諦めていた自由を手に入れた令嬢

しゃーりん

文字の大きさ
23 / 36

23.

しおりを挟む
 
 
王都の街に買い物に出て、買って帰ってきたのは一つだけだった。

”結婚指輪”

既婚者の証である。


貴族だけでなく、平民でも多くの者がつける時代となっている。
貴族の夫人は宝石がついている指輪が多く、平民の女性は日常に邪魔にならないシンプルなものという違いはあるらしい。

使用人のいる生活をしているがシャーロットは平民になったので、シンプルな指輪にした。 
なぜなら、その方が夫の指輪とお揃いのデザインになるから。
 
シャーロットはマックスとお揃いの夫婦の証を身に着けることができて嬉しかった。

平民の結婚指輪の方が夫婦らしくていいと思っていた。 


気に入ったデザインのサイズもあったことから、すぐに持ち帰ることができた。
 
でもまだつけていない。

シャーロットはいつつけるのかと不思議に思っていた。



「シャーロット、街はどうだった?」

「どんなものにでもいろんな種類があるのね。驚いたわ。ふふ。あのお肉も美味しかったわ。」


シャーロットはいい匂いの屋台を見て、自分で買ってみたいと思った。
マックスと一緒に並んで、シャーロットがお金を払って初めて買ったものだった。 

しかも、ベンチに座って食べるということも初めて。
周りの平民も同じようにしているのを見て、シャーロットは”自分も一緒だわ”と嬉しくなった。

 
「また一緒に行こう。」


はぐれないようにマックスと手を繋いで歩いたことも楽しかった。

何をしても楽しい。

思い出していると、マックスが指輪の入った箱を持ってきた。


「シャーロット、この結婚指輪に誓う。どんな時も味方になり、守り、愛することを。」


マックスはシャーロットの指に指輪を嵌めながら、そう誓ってくれた。

 
「マックス、……私はあなたに何を誓えるかしら。あなたの望みは?」

「一緒にいてくれることだ。」

「一緒に……。わかったわ。ずっとあなたと一緒にいて、あなたを信じ、あなたを愛するわ。」


そう言ってマックスに指輪を嵌めたのに、マックスは唸ってしまった。


「マックス?」

「その言葉は嬉しい。嬉しいが、……俺は嘘をついた。」

「嘘?」

「ああ。……いくつも。」

「いくつも?!」


まさか、この三日間の間に?


「まず、ベッドが一つだったのはワザとだ。もちろん平民の夫婦が一緒に眠ることが多いというのは嘘ではないが、この家にベッドが一つしかないのは俺が一つでいいと言ったからだ。」

「そうなの?」

「そうしないと、いつまでも夫婦っぽくならなくて主従関係が続きそうに感じたからな。」


あー……そうかも?


「でも、嘘だとは思わないわ。実際、夫婦っぽくなってきたし。」


マックスは微妙な顔になった。


「あとは、挨拶だな。平民はハグやキスの挨拶が普通だと言ったことも嘘だ。」

「そうなの?」

「平民だろうが貴族だろうがする夫婦はするだろうし、しない夫婦はしない。そういうもんだ。」
 
「する人もいるのよね?じゃあ、嘘でもないと思うけど。それに、私は夫婦っぽくていい習慣だと思ったわ。」

 
マックスは拍子抜けしたような顔になった。


「怒らないのか?嘘を教えて強要したようなものなのに。」

「でも、夫婦でしょ?」


マックスは頭を抱えてしまった。


「お前は夫婦だったら何でも許せるのか?」

「んー……多分、マックスだから?ニコルソンだったら最低限の接触以外お断りね。信用できる下地が違うのよ。マックスは私の嫌なことはしないと信じられるから。」

「……今から初夜をしたいと言ったら?」

「喜んで?」


結婚した一昨日はいきなりすぎて少し時間が欲しかっただけだから。

そう言うと、マックスはシャーロットを抱き上げてベッドに運んだ。

マックスは時間をかけて、優しく愛してくれた。
 

 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

あなたは婚約者よりも幼馴染を愛するのですね?

睡蓮
恋愛
ノラン侯爵はエリステルとの婚約を築いておきながら、自信が溺愛する幼馴染であるユリアとの時間を優先していた。ある日、ノランはユリアと共謀する形でエリステルに対して嫌がらせを行い、婚約破棄をさせる流れを作り上げる。しかしその思惑は外れ、エリステルはそのまま侯爵の前から姿を消してしまう。…婚約者を失踪させたということで、侯爵を見る周りの目は非常に厳しいものになっていき、最後には自分の行動の全てを後悔することになるのだった…。

婚約破棄? 結構ですわ。私は領地を立て直します

鍛高譚
恋愛
――婚約破棄? むしろ好都合ですわ! 王太子エドワード殿下の婚約者として完璧な淑女教育を受けてきた伯爵令嬢ルシア。 だがある日、殿下は彼女を公衆の面前で一方的に婚約破棄し、新たな婚約者として平民出身の令嬢レイラを選んだ。 「あなたのような冷たい女より、愛に生きるレイラのほうがふさわしい!」 突然の屈辱に、一時は落ち込むルシアだったが――すぐに吹っ切れる。 「王太子妃になるための苦労をしなくて済むなんて、むしろ幸せでは?」 伯爵家の一員として新たな人生を歩むことを決意したルシアは、父の領地の改革に取り組みはじめる。 不作にあえぐ村を助け、農業改革や商業振興に奔走するうちに、村人たちから慕われるように。 そして、彼女の努力はやがて王宮にまで届き―― 「君のような女性こそ、王国に必要だ。」 そんな彼女のもとを訪れたのは、まさかの第二王子・アルベルト殿下!? 婚約破棄で人生が終わるどころか、むしろ最高の人生が始まった!? 元婚約者が没落する一方、ルシアは国を動かす存在へと成長していく――!

悪役令嬢なので最初から愛されないことはわかっていましたが、これはさすがに想定外でした。

ふまさ
恋愛
 ──こうなることがわかっていれば、はじめから好きになんてならなかったのに。  彩香だったときの思いが、ふと蘇り、フェリシアはくすりと笑ってしまった。  ありがとう、前世の記憶。おかげでわたしは、クライブ殿下を好きにならずにすんだわ。  だからあるのは、呆れと、怒りだけだった。 ※『乙女ゲームのヒロインの顔が、わたしから好きな人を奪い続けた幼なじみとそっくりでした』の、ifストーリーです。重なる文章があるため、前作は非公開とさせていただきました。読んでくれたみなさま、ありがとうございました。

地味で器量の悪い公爵令嬢は政略結婚を拒んでいたのだが

克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。 心優しいエヴァンズ公爵家の長女アマーリエは自ら王太子との婚約を辞退した。幼馴染でもある王太子の「ブスの癖に図々しく何時までも婚約者の座にいるんじゃない、絶世の美女である妹に婚約者の座を譲れ」という雄弁な視線に耐えられなかったのだ。それにアマーリエにも自覚があった。自分が社交界で悪口陰口を言われるほどブスであることを。だから王太子との婚約を辞退してからは、壁の花に徹していた。エヴァンズ公爵家てもつながりが欲しい貴族家からの政略結婚の申し込みも断り続けていた。このまま静かに領地に籠って暮らしていこうと思っていた。それなのに、常勝無敗、騎士の中の騎士と称えられる王弟で大将軍でもあるアラステアから結婚を申し込まれたのだ。

真実の愛の取扱説明

ましろ
恋愛
「これは契約結婚だ。私には愛する人がいる。 君を抱く気はないし、子供を産むのも君ではない」 「あら、では私は美味しいとこ取りをしてよいということですのね?」 「は?」 真実の愛の為に契約結婚を持ち掛ける男と、そんな男の浪漫を打ち砕く女のお話。 ✻ゆるふわ設定です。 気を付けていますが、誤字脱字などがある為、あとからこっそり修正することがあります。 ・話のタイトルを変更しました。

はずれのわたしで、ごめんなさい。

ふまさ
恋愛
 姉のベティは、学園でも有名になるほど綺麗で聡明な当たりのマイヤー伯爵令嬢。妹のアリシアは、ガリで陰気なはずれのマイヤー伯爵令嬢。そう学園のみなが陰であだ名していることは、アリシアも承知していた。傷付きはするが、もう慣れた。いちいち泣いてもいられない。  婚約者のマイクも、アリシアのことを幽霊のようだの暗いだのと陰口をたたいている。マイクは伯爵家の令息だが、家は没落の危機だと聞く。嫁の貰い手がないと家の名に傷がつくという理由で、アリシアの父親は持参金を多めに出すという条件でマイクとの婚約を成立させた。いわば政略結婚だ。  こんなわたしと結婚なんて、気の毒に。と、逆にマイクに同情するアリシア。  そんな諦めにも似たアリシアの日常を壊し、救ってくれたのは──。

婚約破棄された公爵令嬢は心を閉ざして生きていく

おいどん
恋愛
「アメリアには申し訳ないが…婚約を破棄させてほしい」 私はグランシエール公爵家の令嬢、アメリア・グランシエール。 決して誰かを恨んだり、憎んだりしてはいけない。 苦しみを胸の奥に閉じ込めて生きるアメリアの前に、元婚約者の従兄、レオナールが現れる。 「俺は、アメリアの味方だ」 「では、残された私は何のためにいるのですか!?」

遊び人の令嬢が目を付けたのは、私の真面目な婚約者でした

おいどん
恋愛
子爵家の令嬢エリーネと伯爵家の次男のノルトが婚約を結んだのは、半年前だった。 真面目で優秀なノルトに相応しい婚約者であろうとするものの、エリーネには自信がなかった。 ある日、遊び人と噂の令嬢べルティーナとノルトが共にいるところを見てしまう。 「真面目クンは壁さえ破っちゃえばこっちのもんだからね〜」 「きっと、彼女の美しさに嫉妬しているのだわ…」 「…今度は、ちゃんと言葉にするから」

処理中です...