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しおりを挟むメロディーナはその後のことを語った。
「あなたは婚約者と結婚したって聞いた。でも数か月後に失踪したって聞いた。それなのに、辺境に向かう途中の街で会うんだもの。驚いたわ。」
あのとき、メロディーナは学園を卒業したばかりだったはずだ。
ローレンスは卒業してから1年経つ間にいろいろあって、様相が変わっていたはずだ。
「よく気づいたな。昔よりも棒じゃなかっただろう?」
「背が高いなって初めは思ったの。でもよく見ると、ローレンス様だってわかったわ。」
「……だからか。あまり警戒もなく御者にしたなって思ったんだ。危ない奴かもしれないのに。」
「怖く感じなかったもの。荒れた暮らしをしてきた感じでもなかったから安心してた。」
「でも……君の誘惑に負けてしまった。」
まさか、結婚相手が前辺境伯という貴族だと思いもしていなかった。
それでなくとも、金で買われた女性に手を出してしまったことは問題だったはずだ。
しかも、メロディーナは妊娠してしまったのだから。
「初めてはあなたがいいと思ったの。あなたの優しさに私がつけこんだのよ。
何年も介護するのだと思っていたし、もし相手に体を求められて純潔じゃないと怒られてもどうでもいいと思って。
でもまさか、あなたの子供を妊娠していると思っていなかったし、あなたが近くにいてくれているとも知らなかった。知ったときは嬉しかったわ。待ってくれているって思ったの。」
どうやら付きまとわれて気持ち悪がられるのではないかと思ったのは杞憂だったらしい。
あの記憶喪失設定は必要なかったようだ。
「でもどうして、前辺境伯の屋敷を出た後の君はあそこに立っていたんだ?」
「あなたの部屋に向かうつもりだったの。近いって聞いて馬車を出してもらうほどでもないかなって。
でも右か左か、最初からわからなくなっちゃって、誰かに訪ねるか、あなたを待つか考えていたの。」
「僕を待つって、近くにいると思ってた?」
「多分、いるんじゃないかなって。それに、あの大家さんも辺境伯様から頼まれて私を迎えに来てくれる途中だったらしいの。だから気を失ったあなたを見て部屋に運べたし、入籍の手続きもしてくれたのよ。」
「え……大家さん、知ってたのか?」
「部屋貸しってね、領地に不審な人物が入ってきたらすぐにわかるでしょ?だから報告義務もあるらしいの。辺境伯様とも懇意にしているそうよ。」
どうやらいろんなことが筒抜けの一年を過ごしていたようだ。
それに大家さんの兄にはこの街の部屋と仕事をお世話になった。
つまり、それもこれも僕たちのことを辺境伯様が気にかけてくれていたから親身になってくれたのだろう。
これは近々、辺境伯様にお礼に伺わなければならないようだ。
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