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見習い、始まる
三、
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時期、スピードはゆっくりになり、下へ下へとゆっくり降り始めた。
そんな頃、やっと目を開けて景色を見ることができた。海が見えた。
「昼飯にしよう。今日は魚の気分なんだ。」
「だからここまで・・・」
「それだけじゃない。次に行くところがこの近くだからだよ。」
また路地を見つけて、ずーっとまっすぐ歩いて奥の、奥の、奥の方まで歩いて右に曲がったところの小さな食堂に入った。
「何にする?ここは魚料理しかないけど、なんでもうまいよ。」
僕にメニューを1冊手渡した。すべての料理の名前を見ていたら2日はかかりそうなほどの魚料理がびっちりと書いてあって、とても選べなかった。
「・・・と、すいませーん。僕はムニエル定食、サラダ多めでご飯少なめ。お味噌汁は貝で。」
「・・・じゃあ、僕も同じで。」
ロビンは僕からメニューを取って、きちんと角を揃えてメニュー立てに戻した。
「さっきの人・・・」
僕はバブーのことが聞きたかった。
「あのバブー・・・って:」
「あー、あいつ。」
ロビンは眉間に皺を寄せて言った。どうやらあまり好きな相手ではなさそうだ。
「あいつも悪魔さ。あいつは生まれた時から悪魔なんだ。君や俺とは違う。
知ってるか・・・悪魔は闇の卵から生まれるんだぜ。大体こんなくらいの大きさの・・・」
ロビンは手を肩幅より少し広めにおそらくそれは、50~60cmくらいを示しているのだと思う。
「ずーっと遠くの空にこんなくらいの大きさの卵が山ほど転がっている穴があるんだ。そこから1年に五十から六十個の卵がかえるんだ。6月の新月の朝方3時頃に。それでも全部が悪魔になれるわけじゃない。天使と魔女の悪魔狩りがあるんだ。かえったばかりのまだ目の見えない悪魔はその穴から命懸けで地上に降りてくるんだ、それを捕まえて魔女と天使はバリバリ食うんだ。頭から。」
「マジっすか・・・」
「マジっす。そうしないと悪魔の数が増えるだろ。仕方ない、どこの世界でも食物連鎖は存在する。
その中で生き残った貴重な1匹なんだよ。あいつは。兄弟も親もない友達もいない、何の思い出もない。生まれついての悪魔さ。さみしがり屋で付きまとわれて困るよ。
会っても無視しろよ。ずっと付きまとわれるぞ。しつこいからな。」
料理が運ばれてきた。料理が前に並んだ時の“うわっ”とするロビンの表情がとても好きだ。だが僕はちょっと食欲を失った。頭からバリバリ・・・のくだりのせいだ。想像するとちょっと“うっ”ときた。
「でも、バブーのあれ、簡単だったし、一回一回縄で結んでいるより一気にくるって感じで。」
「おまえ、高校卒業してから俺に会うまでの間。苦しくなかったか?」
「苦しかったっす。ひょっとしてあれも悪魔のせいっすか。」
「全部がそうとは限らないが、多分、最後の方はそうだと思う。そうだったとしたら・・・あんな風に簡単に巻かれてそれにあんな苦しまされるって悔しくないか?」
「・・・・」
「だから精一杯丁寧に巻いて、綺麗な音楽を奏でるんだぞ・・・って言われてきたんだ。俺はそう教わって来た。」
「誰にですか?」
「ある人にだ。教えない。とにかく俺は今のスタイルで行く。これからもずっとだ。
さっさと食え。」
ロビンは変な持ち方で箸を持つ。上手く食べられなくてイライラして怒る。店の人はそれを知っているのか箸の他に必ずフォークとスプーンを用意してくれていた。でもここでは意地になって箸で食べようとしていた。僕が普通に箸を使っているからだろうか。ボロボロこぼすロビンに“あっ”と店の人も僕も時々思ったが、なるべく見ないようにして食べることに集中した。
「そうだ、おまえの名前決まったぞ。エーゴ
俺漢字が苦手だから、エーゴにした。ABCのAに数字の5な。でも呼ぶときはカタカナ。」
海岸沿いをブラブラ散歩しながらそういった。
「僕はエイゴですよ。」
「それは人間の時に人間の親からもらった名前だろ。
悪魔になったんだから、悪魔の親からおまえにエーゴを授けるよ。
ほんとはもっと、とんでもない名前つけたかったけど、考えるのが面倒になったんだ。」
「とんでもない名前になるくらいならエーゴで十分っす。」
ロビンは散歩しながらも腕時計を見ながら指をおってなにか考えながら、手帳をとっていた。ちょっとのぞくと相変わらず漢字はひとつもなくて、記号や絵やカタカナでなにが書いてあるかわからない落書きのようなノートだった。
「俺のを見るなよ。
エーゴも今度から手帳に書いておかないと日報書けないぞ。」
「手帳なんかないっす。」
「今日帰りに事務所で申請しろよ。頑張った分だけご褒美がもらえる。」
「ご褒美っスか・・・それはなんでもいいんですか?」
「何でもいいけど、絶対ダメなものが1つだけある。何だと思う?」
「女っすか?」
「ヤッパ、お前、アホだな・」
「冗談っす。」
「お金だ。人間の欲望がついてまわるお金には悪魔と天使と魔女は触れない。
それ以外ならなんでももらえる。現物支給だ。頑張ればだけど。」
「考えときます。ツーか天使とか魔女もいるんスカ?」
「いるよ。いるけど、あいつらはタチ悪いからな気をつけろよ。街で肩でも当たったら身包み剥がされるからな。
出会ったらおもいっきり逃げる。闘おうとか考えるな、とにかく逃げろ。
あいつらより早く飛べるように練習しろよ。」
当然だが、僕の知ら無い事がいっぱいあってロビンの話はとても楽しかった。けど、笑っているかと思ったら急に機嫌が悪くなったり、子供っぽいところに少し戸惑った。
「いいか、これから先、何を見ても、どんなことが起きてもかわいそうとか、同情するようなことは言ってはダメだからないいな。約束だぞ。」
ロビンが小指を出した。
「了解っす。お供しまっす。」
その小指に小指をからめた。
そんな頃、やっと目を開けて景色を見ることができた。海が見えた。
「昼飯にしよう。今日は魚の気分なんだ。」
「だからここまで・・・」
「それだけじゃない。次に行くところがこの近くだからだよ。」
また路地を見つけて、ずーっとまっすぐ歩いて奥の、奥の、奥の方まで歩いて右に曲がったところの小さな食堂に入った。
「何にする?ここは魚料理しかないけど、なんでもうまいよ。」
僕にメニューを1冊手渡した。すべての料理の名前を見ていたら2日はかかりそうなほどの魚料理がびっちりと書いてあって、とても選べなかった。
「・・・と、すいませーん。僕はムニエル定食、サラダ多めでご飯少なめ。お味噌汁は貝で。」
「・・・じゃあ、僕も同じで。」
ロビンは僕からメニューを取って、きちんと角を揃えてメニュー立てに戻した。
「さっきの人・・・」
僕はバブーのことが聞きたかった。
「あのバブー・・・って:」
「あー、あいつ。」
ロビンは眉間に皺を寄せて言った。どうやらあまり好きな相手ではなさそうだ。
「あいつも悪魔さ。あいつは生まれた時から悪魔なんだ。君や俺とは違う。
知ってるか・・・悪魔は闇の卵から生まれるんだぜ。大体こんなくらいの大きさの・・・」
ロビンは手を肩幅より少し広めにおそらくそれは、50~60cmくらいを示しているのだと思う。
「ずーっと遠くの空にこんなくらいの大きさの卵が山ほど転がっている穴があるんだ。そこから1年に五十から六十個の卵がかえるんだ。6月の新月の朝方3時頃に。それでも全部が悪魔になれるわけじゃない。天使と魔女の悪魔狩りがあるんだ。かえったばかりのまだ目の見えない悪魔はその穴から命懸けで地上に降りてくるんだ、それを捕まえて魔女と天使はバリバリ食うんだ。頭から。」
「マジっすか・・・」
「マジっす。そうしないと悪魔の数が増えるだろ。仕方ない、どこの世界でも食物連鎖は存在する。
その中で生き残った貴重な1匹なんだよ。あいつは。兄弟も親もない友達もいない、何の思い出もない。生まれついての悪魔さ。さみしがり屋で付きまとわれて困るよ。
会っても無視しろよ。ずっと付きまとわれるぞ。しつこいからな。」
料理が運ばれてきた。料理が前に並んだ時の“うわっ”とするロビンの表情がとても好きだ。だが僕はちょっと食欲を失った。頭からバリバリ・・・のくだりのせいだ。想像するとちょっと“うっ”ときた。
「でも、バブーのあれ、簡単だったし、一回一回縄で結んでいるより一気にくるって感じで。」
「おまえ、高校卒業してから俺に会うまでの間。苦しくなかったか?」
「苦しかったっす。ひょっとしてあれも悪魔のせいっすか。」
「全部がそうとは限らないが、多分、最後の方はそうだと思う。そうだったとしたら・・・あんな風に簡単に巻かれてそれにあんな苦しまされるって悔しくないか?」
「・・・・」
「だから精一杯丁寧に巻いて、綺麗な音楽を奏でるんだぞ・・・って言われてきたんだ。俺はそう教わって来た。」
「誰にですか?」
「ある人にだ。教えない。とにかく俺は今のスタイルで行く。これからもずっとだ。
さっさと食え。」
ロビンは変な持ち方で箸を持つ。上手く食べられなくてイライラして怒る。店の人はそれを知っているのか箸の他に必ずフォークとスプーンを用意してくれていた。でもここでは意地になって箸で食べようとしていた。僕が普通に箸を使っているからだろうか。ボロボロこぼすロビンに“あっ”と店の人も僕も時々思ったが、なるべく見ないようにして食べることに集中した。
「そうだ、おまえの名前決まったぞ。エーゴ
俺漢字が苦手だから、エーゴにした。ABCのAに数字の5な。でも呼ぶときはカタカナ。」
海岸沿いをブラブラ散歩しながらそういった。
「僕はエイゴですよ。」
「それは人間の時に人間の親からもらった名前だろ。
悪魔になったんだから、悪魔の親からおまえにエーゴを授けるよ。
ほんとはもっと、とんでもない名前つけたかったけど、考えるのが面倒になったんだ。」
「とんでもない名前になるくらいならエーゴで十分っす。」
ロビンは散歩しながらも腕時計を見ながら指をおってなにか考えながら、手帳をとっていた。ちょっとのぞくと相変わらず漢字はひとつもなくて、記号や絵やカタカナでなにが書いてあるかわからない落書きのようなノートだった。
「俺のを見るなよ。
エーゴも今度から手帳に書いておかないと日報書けないぞ。」
「手帳なんかないっす。」
「今日帰りに事務所で申請しろよ。頑張った分だけご褒美がもらえる。」
「ご褒美っスか・・・それはなんでもいいんですか?」
「何でもいいけど、絶対ダメなものが1つだけある。何だと思う?」
「女っすか?」
「ヤッパ、お前、アホだな・」
「冗談っす。」
「お金だ。人間の欲望がついてまわるお金には悪魔と天使と魔女は触れない。
それ以外ならなんでももらえる。現物支給だ。頑張ればだけど。」
「考えときます。ツーか天使とか魔女もいるんスカ?」
「いるよ。いるけど、あいつらはタチ悪いからな気をつけろよ。街で肩でも当たったら身包み剥がされるからな。
出会ったらおもいっきり逃げる。闘おうとか考えるな、とにかく逃げろ。
あいつらより早く飛べるように練習しろよ。」
当然だが、僕の知ら無い事がいっぱいあってロビンの話はとても楽しかった。けど、笑っているかと思ったら急に機嫌が悪くなったり、子供っぽいところに少し戸惑った。
「いいか、これから先、何を見ても、どんなことが起きてもかわいそうとか、同情するようなことは言ってはダメだからないいな。約束だぞ。」
ロビンが小指を出した。
「了解っす。お供しまっす。」
その小指に小指をからめた。
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