諦めていた自由を手に入れた令嬢

しゃーりん

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四日前まではマックスはシャーロットに仕える騎士だった。

今は夫婦である。名実共に。

そう理解したマックスの両親は驚いた後、聞いてきた。


「まさか、以前から関係があったのか?」

「それはありません。」
 
「じゃあ、誑し込んだのか?」

「人聞きの悪いことを。ただ夫婦らしくしていたら距離が縮まっただけです。」

「純真無垢で世間知らずなところに付け込んだに決まっているわ。シャーロットさん、本当にマックスでいいのかしら?歳も離れているし。」


伯爵夫人まで疑っているらしい。


「お義母様、私は別に純真無垢でもありませんわ。確かに世間知らずで平民の暮らしについてはこれから学んでいくことになりますが、マックスのことは十年も一緒にいたので誰よりも信頼しています。」
 
「他に頼れる人がいないからそう思うのよ。でも、生き生きとした顔をしているわ。楽しそう。」
 
「はい。独りより二人、しかも夫婦ってこんなにいいものだと思っていませんでした。」


シャーロットは笑顔で答える。
今更マックスと別れることなど考えられないから。


「それならいいわ。結婚せずにずっとシャーロット様にお仕えするって言っていたのに、急に結婚するかもしれないだなんて言い出したから、公爵の手を逃れるための形だけの結婚になるかと思っていたのよ。
いずれ誰かを紹介してあげようかしら?なんて思っていたけれど、二人が夫婦になると決めたならそれでいいわ。」


ちゃんと認めてもらえてよかった。
 

「もう一つ話があって来た。そろそろハーベイに爵位を渡す。何かあればアイツに相談しなさい。」


ハーベイというのはマックスのお兄様で、確か男の子が二人いたはず。
伯爵家は男の子が多い家系なのね。

伯爵夫妻は領地で隠居生活を送るという。
ここに住んでいたマックスの叔父夫婦も領地で暮らし始めたので、代々、余生は領地ということらしい。
 
伯爵夫妻が帰り際、そのうち領地にも遊びにおいでと言ってくれた。

シャーロットの世界はまだまだ狭い。
マッケンジー公爵家、王宮、学園、そしてここ。
昨日、初めて街に行き、いつか、マックスの実家の領地へ。
 
その日が来るのが楽しみになった。



夜、ベッドに入るとマックスが聞いてきた。


「シャーロットは子供を産みたいか?」

「子供……」

「ニコルソンの子供は産みたくないと言っていただろう?」
 
「……そんなこと言ったかしら?」

 
王太子の婚約者だったのに、そんな発言したら問題じゃない?


「お前の独り言で聞いた。」

「独り言……」


それなら言った可能性はあるかも。
ニコルソンと閨を共にすることはないと思っていたけれど、父に圧力をかけられたら嫌々でもニコルソンに抱かれることがあるかもしれないと思っていたから。

だから、絶対に避妊して、父が喜ぶ孫なんか産んでやらないと思っていた。


「昨晩は避妊しなかった。できてるとは限らないが、欲しくないなら避妊しないといけないだろう?」


マックスとの子供。


「……欲しいかも。マックスとの子供なら産みたいわ。」


愛せるかわからない子供は欲しくなかった。
ニコルソンもシャーロットとの子供よりも、他の女性との子供を愛するはずだと思ったから。

シャーロットは自分が愛されない子供だったから、そうなると可哀想だと思った。 

だけど、マックスとの子供なら欲しい。


「なら、避妊はなしだな。」


どうやら今晩も愛されるらしい。
 

 
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