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しおりを挟むマックスと結婚してしまった。
本当にこれでいいのかな。
馬車に戻り、今度こそ住処へと向かうらしい。
「これでひとまず安心だろ。本当は初夜も済ませておきたいところだがな。」
「初夜?!」
「王族に嫁ぐには純潔が必須だからな。それこそ誤魔化せない。」
なるほど。
父がどんなに籍を改ざんしたとしても、体は元には戻らないから。
「でも結婚したからっていきなり押し倒したりしないから安心しろ。ま、そのうちにな。」
そんなことを言うマックスにシャーロットは驚いてしまった。
「何だ?」
「子供の頃からの私を見ているのに、ソノ気になれるの?」
マックスは座っているシャーロットを上から下まで眺めた。
「もう大人だろ?」
それはそうだけど。
半年後にはニコルソンと結婚する予定だったし。
「俺は何の問題もないぞ?シャーロットは美人だし、性格は可愛いし、胸はデカいし?」
「なっ……」
恥ずかしげもなくマックスがそんなことを言うとは思わなかった。
しかも、口調も前とは全然違うし、シャーロットと言ったりお前と言ったりで、距離が近く感じる。
「いつでも夜這いに来ていいぞ?」
「あ……一緒に住むの?」
「当然だろう?俺たちは夫婦になったんだから。」
独りだと思っていたのにマックスも一緒。
十年間、一緒にいたせいか、マックスの存在に安心感があることに気づいた。
馬車が着いたのは、大きな建物の前だった。
「ここだ。ここは、裕福な平民や隠居した貴族、騎士だと部隊長らが住むエリアだ。」
「……ちょっと待って?私、平民になったのよ?」
「裕福な、平民だな。使用人を五人くらい雇っても問題ない。とりあえず二人はもういるけどな。」
つまりは、シャーロットが思っていた平民になる暮らしと、王妃様やマックスの思っていた平民には大きな差があったらしい。
シャーロットの望むままであれば、馬車でマックスが言っていたように金や宝石を奪われて、そのうち身を売るしかない暮らしになっていたのだろう。
平民の暮らしを何も知らないシャーロットが平民になっても、途方に暮れていたはず。
では貴族と裕福な平民の違いは何か。
家のために社交するかしないか、といったところなのかもしれない。
貴族でも商売人でもないシャーロットに社交は今後必要ない。
煩わしい社交がない。
そのことがとても嬉しい。
人前に出たことはほとんどないけれど、視線がとても痛かった。注目されるのは、苦手。
「使用人がいるの?」
「ここの住処は、主人と同じ階に使用人家族の住処もあるんだ。だから侍女みたいにずっと側にいるわけではなく、食事の用意や洗濯・掃除を決めた時間にしてくれる。」
「私は何をすればいいの?」
「好きなことをすればいい。そのために望んだ自由だろう?」
学園は卒業した。
ニコルソンの執務を代わりにやる必要もない。
私、一日中、ずっと自由なんだわ。
「家事を、してもいいの?」
「ああ。どうやるのか教えてもらったらいい。ただし、一人での外出は禁止だ。」
「わかったわ。」
「買い物したいなら、休みの日に俺と一緒に行くか、使用人と行くように。護衛も兼ねてるからな。」
買い物の仕方も教えてもらわないと。
そう思いながら入った部屋は、既にたくさんの物が揃っていた。
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