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しおりを挟む辺境伯様へのお礼はひとまず置いておき、ローレンスは今後どうしたいか、メロディーナに聞いた。
「君はどうしたい?もし、僕がオリオールに戻ると言えばついて来てくれるだろうけれど、今の君は平民ということになるから社交界ではつらい思いをするかもしれない。……子供たちも。
侯爵として僕も貴族の令嬢を娶るようにあちこちから圧力がかかるかもしれない。そんなつもりはないが、仕組まれる可能性もないとは言えない。それならばここで別れることもできる。
あるいは、オリオールを誰かに任せるか、廃爵にして国王陛下からオリオールの領地に新たな領主を頼むこともできるだろう。僕たちはこのまま、ここで暮らしていくことができる。
どっちを望む?」
メロディーナがどちらを選んでも構わない。そう思っていた。もちろん、別れたくはないが。
「言ったでしょう?私は家族が一緒ならどこでもいいって。」
「じゃあ、このままここで暮らそうか。」
「本当にそれでいいの?オリオールを誰かに渡して後悔しない?私たちを理由にしているけれど、別れを口にできるってことはオリオールに心残りがあるってことじゃないの?」
そうかもしれない。
でも、メロディーナたちを守り切れるという自信がないというのが正直なところだ。
だけど、一度貴族に戻れば今度はもう逃げられない。
ローレンスは逃げられないが、メロディーナたちは逃がすことは可能だろう。
ローレンスが貴族に戻ることは、どうしても家族と一緒にいることが難しくなるのではないかという不安を消すことができないのだ。
ならば戻る必要はない。そう思うのに、どこか割り切れない。
父たちがいなくなったからだろう。
「あのね、私は一応これでも2年と少し前までは貴族籍だったのよ。」
「……でも今は平民籍だし、実家にも戻れないのだろう?そう言えば実家の爵位は何だったんだ?」
「子爵よ。もうないけど。」
「え?ない?」
「父が私を売った後、兄が借金がないうちにと父から爵位を取り上げたの。相応しくないって。借金分を稼ぐために、逃亡不可能な仕事場で借金が無くなるまで働かせているらしいわ。働いた分は辺境伯様にお返しするように手続きがされているそうなの。
兄は廃爵を申し入れて平民になったそうよ。領地はひとまず王領として管理人を置いて対処されているから心配ないって辺境伯様からは聞いているわ。」
「そうなのか。お兄さんは思い切ったんだな。」
ローレンスは自分とは違い、逃げずに父親を見限り、領地領民のために何が最善かを考えて廃爵を選んだ覚悟を素直にすごいと思った。
二度と貴族には戻れないのだ。
中途半端に貴族籍がまだあるローレンスとは大違いだ。
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