」
「そうだ。鍾乳洞の奥に祈り石があるという伝承はあるが、あくまで伝承だ。見たことがないから確信がない。わざわざ解除する理由もないだろう。なかには禁域でも強行する者がいるが、攻略が無謀と悟れば強制送還で帰ってくる」
鍾乳洞は迷路のように複雑で攻略の難易度は高いようです。魔力を使えないという縛りが更に攻略を難しくしますが、同時に冒険者たちを救っているようでもありました。
「……でも、そこに祈り石がある可能性が高いんですよね?」
世界に二つとない石が。
魔力を持たない私でも力を宿せる石。欲しいです。
膝に抱っこしているゼロスの小さな体をぎゅっと抱きしめる。
自分がどれだけ無謀なことを考えているか分かっています。でも。
「ハウスト、あの、私」
「言うな。嫌な予感がする」
言葉にする前に遮られてしまいました。
彼はなんとも言えない顔で私を見ています。
「……最後まで言わせてください」
「言わなくてもだいたい分かる。鍾乳洞に行きたいとか言うんだろう。何をしに行くつもりだ」
ハウストが呆れた顔で私を見ています。
分かっています。自分がどれだけ馬鹿なことを言っているか、どれだけ無謀か。でも祈り石が欲しいです。祈り石の指輪をハウストに贈りたい。我儘は承知しています。でも、どうしても……。
「祈り石が、気になってしまって……」
「伝承だ」
「確かめなければ分かりません」
食らいつく私にハウストが眉間に皺を刻みます。
「どうしてそんな物に拘るんだ。石に興味があるなら俺の宝物庫で魔石でも何でも見せてやるから、祈り石は諦めろ」
「祈り石でないとダメです!」
拳を作って言い返した私にハウストが押し黙りました。
微妙な沈黙が落ちましたが、真ん中で私とハウストを交互に見ていたイスラが口を開く。
「オレもいく! ブレイラとみにいく!」
「えっ、イスラまで……。魔力が使えない場所なんですよ?」
「やめておけ、イスラ。お前にはまだ厳しい縛りだ」
難色を示した私とハウストにイスラがムッとしてしまう。
「オレ、つよいのに」
「それは分かっていますが鍾乳洞にあなたを連れて行くなんて……」
とても行きたい場所ですが、イスラまで巻き込んでしまう訳にはいきません。もしイスラの身に何かあったらと想像するだけで恐ろしい。
イスラが絡むなら話しは別、それなら私が諦めた方がマシです。
でも、正面に座るドミニクが満面笑顔で提案してくれる。
「よろしければ案内いたしましょうか? ここに鍾乳洞の地図がございます」
そう言ってドミニクが古い地図をテーブルに広げました。
色褪せた地図は文献といっても差し支えないほど古いものです。
「え、これが鍾乳洞の?」
「はい。古い地図ですが本物であることは確認できています。ここが鍾乳洞の入口で、祈り石があると言われているのは丁度この辺りです」
「ここに祈り石が……」
ごくり、息を飲む。せっかく諦めようと思ったのに、目の前に差し出された祈り石の在り処に心が揺れる。
私の隣ではイスラが「たからさがしみたいだ!」と瞳を輝かせています。どうやら好奇心が刺激されまくっているようです。
しかしハウストは目を据わらせる。
「……ドミニク、なんのつもりだ」
「敬愛する王妃様の願いを叶えたく」
「白々しい事を言うな。お前が行きたいだけだろう」
ハウストが低い声で言うと、たしかに否定しませんが……とドミニクが目を逸らす。
でもドミニクも譲れないとばかりにハウストを見返しました。
「べ、別に行きたい訳ではありません。この手で祈り石を加工してみたいだけです」
「ならばブレイラを巻き込むな」
「魔界の民草の一人として王妃様の願いを叶えたく」
「なにが民草だ」
ぎろりとハウストが睨むと、ドミニクが嘆くように天井を仰ぎました。
「ああっ、王妃様が祈り石に興味を持ってくださるなど滅多にない奇跡だというのに、この魔王ときたらっ。だいたい考えてみてくれ、鍾乳洞に入ったとしても魔力を使えば強制送還だ。危なくなれば魔力を使って外に出ればいい! そう考えるとちょっとした鍾乳洞探検、いやハイキングみたいなものだ!」
ハイキング。ちょっと違うような気もしますがドミニクが鍾乳洞探検の安全性を力説しました。
でも、たしかに納得できないものではありません。ドミニクの言う通り危なくなれば引き返せばいいのです。
「あの、ハウスト、私……」
ハウストをじっと見つめる。
目が合ったハウストは眉間に皺を刻んで顎を引きます。
「……そんなに行きたいのか?」
「……はい。行きたいです」
我儘は承知です。自己満足というのも分かっています。
でもどうしても行きたいです。
本当なら一人でこっそり行くのが良いのでしょう。ハウストに贈る指輪の石を取りに行くのですから。きっと以前ならそうしていました。
しかし今はそれがどれだけハウストを心配させ、周囲の方々に迷惑をかけるか知っています。
私だって、大切なイスラやゼロスやハウストがどんな理由があっても勝手にどこかへ行ったら怒ります。とても心配します。そしてそれはハウストも一緒なのですよね。
だから、どうして行きたいかは秘密にしても、行くことに対してはハウストの許しが欲しいです。我儘をお願いしているのに勝手なことまで出来ません。
「お願いします、ハウスト。行くことを許してください」
「駄目だと言えば諦めてくれるか?」
「……あなたに心配をかけたい訳ではないので、ハウストが駄目だと言うなら……諦めます」
視線が僅かに落ちました。
諦めるのは残念ですが、ハウストの許しがないなら仕方ありません。許したくないと思うハウストの気持ちも分かるからです。
「……分かった。だが条件が一つ、俺も同行させることだ」
「えっ、い、いいんですか?!」
勢いよく聞き返しました。
信じられません。反対されるとばかり思っていました。
驚く私にハウストが苦笑します。
「いいも何も行きたいなら仕方ない。ここで駄目だと言うのは簡単だが、拗ねられても困るからな」
「拗ねません! でも、ありがとうございますっ」
顔が喜びに綻んでいく。
まさか許してもらえるなんて思ってもいませんでした。
ハウストはそんな私に目を細めて立ち上がる。
「そうと決まれば支度を急がせる。鍾乳洞は魔力が使えない場所だ、それなりの準備が必要になる」
ハウストは私にここで待つように言うと工房を出て行きました。
工房の外で待っている侍従に鍾乳洞へ入る準備をさせにいくのです。
残された私はお茶を一口飲むと、改めてドミニクを見つめました。
「ドミニク様、ありがとうございました。……一つ、お願いがございます」
「ほう、お願いですか。それは王妃様がどうしても祈り石を手に入れたい理由に関係があるものですか?」
直球で聞かれてしまいました。
驚きながらも苦笑してしまう。
「やはりバレていましたか」
「もちろんです。私には願ってもない嬉しい事でしたからね」
「ふふ、それならお願いも口にしやすいというもの。あなたにお願いしたいことは一つです」
私はドミニクをまっすぐに見つめ、どうしても頼みたいお願い事を口にしたのでした。
「まさか王妃様に興味を持っていただけるとは光栄の至りです。やはり引退して研究に没頭して正解だった……! まず祈り石の伝承についてですが、これはいにしえの時代に遡ります。所有者の祈りを宿す石といわれ、石自体に魔石のような力があります」
「魔石とは違うのですか?」
魔石とは、石自体に魔力が籠もった石のことです。
その魔力に強弱はあるものの強い魔石となると制御が難しく、特別な魔石は魔王の宝物庫で厳重に管理されているほどです。
でも祈り石とはいったいどう違うのか……。
「祈り石を魔石のような禍々しいものと一緒にしてはいけません。祈り石は所有者の祈りによって力を宿す奇跡の石です。魔石のように無差別なものではありません」
「いまいちピンときませんが、それって凄いことなんですよね?」
「所有者の祈り次第ですが宿す力に際限はありません。魔力の才覚に左右されるものではないのです。だから世界に二つとない石なんです」
「魔力の有無は関係ないのですね」
「そうです。しかし今の時代、言い伝えが残っているだけで実物を見た者はいません。ここから東北の位置にある山岳の鍾乳洞にあると言われていますが、古い時代の魔王によって仕掛けられた術で鍾乳洞の奥へ行くことが難しいんですよ。禁域として立ち入り禁止の場所になっています」
「古い時代の魔王……」
なんとなくハウストを見つめます。
視線に気づいた彼は、俺は関係ないぞと首を横に振りました。
「ブレイラ、俺が仕掛けた訳じゃない」
「分かっていますよ。でも古い時代の魔王の術とはどういうものなのです? とても恐ろしいものなんですか?」
問いかけた私にハウストはなんとも複雑な顔をしました。
「……いや、別段危険な術というわけじゃない。鍾乳洞の中で魔力を使うと外に強制送還されるという単純なものだ」
「え、なんですかそれ」
予想外の術内容に驚きました。
なんだか思っていたのと違います。もっと重大な問題が発生するものだとばかり。
「俺に聞くな。だが、だからこそ今まで放置されてきたんだ。歴代魔王もわざわざ術を解除する必要性にも迫られなかった。それほど危険な術ではないからな」
「あなたもですか?」
「解除することはできるが、すぐには無理だぞ? 古くとも魔王が施したものだ。術は単純でも解除にはそれなりの時間がかかる」
「なるほど、それもあって放置されているわけですね」
「そうだ。鍾乳洞の奥に祈り石があるという伝承はあるが、あくまで伝承だ。見たことがないから確信がない。わざわざ解除する理由もないだろう。なかには禁域でも強行する者がいるが、攻略が無謀と悟れば強制送還で帰ってくる」
鍾乳洞は迷路のように複雑で攻略の難易度は高いようです。魔力を使えないという縛りが更に攻略を難しくしますが、同時に冒険者たちを救っているようでもありました。
「……でも、そこに祈り石がある可能性が高いんですよね?」
世界に二つとない石が。
魔力を持たない私でも力を宿せる石。欲しいです。
膝に抱っこしているゼロスの小さな体をぎゅっと抱きしめる。
自分がどれだけ無謀なことを考えているか分かっています。でも。
「ハウスト、あの、私」
「言うな。嫌な予感がする」
言葉にする前に遮られてしまいました。
彼はなんとも言えない顔で私を見ています。
「……最後まで言わせてください」
「言わなくてもだいたい分かる。鍾乳洞に行きたいとか言うんだろう。何をしに行くつもりだ」
ハウストが呆れた顔で私を見ています。
分かっています。自分がどれだけ馬鹿なことを言っているか、どれだけ無謀か。でも祈り石が欲しいです。祈り石の指輪をハウストに贈りたい。我儘は承知しています。でも、どうしても……。
「祈り石が、気になってしまって……」
「伝承だ」
「確かめなければ分かりません」
食らいつく私にハウストが眉間に皺を刻みます。
「どうしてそんな物に拘るんだ。石に興味があるなら俺の宝物庫で魔石でも何でも見せてやるから、祈り石は諦めろ」
「祈り石でないとダメです!」
拳を作って言い返した私にハウストが押し黙りました。
微妙な沈黙が落ちましたが、真ん中で私とハウストを交互に見ていたイスラが口を開く。
「オレもいく! ブレイラとみにいく!」
「えっ、イスラまで……。魔力が使えない場所なんですよ?」
「やめておけ、イスラ。お前にはまだ厳しい縛りだ」
難色を示した私とハウストにイスラがムッとしてしまう。
「オレ、つよいのに」
「それは分かっていますが鍾乳洞にあなたを連れて行くなんて……」
とても行きたい場所ですが、イスラまで巻き込んでしまう訳にはいきません。もしイスラの身に何かあったらと想像するだけで恐ろしい。
イスラが絡むなら話しは別、それなら私が諦めた方がマシです。
でも、正面に座るドミニクが満面笑顔で提案してくれる。
「よろしければ案内いたしましょうか? ここに鍾乳洞の地図がございます」
そう言ってドミニクが古い地図をテーブルに広げました。
色褪せた地図は文献といっても差し支えないほど古いものです。
「え、これが鍾乳洞の?」
「はい。古い地図ですが本物であることは確認できています。ここが鍾乳洞の入口で、祈り石があると言われているのは丁度この辺りです」
「ここに祈り石が……」
ごくり、息を飲む。せっかく諦めようと思ったのに、目の前に差し出された祈り石の在り処に心が揺れる。
私の隣ではイスラが「たからさがしみたいだ!」と瞳を輝かせています。どうやら好奇心が刺激されまくっているようです。
しかしハウストは目を据わらせる。
「……ドミニク、なんのつもりだ」
「敬愛する王妃様の願いを叶えたく」
「白々しい事を言うな。お前が行きたいだけだろう」
ハウストが低い声で言うと、たしかに否定しませんが……とドミニクが目を逸らす。
でもドミニクも譲れないとばかりにハウストを見返しました。
「べ、別に行きたい訳ではありません。この手で祈り石を加工してみたいだけです」
「ならばブレイラを巻き込むな」
「魔界の民草の一人として王妃様の願いを叶えたく」
「なにが民草だ」
ぎろりとハウストが睨むと、ドミニクが嘆くように天井を仰ぎました。
「ああっ、王妃様が祈り石に興味を持ってくださるなど滅多にない奇跡だというのに、この魔王ときたらっ。だいたい考えてみてくれ、鍾乳洞に入ったとしても魔力を使えば強制送還だ。危なくなれば魔力を使って外に出ればいい! そう考えるとちょっとした鍾乳洞探検、いやハイキングみたいなものだ!」
ハイキング。ちょっと違うような気もしますがドミニクが鍾乳洞探検の安全性を力説しました。
でも、たしかに納得できないものではありません。ドミニクの言う通り危なくなれば引き返せばいいのです。
「あの、ハウスト、私……」
ハウストをじっと見つめる。
目が合ったハウストは眉間に皺を刻んで顎を引きます。
「……そんなに行きたいのか?」
「……はい。行きたいです」
我儘は承知です。自己満足というのも分かっています。
でもどうしても行きたいです。
本当なら一人でこっそり行くのが良いのでしょう。ハウストに贈る指輪の石を取りに行くのですから。きっと以前ならそうしていました。
しかし今はそれがどれだけハウストを心配させ、周囲の方々に迷惑をかけるか知っています。
私だって、大切なイスラやゼロスやハウストがどんな理由があっても勝手にどこかへ行ったら怒ります。とても心配します。そしてそれはハウストも一緒なのですよね。
だから、どうして行きたいかは秘密にしても、行くことに対してはハウストの許しが欲しいです。我儘をお願いしているのに勝手なことまで出来ません。
「お願いします、ハウスト。行くことを許してください」
「駄目だと言えば諦めてくれるか?」
「……あなたに心配をかけたい訳ではないので、ハウストが駄目だと言うなら……諦めます」
視線が僅かに落ちました。
諦めるのは残念ですが、ハウストの許しがないなら仕方ありません。許したくないと思うハウストの気持ちも分かるからです。
「……分かった。だが条件が一つ、俺も同行させることだ」
「えっ、い、いいんですか?!」
勢いよく聞き返しました。
信じられません。反対されるとばかり思っていました。
驚く私にハウストが苦笑します。
「いいも何も行きたいなら仕方ない。ここで駄目だと言うのは簡単だが、拗ねられても困るからな」
「拗ねません! でも、ありがとうございますっ」
顔が喜びに綻んでいく。
まさか許してもらえるなんて思ってもいませんでした。
ハウストはそんな私に目を細めて立ち上がる。
「そうと決まれば支度を急がせる。鍾乳洞は魔力が使えない場所だ、それなりの準備が必要になる」
ハウストは私にここで待つように言うと工房を出て行きました。
工房の外で待っている侍従に鍾乳洞へ入る準備をさせにいくのです。
残された私はお茶を一口飲むと、改めてドミニクを見つめました。
「ドミニク様、ありがとうございました。……一つ、お願いがございます」
「ほう、お願いですか。それは王妃様がどうしても祈り石を手に入れたい理由に関係があるものですか?」
直球で聞かれてしまいました。
驚きながらも苦笑してしまう。
「やはりバレていましたか」
「もちろんです。私には願ってもない嬉しい事でしたからね」
「ふふ、それならお願いも口にしやすいというもの。あなたにお願いしたいことは一つです」
私はドミニクをまっすぐに見つめ、どうしても頼みたいお願い事を口にしたのでした。
32
あなたにおすすめの小説
冷徹勇猛な竜将アルファは純粋無垢な王子オメガに甘えたいのだ! ~だけど殿下は僕に、癒ししか求めてくれないのかな……~
大波小波
BL
フェリックス・エディン・ラヴィゲールは、ネイトステフ王国の第三王子だ。
端正だが、どこか猛禽類の鋭さを思わせる面立ち。
鋭い長剣を振るう、引き締まった体。
第二性がアルファだからというだけではない、自らを鍛え抜いた武人だった。
彼は『竜将』と呼ばれる称号と共に、内戦に苦しむ隣国へと派遣されていた。
軍閥のクーデターにより内戦の起きた、テミスアーリン王国。
そこでは、国王の第二夫人が亡命の準備を急いでいた。
王は戦闘で命を落とし、彼の正妻である王妃は早々と我が子を連れて逃げている。
仮王として指揮をとる第二夫人の長男は、近隣諸国へ支援を求めて欲しいと、彼女に亡命を勧めた。
仮王の弟である、アルネ・エドゥアルド・クラルは、兄の力になれない歯がゆさを感じていた。
瑞々しい、均整の取れた体。
絹のような栗色の髪に、白い肌。
美しい面立ちだが、茶目っ気も覗くつぶらな瞳。
第二性はオメガだが、彼は利発で優しい少年だった。
そんなアルネは兄から聞いた、隣国の支援部隊を指揮する『竜将』の名を呟く。
「フェリックス・エディン・ラヴィゲール殿下……」
不思議と、勇気が湧いてくる。
「長い、お名前。まるで、呪文みたい」
その名が、恋の呪文となる日が近いことを、アルネはまだ知らなかった。
【完結・BL】胃袋と掴まれただけでなく、心も身体も掴まれそうなんだが!?【弁当屋×サラリーマン】
彩華
BL
俺の名前は水野圭。年は25。
自慢じゃないが、年齢=彼女いない歴。まだ魔法使いになるまでには、余裕がある年。人並の人生を歩んでいるが、これといった楽しみが無い。ただ食べることは好きなので、せめて夕食くらいは……と美味しい弁当を買ったりしているつもりだが!(結局弁当なのかというのは、お愛嬌ということで)
だがそんなある日。いつものスーパーで弁当を買えなかった俺はワンチャンいつもと違う店に寄ってみたが……────。
凄い! 美味そうな弁当が並んでいる!
凄い! 店員もイケメン!
と、実は穴場? な店を見つけたわけで。
(今度からこの店で弁当を買おう)
浮かれていた俺は、夕飯は美味い弁当を食べれてハッピ~! な日々。店員さんにも顔を覚えられ、名前を聞かれ……?
「胃袋掴みたいなぁ」
その一言が、どんな意味があったなんて、俺は知る由もなかった。
******
そんな感じの健全なBLを緩く、短く出来ればいいなと思っています
お気軽にコメント頂けると嬉しいです
■表紙お借りしました
番に見つからない街で、子供を育てている
はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。
異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。
現世の記憶は失われているが、
この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。
街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、
ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。
だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。
再会は望まない。
今はただ、この子との生活を守りたい。
これは、番から逃げたオメガが、
選び直すまでの物語。
*不定期連載です。
【完結】討伐される魔王に転生したので世界平和を目指したら、勇者に溺愛されました
じゅん
BL
人間領に進撃許可を出そうとしていた美しき魔王は、突如、前世の記憶を思い出す。
「ここ、RPGゲームの世界じゃん! しかもぼく、勇者に倒されて死んじゃうんですけど!」
ぼくは前世では病弱で、18歳で死んでしまった。今度こそ長生きしたい!
勇者に討たれないためには「人と魔族が争わない平和な世の中にすればいい」と、魔王になったぼくは考えて、勇者に協力してもらうことにした。本来は天敵だけど、勇者は魔族だからって差別しない人格者だ。
勇者に誠意を試されるものの、信頼を得ることに成功!
世界平和を進めていくうちに、だんだん勇者との距離が近くなり――。
※注:
R15の回には、小見出しに☆、
R18の回には、小見出しに★をつけています。
異世界転移で、俺と僕とのほっこり溺愛スローライフ~間に挟まる・もふもふ神の言うこと聞いて珍道中~
兎森りんこ
BL
主人公のアユムは料理や家事が好きな、地味な平凡男子だ。
そんな彼が突然、半年前に異世界に転移した。
そこで出逢った美青年エイシオに助けられ、同居生活をしている。
あまりにモテすぎ、トラブルばかりで、人間不信になっていたエイシオ。
自分に自信が全く無くて、自己肯定感の低いアユム。
エイシオは優しいアユムの料理や家事に癒やされ、アユムもエイシオの包容力で癒やされる。
お互いがかけがえのない存在になっていくが……ある日、エイシオが怪我をして!?
無自覚両片思いのほっこりBL。
前半~当て馬女の出現
後半~もふもふ神を連れたおもしろ珍道中とエイシオの実家話
予想できないクスッと笑える、ほっこりBLです。
サンドイッチ、じゃがいも、トマト、コーヒーなんでもでてきますので許せる方のみお読みください。
アユム視点、エイシオ視点と、交互に視点が変わります。
完結保証!
このお話は、小説家になろう様、エブリスタ様でも掲載中です。
※表紙絵はミドリ/緑虫様(@cklEIJx82utuuqd)からのいただきものです。
2度目の異世界移転。あの時の少年がいい歳になっていて殺気立って睨んでくるんだけど。
ありま氷炎
BL
高校一年の時、道路陥没の事故に巻き込まれ、三日間記憶がない。
異世界転移した記憶はあるんだけど、夢だと思っていた。
二年後、どうやら異世界転移してしまったらしい。
しかもこれは二度目で、あれは夢ではなかったようだった。
再会した少年はすっかりいい歳になっていて、殺気立って睨んでくるんだけど。
星降る夜に ~これは大人の純愛なのか。臆病者の足踏みか。~
大波小波
BL
鳴滝 和正(なるたき かずまさ)は、イベント会社に勤めるサラリーマンだ。
彼はある日、打ち合わせ先の空き時間を過ごしたプラネタリウムで、寝入ってしまう。
和正を優しく起こしてくれたのは、そこのナレーターを務める青年・清水 祐也(しみず ゆうや)だった。
祐也を気に入った和正は、頻繁にプラネタリウムに通うようになる。
夕食も共にするほど、親しくなった二人。
しかし祐也は夜のバイトが忙しく、なかなかデートの時間が取れなかった。
それでも彼と過ごした後は、心が晴れる和正だ。
浮かれ気分のまま、彼はボーイズ・バーに立ち寄った。
そしてスタッフメニューの中に、祐也の姿を見つけてしまう。
彼の夜の顔は、風俗店で働く男娼だったのだ……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる