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しおりを挟むリリスティーナは死んでしまった。
もう婚約解消もしていることから、王太子殿下と関わりはない。
彼はもしまた負傷するようなことがあったり、誰かの貸しを作るためにリリスティーナの治癒を利用する気でいたのかもしれないが、いなくなっても支障はないと思うことだろう。
だが、リリスティーナは許せない。
王太子殿下の指示で研究施設に隔離され、研究者たちに残酷なことをされたのだ。
研究者たちだけでなく王太子殿下も同罪だと思っている。
「お父様、研究者たちを捕まえることは可能でしょうか?この、私の遺体損壊の罪で。」
死後に傷つけられたわけではなく生前の傷ではあるが、アイツらは魔力の暴走でリリスティーナは丸焦げになったと嘘をついた。
そもそも、リリスティーナが自分で自分の足を切り落としたり目を抉ったりするはずもなく、これはアイツらの仕業だと思われて当然のこと。
彼らを捕まえれば、王太子殿下がどのような指示を出していたのかも明らかにできる。
それを世に知らしめて、王太子殿下も罪に問われるべきだとリリスティーナは思っている。
「そうだな。あの研究者たちを始末される前に、捕らえるべきだな。」
父の言葉に兄はすぐさま動いた。
公爵家の私兵と共にアイツらを捕らえ、通報するだろう。
「リリス、お前の姿を証拠として騎士と憲兵に見せなければならない。すまない。」
「いえ、構いません。ですが絶対に、王太子殿下も罰せられるようにしてください。」
「もちろんだ。そもそも、お前の治癒の力を陛下も期待していた。だが殿下の我欲のために閉じ込められて殺されてしまったんだ。陛下もそれを知れば、許さないだろう。」
我欲を取ったあの男が後の国王陛下になる資格などない。
「お父様、お母様には絶対に私を見せないでください。お義姉様にも。」
「わかっている。」
無惨なリリスティーナの遺体を見れば、母は発狂するかもしれない。妊婦の義姉は流産してしまうかもしれない。
もうリリスティーナが死んでしまった事実は変えられないため、これ以上の悲劇は避けなければならないのだから。
捕らえられた研究者たちは、尋問の末、公爵家にある牢に入れられた。
憲兵たちは自分たちが責任を持って預かると言ったが、父も兄も、研究者たちがリリスティーナを殺した罪で捕まったことを王太子殿下が知れば、何らかの方法で彼らを処分するかもしれないと危惧したらしい。
事実、頑なに研究者たちの身柄は渡さないと拒否した者たちもおり、怪しすぎてその者たちも取り調べをすると、何か王太子殿下に関わる問題があれば内密に知らせる命を受けているとのことだった。
知らせれば報酬が貰えるらしいが、この件は大金が期待できるのではないかと思い、身柄を公爵家に取られては逆に叱責されそうだと思ったから拒否したのだと白状した。
単なる雑魚だった。
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