お気に入りの悪魔

富井

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試験

二、

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2人の子供たちは、それぞれの家で一人きりでゲームをしていた。傍らにある携帯電話は、かかってくる電話もなければメールもない。

「塾、やめてしまったのか・・・?」

太田の生活も荒れ果てていた。友人と思っていた仲間も離れ、仕事も辞めてもちろん再就職もなく、今日もこんな時間から酒臭く気力もなく公園のベンチに寝転がって、もはや気の毒に感じる程に。

とにかく、僕が今弾ける曲はとても少ないけれど、ロビンに教えてもらったように心を込めて弾いた。

それからも手帳を見ながら、今日のスケジュールの場所を周り、1日を終えて、事務局に着くとセスカの後ろ姿を見かけた。あの赤いコートは間違いなく彼だ。走って後を追いかけた。

肩を掴んで前に周り両腕を掴んだが、彼は僕の顔を見てもまったく表情も変えなかった。

「セスカちょっとまって。」

「あ エーゴか。帰って来たんだね。おかえり。」
「おかえりじゃないよ。ひどいじゃないか。あの地図は全部デタラメじゃないか。」

「そうだった?ごめん。僕も実は行ったことがなくてね。でも、とってこれたんだろ。よかったじゃないか。」

「呆れるよ、まったく。」

「もういいかな、離してくれる。」

「よくないよ。マーブルからステッキ 取り上げたのか?」
「取り上げた訳じゃないよ。彼がくれたからもらったんだ。」

「僕が入った入口を教えるために取り上げたんだろ。返せよ。」

「いいよ。返しても。賭けに君が勝ったらね。」
「賭け?」
「めでたく君が人間に戻る日がもし来たなら返そう。でも、ここに残るならマーブルも、あれはいらないだろうから頂いておくよ。それでどうだい?」
「・・・返事しにくいな・・・どうしていつも君はそうやって・・・」
「マーブルだって、エーゴが帰ってくるならステッキはいらないと思ったから僕にくれたんだろう。だから、エーゴがいなくなるなら返すよ。
マーブルは全部を捨ててエーゴを選んだ。死神にもそう言われたんだろ。
エーゴだって悪魔になりたい。
ま、そいうことで君は頑張って試験にうかってくれよ。そうすれば、トリプルウインだ。」

高らかに笑いながら、セスカはすっと飛んで夕日に姿を映し、そのまましばらく僕を見下ろしてから空を歩くようにゆっくり飛んでいなくなった。
夕日が眩しすぎてセスカの表情がよく見えなかったけれど、きっと僕のことをバカにしたような、うすら笑い浮かべていたのだと思うとすごく頭にくる。けど、もっとイライラしたのは、まばたきするたびに夕日の中のセスカの残像がチラチラ見えたこと。

何度も目をこすってやっと日報を書き上げた。グリーンと目があったけれど、自分から進んで行く事はどうしてもできず、一番近い窓口で済ませて帰った。

帰ったらまずすることはロビンの様子を見る。今日も相変わらず意識はなかったみたいで枕元のメロンパンもそのままだった。
僕の今日の晩御飯は、昨日のカレーだ。テレビはつけてみたけれど、見ているわけでも楽しいわけでもなくて、何でもいいから音を聞いていたかっただけ。今はテレビもただピカピカ光るただの箱だ。・・・しょぼくれた僕の1日は終わった。残された時間もわずか。

ロビンの隣で布団にもぐり、ただ顔を眺めていると、たまにとても苦しそうに顔をしかめるロビンを見ながら涙がポロリポロリと落ちて、今日も神様にお祈りしてから布団に入った。
明日こそロビンが目を覚ましますようにと・・・
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