私が嫁ぐ予定の伯爵家はなんだか不穏です。

しゃーりん

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ミナという女性の話から、ティムが父の子供ではないわかり、彼をここに戻さなければならないと思った。 


「わかりました。ティムが伯爵の子供ではないと伝えてここに戻って来るように伝えます。」

「そうしてくれると助かるわ。
 ティムが住んでいた家にね、ずっとリズとリムが住んでるの。
 ティムが置いていった数か月分の家賃は払ってくれたんだけどね、そのあとが困ってね。」


このミナは、ティムの住まいの家主らしい。
リズがリムを産むまでは、足りなくても少しずつ家賃を払ってくれていたそうだ。
でも、出産後は家賃をもらえていない。
『ティムが帰ってきたら払ってくれる』とリズは言って住み続ける。


「リズの実家も、赤子が泣くから同居を嫌がってて、リズたちは行き場がないの。
 可哀想に思って私もティムが帰る迄はと家賃を待っているんだけどね。
 さすがに滞納金が多くて。いつまでのタダで住まわせると他の人にも悪いし。」

「あぁ、なるほど。ですがそのままティムの帰る場所を置いていてください。
 滞納金は僕が払います。」


纏まった金を渡すと、ミナは驚いた。


「これだと滞納金だけでなく、今後1年分もあるよ。」

「そうですか。ではティムには1年後から家賃をもらうようにしてください。」
 
「わかった。こちらとしても助かるし。」

「すぐにでもティムを帰したいところですが、手続きに時間がかかります。」


本当はすぐにでも帰すことはできるが、テオルドは王都で確認したいことがいくつかあった。
それを全部終わらせてから、ティムのことも自分のことも解決したかった。

リズとリムを王都に連れて行き、ティムに会わせた方が話が早くなる気がした。
ティムが父の子供じゃなかったことを知らせずに2人が屋敷に行くと、状況が一変して混乱もあるだろうが、母がどういう行動をするのかも見てみたかったのだ。
 
なので、ビリーに頼み、ティムのいる場所に連れて行くと言ってリズとリムを王都の屋敷に送り届けてもらった。

ビリーには、王都の屋敷の使用人にリズたちが来てからのことを報告してもらうように頼んで、自分はロンバード医師に確認に行ったり、詳しく体の検査を受けたりしていたのだ。


「体の具合に問題はなかったのですよね?」

「うん。ただ、王都の専門機関でちゃんと診てもらいたかったんだ。……子種を。」


サリューシアは驚いた。テオルドはそこまで考えていたのだ。


「毒も飲まされていたから、どこに影響が出ているかがわからなかった。
 子種が死んでいれば、僕が跡継ぎになっても養子をとることになる。
 その場合、サリューシアとまた婚約を結ぶ前に、言うべきだと思ったんだ。」

「言わなかったということは大丈夫だったということですよね?」

「ああ。問題なかった。だからこそ、母にも医師にも厳罰を与えなかったんだ。」


確かにそのことで罪の重さが変えたくなるのはわかる気がする。

サリューシアも、毒を飲まされて子供が産めない体になったとしたら相手を許すことなどできないと思う。

結果的にテオルドの体に問題がなかったから、2人の罪は公にならずに済んだのだ。




 
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