バケモノ貴公子は傷を負った令嬢を寵愛する

冬野 海

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7話 エスプレッシーヴォ‼︎①

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7話 エスプレッシーヴォ‼︎①


セリオスト・レガート伯爵家当主視点


たどたどしく音階を探している
それはまるで、昔に隠した小さなおもちゃを思い出すように。

次第に何かを追い求めているかのような旋律で始まった。
多面的な表情を見せ、孤高であるが、それを感じさせない壮麗さを芯に据えている。


私の心がこれほどに湧き立つとは‼︎

エスプレッシーーーヴォ‼︎

十年ぶりにあの娘が演奏する音色を聴くことができた。

あぁ…なんと幸せなことだろう。

胸に今までにない幸福感が満ち溢れてくる。

もう、言葉など必要ない——


あの娘は生まれた時から超常的で謎めいた子だった。
音や旋律に対して貪欲なまで突き詰めるほど興味を示した。

楽団の練習を見学しては、自分のバイオリンを持ってきて、団員の弾き癖やミスしたところを同じように演奏して見せた。

これには団員たちも笑うしかなかった。
一度聴いた旋律を再現する能力を持っており、まさにそれは音楽家なら誰でも欲しがる能力であった。

それだけではなく10歳に満たないミスティアが奏でる音は、一流音楽家とも引けを取らないほどの完成度があった。

父親である私もかすかに嫉妬するほど…
いずれは我がレガート楽団のコンサートマスターを任せたいと期待していた。

私はレガート楽団の忙しさで家族と過ごす時間が皆無だった。

貴族ならどこもそんなものだろと笑われるが、私自身が幼少期にもっと親に甘えたかった寂しさがあったため、我が子たちとは、もっと共に過ごしたいと決めていた。

11年前のあの日、初めて家族水入らずで王都に出かけることができた。

子供たちの甲高いはしゃぐ声、兄弟ケンカのわめき声、歩き疲れたとぐずる声。
そうか、子供たちの声は街の活気とよく合うものだ。

つい指揮棒を振りたくなる。

帰りに私の好物のマカロンを買って帰ろうと提案すると、子供たちの機嫌が戻り、
妻のソステリーナも苦笑いだ。

新しくできた店に向かった。
角を曲がりもうすぐ店が見える。

期待ではやる気持ちを抑えつつ角を曲がると——
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