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騒乱
第28話 野望の渦巻く密会(後編)
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「実は……王子がブラン家のリーゼ嬢の事を気にかけておられるようなのです」
ダグラスが放った言葉に私は一瞬理解できなかった。
「……はぁ?」
っと、思わずらしからぬ声を出してしまったが、グリューンも目を点にしているところを見みると私同様に驚いているのだろう。
「ちょっと待て、王子はエレオノーラという小娘と付き合っているのではないのか?」
「はい、それも隠しようのない事実でございます。実際今でも週末はお城に通われているようですし」
「だったら何を今更、そもそも王子は自らリーゼ嬢を振ったのであろう? エレオノーラと付き合うために」
我らが苦肉の策で考えたリーゼ嬢との婚約を、我が身可愛さにあっさり破ったのは王子の方だ。何人もの人間が王子を説得しようと試みたが、誰ひとりとして意見を聞こうともしなかったというのに、それが今更好きになっただと? この場にブラン伯爵がいなかった事に感謝したいほどだ。
「それは本当なのか?」
「はい、お二人は昨年の誕生祭で騒ぎが起こった事はご存知ですよね? 実はあの原因の一つが王子がリーゼ嬢に迫ったからなのです。
しかしリーゼ嬢は王子の言葉を拒み、陛下が登場した事によってお二人の婚約は完全に無くなる結果となりました」
その事はアデリナも関わっていた関係でよく知っている。
もっとも私が気づいた時には王妃が暴走していたがために、急ぎブラン伯爵と共に休まれている陛下を呼びに行く羽目になったのだが。
「すると王子はリーゼ嬢との婚約を無くしてしまった陛下の事を恨んでいたというのか?」
「そこまでは分かりかねますが、何らかのシコリは残っていたのではないかと思います。
それとこれはご存知ないかもしれませんが、今から3ヶ月程までに王子は再びリーゼ嬢の前に立たれたそうです」
「何? そんな話は聞いていないぞ」
「リーゼ嬢とクロード王子が出会われた出来事をご存知ですよね? 実はその現場に王子も偶然居合わせたそうなのです」
「「なんだと!?」」
グリューン公爵も初耳だったようで、再びお互いを確認するように視線が交わる。
二人の出会いの経緯は今や貴族達の中では有名な話だ、行政府が気づき慌てて箝口令を出す前に王都中に広まってしまったのだからどうしようもなかった。
幸い国民の間で目立った混乱もなく、比較的祝福モードだったので助かったが、これが国を見捨てて他国に逃げるのかという方向に流れていれば、今頃国中は大混乱に落ち行っていたであろう。本人はどう思っているのかは知らないが、良い意味でも悪い意味でもリーゼの存在は今の国民にとっては大きいのだ。
「それで王子はどうなさったのだ?」
「その場でリーゼ嬢に求愛されて振られたそうです」
……頭が痛くなってきた。隣を見ればグリューン公爵も同じような表情をしている。
リーゼが王子の求愛を断るのは当たり前の事だ、一度は何の落ち度もないと言うのに一方的に断罪されたと聞いているし、頭の回る娘なら婚約者を差し置いて簡単に承認するはずがない。寧ろリーゼ嬢の対応は誰もが納得ができる答えだと言える。
「王子はリーゼ嬢の言葉を素直に受け止められたのか?」
グリューン公爵も疲れ切っている様子だ、だが結末を聞かない事には先へと進めない。
「いいえ、それでもリーゼ嬢に迫られ、偶然居合わせたクロード王子に止められたそうです」
「なるほどな、リーゼ嬢にしてみれば自分を助けてくれた正義の味方といったところだろう。王子も相手が隣国の王子なら素直に引き下がるしかあるまい」
彼女も母親に似て中々の美人だ、王子との婚約の話がなければ今ごろ大勢の男達に迫られていた事だろう。そんな彼女との衝撃的な出会いであれば、年頃の男女ならば恋に落ちても不思議ではない。
「それが……ウィリアム様はクロード王子に邪魔をされた事を根に持ち、拳で殴りかかられたと……」
ブフッ
「「何だと!!」」
隣国の王子を殴った!? しかも当時は正式な使者として来られたと聞いている。もしこれが本当だとすれば友好どころの話でないではないか。
「ご安心ください。クロード王子は問題を大きくしない事約束されていたと聞いております」
「誠か、これはクロード王子に感謝せねばなるまい」
全く、ウィリアム様もクロード王子の度量の大きさの1割でもあれば良かったのだが。しかしこれでは益々リーゼとの中を認めねばならないだろう、迂闊に逆鱗に触れれば問題を蒸し返されないとも言い切れない。その場には大勢の目撃者がいたと言う話だからな。
その後ラグナス王国から正式に求婚を求める書状が届いたところを見ると、よほどクロード王子はリーゼの事を気に入ったのであろう。ブラン家も王子との一件がようやく落ち着いたというのに、前向きな姿勢を見せている事からリーゼ嬢も満更でもないのかもしれない。
……そうか、ラグナス王国を代表するクロード王子と、メルヴェール王国の国民から愛されるリーゼとの結婚は、最終的に陛下の決断が必要となってくる。もし陛下の体調が戻り、二人の結婚を認められればもう誰にも止める事ができなくなる。
だが、そんな陛下が亡くなればどうなる? 次に王位を継ぐ者に決定権が委ねられ、いくら行政府が二人の結婚を認めたからと言っても、肝心の陛下が否と答えればまず間違いなく結ばれる事にはならないだろう。
それこそブラン家がリーゼを追放するか、メルヴェール王国から離れれば話は変わってくるが……
「つまりお前はこう言いたいのだな、王子はリーゼ嬢を手放したくがないために陛下を手にかけたのではないかと」
自分で言っておいて何だが、確かにこの動機ならやり兼ねないのではないか。あの王子は今まで欲しいものは何が何でも手に入れようとする傾向があったし、自分の望む通りにならないと周りにいる人間に暴力を振るう事もあった。
「私は常日頃から思っていた事がございました。真に国王と王妃に相応しいはグリューン公爵様のご子息と、ウィスタリア公爵様のご令嬢ではないかと」
っ、まるで我らの心を見透かされた様で明らかに動揺してしまった。
「バカな事を申すな! 我らにその様な野望など持ち合わせてはおらぬわ」
いつもなら冷静に流すであろうグリューン公爵も動揺が隠せないでいる様だ、思わず語尾を強く言った事がそれを証明している。
これは私達二人が理想と考えていたこの国の未来の構図だ。グリューン公爵の息子が王位に就き、娘のアデリナがそれを支えるべく王妃に就く。
これが未来有望な王子ならこんな事も考えなかっただろうが、あのバカ王子に国を任せるのかと思うと、私でなくとも不安になるというもの。
もしダグラスの言う通り、王子が陛下を手にかけたとするなら……排除する事も可能だろう。ベルニア王妃が当然反抗してくるだろうが、陛下がいなくなった今、あの女も一緒に排除する事も出来るのではないか?
「私もお二人がその様な事を考えておられるとは思ってもおりません、ですが今この国の王に相応しいのはウィリアム様ではなく、若く聡明な指導者です。
その点グリューン公爵様のご子息は若くして騎士団に所属し、今や多くの貴族達からも注目を置かれております。その上ウィスタリア公爵様のご息女を王妃に迎えられる事ができれば、国民達も喜んで賛同してくれるでしょう。
お二人ももうお気づきなのではございませんか? ウィリアム王子が王位を継いでしまえばこの国の未来は無くなってしまうと」
痛いところを突いてくる、そんなこと我らでなくともこの国の者のほとんどがそう考えているだろう。
だがそう簡単に答えを出せる案件ではない、もしここで同意などしてしまえば二大公爵家が謀反を企んだ事にされてしまう。
ここは慎重に言葉を選ばなければ……
「ダグラス、お前の真意はどこにある? フェルナンド家は王妃よりではなかったのか?」
「待てグリューン、何を言って……」
「お前も分かっているだろう、もし王子が陛下を手にかけたとあらば見過ごす事など出来ない」
グリューン公爵がダグラスに気づかれない様視線で合図を送ってきた。恐らく何か考えがあるようだ、
「私の真意は先ほど申した通りでございます。グリューン公爵様がフェルナンド家を、父を警戒されている事は存知ておりますが、私は父とは違います。
もし私の言葉に疑いを抱かれるのであれば、このまま王子の前に突き出されても文句はいいません」
「覚悟は出来ている、という事だな」
「覚悟なくして、この様な話をお二人の前では出来ません」
「「……」」
「いいだろう、ならばその証明をしてもらう。私とウィスタリア公爵、そしてお前の三人で血判状を認める。もし我らを裏切るようであれば分かっているだろうな」
なるほどな、古いやり方だがこれでダグラスの裏切りは許されなくなった。血判状を我らが保管し合えば脅される事もないだろう。
「畏まってございます」
「ならば書面を作成し、私が責任を持って保管させてもらう」
「では書面は私が作成いたしますので、お二人は内容のご確認をお願いいたします」
その後がダグラスが作成した書面を我らが何度も確認し合い、何の不備も仕掛けもない事をた確かめてからそれぞれサインを書き加えた。
「それでは最後に私のサインを」
ダグラスが書面の一番下に自分の名前と血判を押した事を確かめ、完成した血判状はグリューン公爵が預かる事となった。
恐らく後ほど私が預かる事になるんだろうが、ダグラスにはグリューン公爵が保管していると思わしておく方がいいだろう。
「私はこの後城に戻り、王子が陛下を手にかけたという証拠を集めてみます。もし王子が王位をすぐに継ぎたいと申されましても、お二人には何とかお止めしていただきたく存じます」
「いいだろう、だがもしお前がしくじった場合は……」
「その時は私を切り捨ててください。もし自白を誘導されても決してお二人の名前は出さない事を誓います」
こうして長かった一日が幕を降ろす事となる。
これが自らの破滅をもたらす事になるなどとも知らずに……。
ダグラスが放った言葉に私は一瞬理解できなかった。
「……はぁ?」
っと、思わずらしからぬ声を出してしまったが、グリューンも目を点にしているところを見みると私同様に驚いているのだろう。
「ちょっと待て、王子はエレオノーラという小娘と付き合っているのではないのか?」
「はい、それも隠しようのない事実でございます。実際今でも週末はお城に通われているようですし」
「だったら何を今更、そもそも王子は自らリーゼ嬢を振ったのであろう? エレオノーラと付き合うために」
我らが苦肉の策で考えたリーゼ嬢との婚約を、我が身可愛さにあっさり破ったのは王子の方だ。何人もの人間が王子を説得しようと試みたが、誰ひとりとして意見を聞こうともしなかったというのに、それが今更好きになっただと? この場にブラン伯爵がいなかった事に感謝したいほどだ。
「それは本当なのか?」
「はい、お二人は昨年の誕生祭で騒ぎが起こった事はご存知ですよね? 実はあの原因の一つが王子がリーゼ嬢に迫ったからなのです。
しかしリーゼ嬢は王子の言葉を拒み、陛下が登場した事によってお二人の婚約は完全に無くなる結果となりました」
その事はアデリナも関わっていた関係でよく知っている。
もっとも私が気づいた時には王妃が暴走していたがために、急ぎブラン伯爵と共に休まれている陛下を呼びに行く羽目になったのだが。
「すると王子はリーゼ嬢との婚約を無くしてしまった陛下の事を恨んでいたというのか?」
「そこまでは分かりかねますが、何らかのシコリは残っていたのではないかと思います。
それとこれはご存知ないかもしれませんが、今から3ヶ月程までに王子は再びリーゼ嬢の前に立たれたそうです」
「何? そんな話は聞いていないぞ」
「リーゼ嬢とクロード王子が出会われた出来事をご存知ですよね? 実はその現場に王子も偶然居合わせたそうなのです」
「「なんだと!?」」
グリューン公爵も初耳だったようで、再びお互いを確認するように視線が交わる。
二人の出会いの経緯は今や貴族達の中では有名な話だ、行政府が気づき慌てて箝口令を出す前に王都中に広まってしまったのだからどうしようもなかった。
幸い国民の間で目立った混乱もなく、比較的祝福モードだったので助かったが、これが国を見捨てて他国に逃げるのかという方向に流れていれば、今頃国中は大混乱に落ち行っていたであろう。本人はどう思っているのかは知らないが、良い意味でも悪い意味でもリーゼの存在は今の国民にとっては大きいのだ。
「それで王子はどうなさったのだ?」
「その場でリーゼ嬢に求愛されて振られたそうです」
……頭が痛くなってきた。隣を見ればグリューン公爵も同じような表情をしている。
リーゼが王子の求愛を断るのは当たり前の事だ、一度は何の落ち度もないと言うのに一方的に断罪されたと聞いているし、頭の回る娘なら婚約者を差し置いて簡単に承認するはずがない。寧ろリーゼ嬢の対応は誰もが納得ができる答えだと言える。
「王子はリーゼ嬢の言葉を素直に受け止められたのか?」
グリューン公爵も疲れ切っている様子だ、だが結末を聞かない事には先へと進めない。
「いいえ、それでもリーゼ嬢に迫られ、偶然居合わせたクロード王子に止められたそうです」
「なるほどな、リーゼ嬢にしてみれば自分を助けてくれた正義の味方といったところだろう。王子も相手が隣国の王子なら素直に引き下がるしかあるまい」
彼女も母親に似て中々の美人だ、王子との婚約の話がなければ今ごろ大勢の男達に迫られていた事だろう。そんな彼女との衝撃的な出会いであれば、年頃の男女ならば恋に落ちても不思議ではない。
「それが……ウィリアム様はクロード王子に邪魔をされた事を根に持ち、拳で殴りかかられたと……」
ブフッ
「「何だと!!」」
隣国の王子を殴った!? しかも当時は正式な使者として来られたと聞いている。もしこれが本当だとすれば友好どころの話でないではないか。
「ご安心ください。クロード王子は問題を大きくしない事約束されていたと聞いております」
「誠か、これはクロード王子に感謝せねばなるまい」
全く、ウィリアム様もクロード王子の度量の大きさの1割でもあれば良かったのだが。しかしこれでは益々リーゼとの中を認めねばならないだろう、迂闊に逆鱗に触れれば問題を蒸し返されないとも言い切れない。その場には大勢の目撃者がいたと言う話だからな。
その後ラグナス王国から正式に求婚を求める書状が届いたところを見ると、よほどクロード王子はリーゼの事を気に入ったのであろう。ブラン家も王子との一件がようやく落ち着いたというのに、前向きな姿勢を見せている事からリーゼ嬢も満更でもないのかもしれない。
……そうか、ラグナス王国を代表するクロード王子と、メルヴェール王国の国民から愛されるリーゼとの結婚は、最終的に陛下の決断が必要となってくる。もし陛下の体調が戻り、二人の結婚を認められればもう誰にも止める事ができなくなる。
だが、そんな陛下が亡くなればどうなる? 次に王位を継ぐ者に決定権が委ねられ、いくら行政府が二人の結婚を認めたからと言っても、肝心の陛下が否と答えればまず間違いなく結ばれる事にはならないだろう。
それこそブラン家がリーゼを追放するか、メルヴェール王国から離れれば話は変わってくるが……
「つまりお前はこう言いたいのだな、王子はリーゼ嬢を手放したくがないために陛下を手にかけたのではないかと」
自分で言っておいて何だが、確かにこの動機ならやり兼ねないのではないか。あの王子は今まで欲しいものは何が何でも手に入れようとする傾向があったし、自分の望む通りにならないと周りにいる人間に暴力を振るう事もあった。
「私は常日頃から思っていた事がございました。真に国王と王妃に相応しいはグリューン公爵様のご子息と、ウィスタリア公爵様のご令嬢ではないかと」
っ、まるで我らの心を見透かされた様で明らかに動揺してしまった。
「バカな事を申すな! 我らにその様な野望など持ち合わせてはおらぬわ」
いつもなら冷静に流すであろうグリューン公爵も動揺が隠せないでいる様だ、思わず語尾を強く言った事がそれを証明している。
これは私達二人が理想と考えていたこの国の未来の構図だ。グリューン公爵の息子が王位に就き、娘のアデリナがそれを支えるべく王妃に就く。
これが未来有望な王子ならこんな事も考えなかっただろうが、あのバカ王子に国を任せるのかと思うと、私でなくとも不安になるというもの。
もしダグラスの言う通り、王子が陛下を手にかけたとするなら……排除する事も可能だろう。ベルニア王妃が当然反抗してくるだろうが、陛下がいなくなった今、あの女も一緒に排除する事も出来るのではないか?
「私もお二人がその様な事を考えておられるとは思ってもおりません、ですが今この国の王に相応しいのはウィリアム様ではなく、若く聡明な指導者です。
その点グリューン公爵様のご子息は若くして騎士団に所属し、今や多くの貴族達からも注目を置かれております。その上ウィスタリア公爵様のご息女を王妃に迎えられる事ができれば、国民達も喜んで賛同してくれるでしょう。
お二人ももうお気づきなのではございませんか? ウィリアム王子が王位を継いでしまえばこの国の未来は無くなってしまうと」
痛いところを突いてくる、そんなこと我らでなくともこの国の者のほとんどがそう考えているだろう。
だがそう簡単に答えを出せる案件ではない、もしここで同意などしてしまえば二大公爵家が謀反を企んだ事にされてしまう。
ここは慎重に言葉を選ばなければ……
「ダグラス、お前の真意はどこにある? フェルナンド家は王妃よりではなかったのか?」
「待てグリューン、何を言って……」
「お前も分かっているだろう、もし王子が陛下を手にかけたとあらば見過ごす事など出来ない」
グリューン公爵がダグラスに気づかれない様視線で合図を送ってきた。恐らく何か考えがあるようだ、
「私の真意は先ほど申した通りでございます。グリューン公爵様がフェルナンド家を、父を警戒されている事は存知ておりますが、私は父とは違います。
もし私の言葉に疑いを抱かれるのであれば、このまま王子の前に突き出されても文句はいいません」
「覚悟は出来ている、という事だな」
「覚悟なくして、この様な話をお二人の前では出来ません」
「「……」」
「いいだろう、ならばその証明をしてもらう。私とウィスタリア公爵、そしてお前の三人で血判状を認める。もし我らを裏切るようであれば分かっているだろうな」
なるほどな、古いやり方だがこれでダグラスの裏切りは許されなくなった。血判状を我らが保管し合えば脅される事もないだろう。
「畏まってございます」
「ならば書面を作成し、私が責任を持って保管させてもらう」
「では書面は私が作成いたしますので、お二人は内容のご確認をお願いいたします」
その後がダグラスが作成した書面を我らが何度も確認し合い、何の不備も仕掛けもない事をた確かめてからそれぞれサインを書き加えた。
「それでは最後に私のサインを」
ダグラスが書面の一番下に自分の名前と血判を押した事を確かめ、完成した血判状はグリューン公爵が預かる事となった。
恐らく後ほど私が預かる事になるんだろうが、ダグラスにはグリューン公爵が保管していると思わしておく方がいいだろう。
「私はこの後城に戻り、王子が陛下を手にかけたという証拠を集めてみます。もし王子が王位をすぐに継ぎたいと申されましても、お二人には何とかお止めしていただきたく存じます」
「いいだろう、だがもしお前がしくじった場合は……」
「その時は私を切り捨ててください。もし自白を誘導されても決してお二人の名前は出さない事を誓います」
こうして長かった一日が幕を降ろす事となる。
これが自らの破滅をもたらす事になるなどとも知らずに……。
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