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Episode2・魔界の玉座のかたわらに
家族で初めての洞窟探検8
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朝から新鮮な鳥肉を食べたからでしょうか、昨日の疲労が嘘のように癒えた気がします。
イスラの体力も回復したようで気合いを入れて荷物を背負ってくれました。
「できたぞ、はやくいこう」
「頼もしいですね。あなたも準備はいいですか?」
抱っこしているゼロスを覗き込む。
抱っこ紐で固定したゼロスは私の胸元で上機嫌に手足をばたつかせます。
「あーあー!」
「準備できているようですね」
いい子いい子と頭を撫でてあげると、ゼロスは嬉しそうにぺたっと全身で抱きついてきました。
こうして私たちの支度が整うと出発です。
ハウストが先頭に立ち、それにイスラと私が続きます。
滑りやすい足元に気を付けながら歩いていましたが、ふと先頭のハウストが立ち止まりました。
「どうしました?」
「岩だ。登って超えるしかないな」
ハウストが前方をランタンで照らします。
どうやら壁の崩落があったようで巨岩が積みあがっています。幸いにも通路が塞がれている様子はありませんが、巨岩をよじ登って越えるしかないようです。
「ブレイラ、登れるか?」
「はい、一人で大丈夫です」
砂利や岩が自分の背丈より高く積みあがっていますが、これくらいの斜面と高さなら登れます。
私は正面で抱っこしていたゼロスをおんぶに切り替えました。紐でしっかり背中に固定します。
「先に行くぞ」
まずハウストが登り、あっという間に巨岩の上に辿り着きました。
イスラも足場を利用して身軽に岩を登ってしまいます。
私も二人のように岩を登ろうと、足場を選びながらよじ登っていく。
砂利で滑りそうになりますが、大丈夫、できます。
「よいしょ、よいしょ」
「あーあー!」
背中のゼロスが小さな手で私の髪をぎゅっと握りしめます。
いたいですよ、ゼロス。でもこれって応援してくれているんですよね、たぶん。
なんとか登るとハウストとイスラが待っていてくれます。
「よく登ったな」
「当たり前です。私もこれくらい登れるんですよ」
フフンッ、誇らしいです。
山育ちを舐めないでもらいたいです。
そもそもハウストとイスラの身体能力や体力が規格外なのであって、私に体力が無いわけでも運動音痴なわけでもありません。むしろ平均より上のはず。
「大丈夫のようだな、次に行くぞ」
「はい」
私もハウストとイスラに続いてまた巨岩を登ります。
あ、この岩、さっきのよりも登り難いですね。斜面も急で滑りやすい。
ハウストとイスラはどうしているかと見上げると、二人はなんの問題もなくひょいひょい登っていました。羨ましいくらいの身体能力の高さと器用さです。
私は滑らないように気を付けながら斜面にへばりつく。ハウストやイスラとは違ってあまり格好いい登り方ではないので恥ずかしい。
「ブレイラ、大丈夫か?」
先に登ったハウストが心配そうに見下ろしてくれます。
でも今、私、岩にカエルみたいにへばりついているんですよね。
「……あんまり見ないでください」
「なぜだ」
「なぜって……」
「潰れたカエルみたいだからか?」
「つ、潰れた?! もっと別の言い方があるでしょう!」
潰れたとは何事です。せめてカエルだけならまだしも。
しかし岩にへばりつきながら睨んでも迫力はなく、ハウストは面白そうに笑って手を伸ばしてきました。
「手を貸せ」
「自分で登れます」
「俺が手を貸したい」
「……お願いします」
ハウストはずるいです。
私が断れない言い方をよく心得ているのですから。
手を伸ばすと彼の大きな手に握り返される。そして一気に体が引き上げられました。
私とゼロスを片手で引っ張り上げてもハウストの体幹が揺らぐことはありません。
「ありがとうございます」
「潰れたカエルのような姿も、もう少し見ていたかったがな」
「からかってます?」
「とんでもない。ゼロス、お前もよく頑張っているな」
ハウストは軽く笑って言うと、私の背中にいるゼロスの丸い頬をひと撫でしました。
ゼロスがくすぐったさに「きゃあ」と声を上げて喜んでいます。誤魔化されたような気もしますが怒る気が失せてしまいましたよ。
そして一緒に頭上を見上げます。あと少しで越えられそう。
ここを超えてしばらく進むと広い空間があり、そこに祈り石があるのです。
「ここから先は何があるか分からない。ゼロスは俺が抱いていこう」
「はい、お願いします」
ハウストにゼロスを渡しました。
彼は片腕でゼロスを抱き、イスラに指示をだします。
「イスラ、お前はいつでも剣が抜けるように準備しておけ」
「わかった。まかせろ」
「えっ、剣? どうしてそんなものを」
「念の為だ。ここで魔力は使えないからな」
ハウストはそう言うと、ゼロスを抱いて器用に岩を登りだしました。
そして先に頂上を超えて向こう側へ。
「いいぞ、来い!」
少しすると巨岩の壁の向こうからハウストの声がしました。
その声に私とイスラも頷いて、さっそく登っていきます。
頂上まで登って見下ろすと、ゼロスを抱いたハウストが待ってくれていました。降りても大丈夫なようです。
「いきましょう、イスラ」
「ブレイラ、こっちがおりやすいぞ」
「ふふ、ありがとうございます」
イスラが降りやすい順路を教えながら先導してくれます。頼もしいですね。
私をちらちら確認しながら降りてくれるのは嬉しいですが、余所見をしていると危ないです。
「イスラ、私のことはいいですから」
「――――二人とも飛び降りろ!!」
突如、ハウストの鋭い声があがりました。
反射的に振り返ると視界一杯に迫る巨大な影。
「イスラ!!」
ドゴオオオオンッ!!!!
岩壁に影が衝突したのと、寸前にイスラの腕を掴んで飛び降りたのは同時。
イスラの小さな体を腕の中に抱きしめて、落下の衝撃にぎゅっと身を固くする。
「ッ、くっ!!」
地面に着地し、勢いのままごろごろ転がりました。
全身に痛みが走って呻きが漏れてしまう。
覚悟して身構えましたが痛いものは痛いです。幸い大怪我はしていませんが痛くないはずありません。
「ブレイラ?!」
抱きしめていたイスラが慌てて腕の中から飛び出しました。
イスラが泣きそうな顔で私に抱きついてきます。
イスラの体力も回復したようで気合いを入れて荷物を背負ってくれました。
「できたぞ、はやくいこう」
「頼もしいですね。あなたも準備はいいですか?」
抱っこしているゼロスを覗き込む。
抱っこ紐で固定したゼロスは私の胸元で上機嫌に手足をばたつかせます。
「あーあー!」
「準備できているようですね」
いい子いい子と頭を撫でてあげると、ゼロスは嬉しそうにぺたっと全身で抱きついてきました。
こうして私たちの支度が整うと出発です。
ハウストが先頭に立ち、それにイスラと私が続きます。
滑りやすい足元に気を付けながら歩いていましたが、ふと先頭のハウストが立ち止まりました。
「どうしました?」
「岩だ。登って超えるしかないな」
ハウストが前方をランタンで照らします。
どうやら壁の崩落があったようで巨岩が積みあがっています。幸いにも通路が塞がれている様子はありませんが、巨岩をよじ登って越えるしかないようです。
「ブレイラ、登れるか?」
「はい、一人で大丈夫です」
砂利や岩が自分の背丈より高く積みあがっていますが、これくらいの斜面と高さなら登れます。
私は正面で抱っこしていたゼロスをおんぶに切り替えました。紐でしっかり背中に固定します。
「先に行くぞ」
まずハウストが登り、あっという間に巨岩の上に辿り着きました。
イスラも足場を利用して身軽に岩を登ってしまいます。
私も二人のように岩を登ろうと、足場を選びながらよじ登っていく。
砂利で滑りそうになりますが、大丈夫、できます。
「よいしょ、よいしょ」
「あーあー!」
背中のゼロスが小さな手で私の髪をぎゅっと握りしめます。
いたいですよ、ゼロス。でもこれって応援してくれているんですよね、たぶん。
なんとか登るとハウストとイスラが待っていてくれます。
「よく登ったな」
「当たり前です。私もこれくらい登れるんですよ」
フフンッ、誇らしいです。
山育ちを舐めないでもらいたいです。
そもそもハウストとイスラの身体能力や体力が規格外なのであって、私に体力が無いわけでも運動音痴なわけでもありません。むしろ平均より上のはず。
「大丈夫のようだな、次に行くぞ」
「はい」
私もハウストとイスラに続いてまた巨岩を登ります。
あ、この岩、さっきのよりも登り難いですね。斜面も急で滑りやすい。
ハウストとイスラはどうしているかと見上げると、二人はなんの問題もなくひょいひょい登っていました。羨ましいくらいの身体能力の高さと器用さです。
私は滑らないように気を付けながら斜面にへばりつく。ハウストやイスラとは違ってあまり格好いい登り方ではないので恥ずかしい。
「ブレイラ、大丈夫か?」
先に登ったハウストが心配そうに見下ろしてくれます。
でも今、私、岩にカエルみたいにへばりついているんですよね。
「……あんまり見ないでください」
「なぜだ」
「なぜって……」
「潰れたカエルみたいだからか?」
「つ、潰れた?! もっと別の言い方があるでしょう!」
潰れたとは何事です。せめてカエルだけならまだしも。
しかし岩にへばりつきながら睨んでも迫力はなく、ハウストは面白そうに笑って手を伸ばしてきました。
「手を貸せ」
「自分で登れます」
「俺が手を貸したい」
「……お願いします」
ハウストはずるいです。
私が断れない言い方をよく心得ているのですから。
手を伸ばすと彼の大きな手に握り返される。そして一気に体が引き上げられました。
私とゼロスを片手で引っ張り上げてもハウストの体幹が揺らぐことはありません。
「ありがとうございます」
「潰れたカエルのような姿も、もう少し見ていたかったがな」
「からかってます?」
「とんでもない。ゼロス、お前もよく頑張っているな」
ハウストは軽く笑って言うと、私の背中にいるゼロスの丸い頬をひと撫でしました。
ゼロスがくすぐったさに「きゃあ」と声を上げて喜んでいます。誤魔化されたような気もしますが怒る気が失せてしまいましたよ。
そして一緒に頭上を見上げます。あと少しで越えられそう。
ここを超えてしばらく進むと広い空間があり、そこに祈り石があるのです。
「ここから先は何があるか分からない。ゼロスは俺が抱いていこう」
「はい、お願いします」
ハウストにゼロスを渡しました。
彼は片腕でゼロスを抱き、イスラに指示をだします。
「イスラ、お前はいつでも剣が抜けるように準備しておけ」
「わかった。まかせろ」
「えっ、剣? どうしてそんなものを」
「念の為だ。ここで魔力は使えないからな」
ハウストはそう言うと、ゼロスを抱いて器用に岩を登りだしました。
そして先に頂上を超えて向こう側へ。
「いいぞ、来い!」
少しすると巨岩の壁の向こうからハウストの声がしました。
その声に私とイスラも頷いて、さっそく登っていきます。
頂上まで登って見下ろすと、ゼロスを抱いたハウストが待ってくれていました。降りても大丈夫なようです。
「いきましょう、イスラ」
「ブレイラ、こっちがおりやすいぞ」
「ふふ、ありがとうございます」
イスラが降りやすい順路を教えながら先導してくれます。頼もしいですね。
私をちらちら確認しながら降りてくれるのは嬉しいですが、余所見をしていると危ないです。
「イスラ、私のことはいいですから」
「――――二人とも飛び降りろ!!」
突如、ハウストの鋭い声があがりました。
反射的に振り返ると視界一杯に迫る巨大な影。
「イスラ!!」
ドゴオオオオンッ!!!!
岩壁に影が衝突したのと、寸前にイスラの腕を掴んで飛び降りたのは同時。
イスラの小さな体を腕の中に抱きしめて、落下の衝撃にぎゅっと身を固くする。
「ッ、くっ!!」
地面に着地し、勢いのままごろごろ転がりました。
全身に痛みが走って呻きが漏れてしまう。
覚悟して身構えましたが痛いものは痛いです。幸い大怪我はしていませんが痛くないはずありません。
「ブレイラ?!」
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