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しおりを挟む朝食後、マックスが言った。
「ちょっとその後の様子を探ってくる。」
「その後?」
「男爵家の婿になることをニコルソン殿下が大人しく受け入れたかどうか、それとマッケンジー公爵がシャーロットを探しているかどうか、だ。だから今日はここから出ないでいてくれるか?」
「…………」
忘れてた。
ナディアさん、ニコルソンと結婚するのかしら?
「どうした?」
「両想いじゃなかったの。ニコルソン殿下と男爵令嬢。」
「はあ?!」
「殿下の一方通行の思いだったみたい。ナディアさんは実家に戻って父親が選んでくれた平民と結婚するつもりだって言っていたのを昨日聞いてしまったの。だけど卒業パーティーで、殿下が私と婚約解消してナディアさんを選ぶって言ったからどうしようもなくて、みんなで祝福したのよ。」
「えっ……じゃあ、男爵令嬢は殿下と結婚する気はないのか?」
「そうみたいだったけど、もう逃げられないんじゃないかしら。大勢の前で殿下が言っちゃったし。」
「王太子妃になれないから結婚したくないのではなく?」
「だって、殿下もまだ自分が廃太子になるって知る前のことだもの。彼女も知るはずないわ。」
両想いじゃなかっただなんて、まさか、よね。
ニコルソンは彼女を王太子妃にしたかったのでしょうけど、そもそも男爵令嬢では正妃にはなれないのに。
そういう王族として定められたことをどうでもいいことだと思うところも王太子失格なのよ。
「彼女は元から妃になる気もなかったのね。てっきり愛人か側妃狙いだと思っていたけど。」
「そう言えば、殿下が追いかけまわしているという報告だったな。」
「そうね。男爵令嬢は逃げ腰だったのかも。贈り物は貰っていたみたいだけど。」
いらないって言い難いものね。
彼女には申し訳ないことをしたわ。
もっとちゃんと調べるべきだった。
あまりにもニコルソンに興味がなくて、彼の好きな令嬢がどんな方なのかにも興味がわかなかったから。
「まさか、男爵令嬢は結婚を断っていないだろうな?」
「あの場では断れる状況じゃなかったわ。というか、王妃様が押し付けるんじゃないかしら。」
王太子妃なんて絶対無理だと断ろうと思っていたら、ニコルソンを男爵家の婿にすると言われて断れないでしょう?
ニコルソンは廃太子にされて文句を言うでしょうけれど、好きな人と結婚できるのだからいいじゃない。
男爵家にも何らかの恩恵はあるでしょうし。
「じゃあ、殿下を好きじゃないとバレたら大変だな。でも能天気な男だから気づかないか?」
そうかもね。今まで気づかなかったのだから、これからも騙され続けてほしいわ。
そんなニコルソンと暮らしていれば男爵令嬢も絆されて好きになってくれるかもしれないし。
「じゃあ、行ってくる。」
マックスはシャーロットを軽く抱きしめて頭にキスをしてから出て行った。
近々、発表があるはず。
第二王子グレイソン殿下が隣国のアンネマリー皇女と婚約して王太子に。
第一王子ニコルソン殿下は愛する男爵令嬢と結婚し男爵家の婿に。
ってね。
ニコルソン殿下の婚約者だったシャーロット・マッケンジー公爵令嬢はどうなったか?
”彼女は自ら望んで平民になりました”
そう公表してくれて構わないわ。
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