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しおりを挟む何十年も知らぬふりをしてきた違法な薬草で得たマッケンジー公爵家の収入は莫大である。
それを咎めない代わりにシャーロットと引き換えにした支援金の返還もしない。
そして、違法な薬草を合法にし、税も納めてもらえば問題ないどころか国庫も潤う。
「な、なるほど。そういう手があったか。なら返還しなくても大丈夫そうだな?」
「そうね。でもシャーロット、あなた、平民だなんて大丈夫なの?」
王妃様は生活に困ったことなどないため、シャーロットが耐えられないと思っているらしい。
でもシャーロットは8歳まで飢えるような暮らしをしていた。
なので、普通の令嬢とは違うと自分では思っている。
「では、私個人に慰謝料をいただけませんか?三年間、ニコルソン殿下の執務も手伝ってきましたし。
王都の安全な区域に住む家と当面の生活費をお願いしたいのです。」
「それはもちろんよ。手配しておくわ。なんなら、ニコルソンの私費を全てシャーロットに移してしまおうかしら。」
そう言った王妃様の隣で国王陛下が悲痛そうな顔をした。
ニコルソンが可哀想なら国王陛下の私費でもいいですよ?とシャーロットは心の中で思った。
こうして、ニコルソンとシャーロットの学園卒業後に二人の婚約は解消、それと同時にニコルソンは廃太子となり、ナディア・カスピス男爵令嬢と結婚する方向で話はまとまった。
もちろん、このことはニコルソンには秘密である。
卒業までのひと月半の間に、グレイソンとアンネマリー皇女の婚約をまとめ、グレイソンを立太子させるために陰では大忙しだった。
「ご機嫌ですね?シャーロット様。」
「……そうかしら?」
明日は卒業式である。
シャーロットが自由になれる日。
侍女やマックスに気づかれないように、少しずつ荷物をまとめた。
シャーロットのものは持って行って構わないと言われている。
マッケンジー公爵家から与えられたものは何もないが、私費として与えられていた金も出処は実家だと言えなくもないため、遠慮なく貰っていくことにした。
ドレスはかさばるため持って行けないが、宝石を売れば当分困らない暮らしができるから。
明日は卒業式が終われば卒業パーティーがある。
その後、ニコルソンは廃太子を告げられる。
その頃には、シャーロットはここを出ているはず。
マックスともいよいよお別れとなる。
「ねぇ、マックスは結婚しないの?」
マックスは伯爵家の次男だと聞いた覚えがある。
シャーロットの騎士をしている間に結婚したとは聞いていない。
ほぼ毎日一緒にいるのに、マックスの私生活を何も知らなかった。
「あー……結婚はもうすぐしますね。」
「あ、そうなの?おめでとう。まさか、ずっと相手の方を待たせていたとか言わないわよね?」
シャーロットが結婚するのを待っていた、とかないよね?
「あ、いえ、違います。」
「よかった。十年も待たせたのかと思ったわ。」
しかも、ニコルソンとの婚約が解消になるんだから、待っていた意味もなくなるところだったわ。
「以前の婚約者は婚約解消に二年粘っていたけど、結局は同意してくれましたから。」
「そうなの?!どうしてその時に結婚しなかったの?」
「死んだ目のお子様から目が離せなかったので。」
「……私のせいなのね。ごめんなさい。」
「嘘ですよ。性格が合わなかったので。仕事中は会えないのに会いに来て泣くような女は無理です。」
それは鬱陶しい女ね。騎士の妻にはなれないわ。
もうすぐ結婚する方とは幸せになってほしい。
マックスとも、もう明日でお別れね。……まだ内緒だけど。
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