諦めていた自由を手に入れた令嬢

しゃーりん

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卒業式が終わり、その後の卒業パーティーでのことだった。 

シャーロットは友人や先生方に挨拶を済ませたら、最後まで参加せずに退出するつもりでいた。

荷物を持ち、新しい住処へと移る。
平民になる。
自由を手に入れる。

もう既に心は新しい生活へと向かい始めていた。


そんな浮足立ったシャーロットの目を覚ますような会話が聞こえてきた。


「ナディア、結婚相手って平民なの?」

「そうよ。だって、殿下に追い掛け回されていたせいで誰も婚約者になってくれなかったもの。貴族じゃなくてもいいってお父様が探してくれたの。」


えええっ?!どういうこと?
ニコルソンとナディア・カスピス男爵令嬢は恋仲なんじゃないの?
 

「ちょっとごめんなさい?あなた、殿下と思い合っているのよね?」

「あっ!シャーロット様。いえいえ、シャーロット様を差し置いてそのようなことは……」

「いいの。気にしないで。本心を教えてくださったら嬉しいわ。」

「本心、を言えば、正直言って殿下は好みのタイプではないですし、私も妃ってガラでもないので。」
 

嘘でしょう?
ニコルソンの一方通行の思いだったってこと?

妃になりたいっていうタイプの令嬢ではないと思っていたから、愛するニコルソンと結婚できるなら男爵家でも楽しく暮らすだろうと思っていたのに。


「あの、シャーロット様?」

「殿下と結婚する気はないってこと?」

「当然です。まぁ、贈り物とか有難く戴いてしまいましたが、やっぱりダメでしたか?」

「いえ、そうじゃないの。そうだったのね。だとしたら、…………」


廃太子になるニコルソンの居場所は?

えっ……どうなるの?



その時、誰かが手を叩いたと思えば、ニコルソンが壇上にいた。

ひどく嫌な予感がした。


「ナディアさん、殿下が予測不可能な発言をするかもしれないから、逃げることをお勧めするわ。」

「え……?逃げる?」


キョトンとしているナディアを逃がそうと思っていると、ニコルソンが声を張り上げた。


「シャーロット・マッケンジーはどこだ?」


もうっ!何を始める気?まさか、婚約解消をこんな場所で告げるつもりなのかしら。


「ナディアさん、わかったわね?」


シャーロットはナディアに再び逃げるように言ってから、ニコルソンの方へと向かった。 



 
「ニコルソン殿下、お呼びでしょうか?」

「ああ、シャーロット。僕は君との婚約を解消する。」


やっぱりね。大勢の前で言う必要ないと思うけど。


「そうですか。かしこまりました。」


というか、もう解消されているし。


「理由は、君は僕にとって妹みたいなものだからだ!」


まぁ、確かにずっと一緒の場所で暮らしてきたけれど。

でも妹ではなく、どちらかと言えば姉じゃない?
不出来な弟を助ける姉。 

そっちの方がしっくりくるわ。
 

「だから、僕は愛する人を見つけたっ!ナディアっ!!」


……シーンとした後、離れた場所からボソボソとした話し声と三人ほどの靴音が聞こえて姿を見せた。


あーあ。ナディアさん、逃げなかったのね。
 
顔、引きつっているけど、もう手遅れよ。

 
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