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しおりを挟むマックスとの結婚後、意外と早く妊娠したことで、シャーロットはケイトから少しずつ教わっていた家事も一旦お預けとなった。
悪阻は軽く、妊娠・出産及び育児について本を読んだり、同じ建物に住んでいる出産経験者の女性から話を聞いたりして毎日を過ごしていた。
安定期に入ってからは、街にある気に入った子供用品の店を二週間に一度ほど訪れていた。
「シャーロット、また新作が出ているぞ。」
「ほんとだわっ!どれもこれも可愛い。……やっぱりまだ選べないわ。」
好きなだけ買っていいと言われても、マックスが働いてくれたお金で買うと思うと慎重になってしまう。
男の子か女の子かもわからないから余計に選べない。
事前に準備しておくのは性別がどちらでも大丈夫なもの。
生まれて性別がわかれば、シャーロットが選んだものをマックスが買いに来てくれるという。
マックスに任せたら、シャーロットが今まで手にしたものを全て買ってしまいそうだから。
平民は産着を自分で縫う人も多いらしいが、その素材を手にした時、シャーロットは諦めた。
今までずっといい生地の服で暮らしてきたために、今は平民なのだからと割り切れなかった。
大切な我が子にもいいものを着せてあげたいと思ってしまった。
なので、”私は裕福な平民なのだからいいものを着せてあげるの”と思うことにしたのだ。
かといって、あれもこれもと買うつもりはない。
あっという間に大きくなるのだから。
出産まであと二か月。
シャーロットとマックスは我が子に会える日を楽しみにしていた。
「シャーロット、ちょっと用ができたからケイトとカイルと一緒に先に帰っていてくれるか?」
「わかったわ。遅くなるの?」
「いや、すぐ帰るよ。」
マックスはシャーロットの額にキスをしてから、ある場所へと向かった。
店に入る前から視線を感じていた。
店の中から外を見て、誰が自分たちを見ていたかに気づいた。
家紋のない馬車。
しかし、その馬車の周りには護衛騎士が何人もいた。
「マッケンジー公爵にお会いできますか?」
マックスは騎士の一人に聞いた。
騎士は馬車の中の人物に話しかけた後、扉を開けてマックスを中に入れた。
「……よく気づいたな。どこかで見た顔だ。」
「私は十年間、シャーロットの騎士でしたので。」
マッケンジー公爵がマックスの顔に見覚えがあってもおかしくはない。
「ああ、そうか。……その当時からあの子と思い合っていたのか?」
「いえ、仕事としてお仕えしていただけです。」
「それなのに、あの腹なのか?」
恋人でもなかったのに、孕ませたのが早すぎると言いたいらしい。
「結婚も妊娠も同意の上ですよ。」
「お前か?追跡をかく乱したのは。」
「公爵はシャーロットの捜索をしたのですか?」
数日経っても動いた様子はなかったのに。
「捜さないつもりだった。だが、やはり居場所は把握しておこうと少し経ってから捜させたが、シャーロットに似た女が王都を出た後、あちこちで目撃証言はあったものの見つかることはなかった。」
マックスは念のために、シャーロットが王都から出たように思わせるため、人を雇っていた。
公爵はそれにかく乱されたらしい。
「シャーロットを憎んでいるのでは?」
「……ああ。そのつもりだった。」
どうやら心境の変化があったらしい。
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