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しおりを挟む王都の街に買い物に出て、買って帰ってきたのは一つだけだった。
”結婚指輪”
既婚者の証である。
貴族だけでなく、平民でも多くの者がつける時代となっている。
貴族の夫人は宝石がついている指輪が多く、平民の女性は日常に邪魔にならないシンプルなものという違いはあるらしい。
使用人のいる生活をしているがシャーロットは平民になったので、シンプルな指輪にした。
なぜなら、その方が夫の指輪とお揃いのデザインになるから。
シャーロットはマックスとお揃いの夫婦の証を身に着けることができて嬉しかった。
平民の結婚指輪の方が夫婦らしくていいと思っていた。
気に入ったデザインのサイズもあったことから、すぐに持ち帰ることができた。
でもまだつけていない。
シャーロットはいつつけるのかと不思議に思っていた。
「シャーロット、街はどうだった?」
「どんなものにでもいろんな種類があるのね。驚いたわ。ふふ。あのお肉も美味しかったわ。」
シャーロットはいい匂いの屋台を見て、自分で買ってみたいと思った。
マックスと一緒に並んで、シャーロットがお金を払って初めて買ったものだった。
しかも、ベンチに座って食べるということも初めて。
周りの平民も同じようにしているのを見て、シャーロットは”自分も一緒だわ”と嬉しくなった。
「また一緒に行こう。」
はぐれないようにマックスと手を繋いで歩いたことも楽しかった。
何をしても楽しい。
思い出していると、マックスが指輪の入った箱を持ってきた。
「シャーロット、この結婚指輪に誓う。どんな時も味方になり、守り、愛することを。」
マックスはシャーロットの指に指輪を嵌めながら、そう誓ってくれた。
「マックス、……私はあなたに何を誓えるかしら。あなたの望みは?」
「一緒にいてくれることだ。」
「一緒に……。わかったわ。ずっとあなたと一緒にいて、あなたを信じ、あなたを愛するわ。」
そう言ってマックスに指輪を嵌めたのに、マックスは唸ってしまった。
「マックス?」
「その言葉は嬉しい。嬉しいが、……俺は嘘をついた。」
「嘘?」
「ああ。……いくつも。」
「いくつも?!」
まさか、この三日間の間に?
「まず、ベッドが一つだったのはワザとだ。もちろん平民の夫婦が一緒に眠ることが多いというのは嘘ではないが、この家にベッドが一つしかないのは俺が一つでいいと言ったからだ。」
「そうなの?」
「そうしないと、いつまでも夫婦っぽくならなくて主従関係が続きそうに感じたからな。」
あー……そうかも?
「でも、嘘だとは思わないわ。実際、夫婦っぽくなってきたし。」
マックスは微妙な顔になった。
「あとは、挨拶だな。平民はハグやキスの挨拶が普通だと言ったことも嘘だ。」
「そうなの?」
「平民だろうが貴族だろうがする夫婦はするだろうし、しない夫婦はしない。そういうもんだ。」
「する人もいるのよね?じゃあ、嘘でもないと思うけど。それに、私は夫婦っぽくていい習慣だと思ったわ。」
マックスは拍子抜けしたような顔になった。
「怒らないのか?嘘を教えて強要したようなものなのに。」
「でも、夫婦でしょ?」
マックスは頭を抱えてしまった。
「お前は夫婦だったら何でも許せるのか?」
「んー……多分、マックスだから?ニコルソンだったら最低限の接触以外お断りね。信用できる下地が違うのよ。マックスは私の嫌なことはしないと信じられるから。」
「……今から初夜をしたいと言ったら?」
「喜んで?」
結婚した一昨日はいきなりすぎて少し時間が欲しかっただけだから。
そう言うと、マックスはシャーロットを抱き上げてベッドに運んだ。
マックスは時間をかけて、優しく愛してくれた。
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