6 / 28
第6話 楽しいお昼ご飯
しおりを挟む
新しく芽吹いた緑は若々しくて柔らかそう。
春の庭は色とりどりの花が咲いていて賑やかだ。
ガゼボに集ったボクたちは、美味しいご飯を囲んでワキャワキャと話しながら食事をしていた。
昼食だからサンドイッチがメインだ。
サラダやサーモンマリネなどもあるけど、昼食は気取って食べるよりも、腹持ちのいいものを早くお腹に入れることのほうが正義だと、ボクは思う。
「アイリス。落ち着いて食べないとダメだよ。食べ物が喉に詰まってしまう」
「大げさだなぁ、お父さまは。ボクだって、そこまでマヌケじゃないですぅ~」
お父さまに窘められて、ボクは口を尖らせて反論する。
「王立学園は貴族のいく学園だぞ? そんな風にガツガツ食べていたら、友達に軽蔑されちゃうからな」
「わかってますよ、お兄さま。学園では猫をかぶりますから大丈夫です」
お兄さまにも窘められてしまった。
確かに学園は貴族ばっかりだから上品に食事しないと引かれちゃうね。
ボクは学園では絶対に猫をかぶろうと心に決めた。
「まぁまぁ、そうアイリスに厳しく言わないで。俺は平民出身だから、マナーのことを言われてると俺にも刺さる」
「あっ、ミッチは別だよ? 君の食べ方は豪快だけど不快感を与えるものじゃない」
「そうだよ、お母さまは別だよ。立派なお仕事もされているし」
「ふふ。ありがとう。ドレイク。ブレイズも」
お母さまは楽しそうにウフフと笑った。
動き回っていないときのお母さまは、整った顔立ちが際立つ。
ボクはお母さまに聞いた。
「お母さまのお土産は、どれ?」
「今でてるのは、このフルーツとナッツだね」
真っ赤な小さな実と、大振りの黄色の実を指さして、お母さまが説明する。
ナッツは大小さまざまなものがあって、乾燥していて茶色だ。
「そのままコレを食べてもいいし、料理に使ってもらっても美味しいよ。このフルーツとナッツを使ったお菓子も買ってきたから、食後のデザートに食べようね」
「はーい。ボク、その赤い実を食べてみようかな」
ボクはテーブルに載っていたフルーツをメイドにお願いして小皿へ取り分けてもらった。
小さいけれどボクの親指くらいあって、細長くてゴロンとした実だ。
持った感じはパンとしているけど、中は熟していそうでちょっと柔らかい。
「手で食べていい?」
「いいよ。中に種が入っているから、食べちゃわないようにね。種はペッとしちゃって」
「うん」
ボクは赤い実を口元に運んだ。
カプッとかぶりつく。
あ、汁がちょっと飛んじゃった。
お父さまとお兄さまが凄い顔してこっちを見ている。
「んっ、甘いけどすっごい酸っぱい! でも美味しいよ」
「それはよかった。でも口の周りが真っ赤だね」
ただただ引いているお父さまとお兄さまとは違って、お母さまは笑いながらボクの口の周りを拭ってくれた。
だからお母さまのこと、大好きなんだ。
お父さまとお兄さまはねぇ……なんか微妙。
ボクは楽しく食事を続けた。
服も口の周りも汚れるけど、食事が終わった後、メイドに浄化魔法かけてもらえば大丈夫。
魔法が使えるようになったら、自分で浄化魔法も使うんだ。
我が家では魔法頼りにならないように、自分のことが自分で出来るようになるまでは魔法使ったらダメってことになっている。
でも貴族服なんて複雑なもの、一生自分で着られるようになるとは思えないけどね!
食事が終わってデザートと紅茶が出てきた。
お母さまのお土産のフルーツケーキ、美味しいなぁ。
さっき食べた赤い実が入っている。
ナッツも入っていて、口の中が楽しい。
「にゃ~」
そりゃ鳴き声も出ようというものだ。
甘くてとっても美味しい。
……ん? にゃ~?
「あれ、この子はどこから入ってきたのかな?」
お母さまが戸惑った表情で庭の一角を見ている。
そこには真っ白な子猫のような生き物がいた。
こちらを見ながら「みゃ~ん」と甘えるように鳴いていて、とても可愛い。
「ミッチが砂漠地帯から連れてきたわけではないのか?」
お父さまが指さして聞いた。
お母さまは顔を左右に振った。
「違うよ、ドレイク。生き物は扱わないって知ってるだろ? あぁ、迷い込んで荷馬車に乗ってきちゃったのかな?」
「どうするのだ? まだ子どもみたいだけど」
「弱ったなぁ、どうしよう?」
お母さまは秀麗だが太いを情けなくさげて困ったように言った。
小さな生き物は、ボクのところへ向かってトコトコと歩いてきた。
可愛い。撫でたい。触りたい。
ボクはワクワクしながら小さな生き物が近づいてくるのを待った。
「スナネコかなぁ?」
お父さまが首を傾げている。
「猫かなぁ? フェネックキツネっぽくもある」
お母さまも首をひねっている。
小さな生き物はボクの足元まできた。
ボクを見上げて「みゃ~」と鳴く、小さな毛玉を撫でたいな。
ボクは許可を得ようとお母さまのほうを見た。
お母さまとお父さまは、まだ小さな生き物の正体について悩んでいるようだ。
「ねぇ、お母さま。撫でていい?」
「ん、大丈夫みたいだね。いいよ」
お母さまは『鑑定』ができる。
「動物の種類を鑑定するのは無理だけど、病気を持ってるかどうかは分かるからね。その子は病気とかないから、撫でても安全だよ」
「やったー」
ボクは小さな体を抱き上げて膝に乗せると、白い毛皮を撫でた。
ふわふわで、やわやわで、温かくて、控えめに言ってサイコー。
自然と頬が緩んで笑顔になっちゃうね。
ボクはニコニコと笑顔になりながら、小さな毛玉を撫でまわした。
「ねぇ、お母さま。この子、飼っていい?」
「飼うというか……保護だな?」
お母さまは首を傾げながらも、飼うことを許してくれた。
お父さまとお兄さまは睨んでいるけど、この子は今日からうちの子だ!
「ふふ。今日から一緒に暮らそう。名前つけなきゃね。んー……白い毛だから、シロでいい?」
「にゃぁ~ん」
「ふふ。いいの? じゃ、今日から君はシロだ」
シロはちっちゃなピンク色の舌でボクの手を舐めた。
くすぐったい。
けど、思ったよりも舌がザラザラしている。
やっぱり猫なんじゃないかなー?
猫でも、フェネックキツネでも、なんでもいいや。
今日からよろしくね、シロ。
春の庭は色とりどりの花が咲いていて賑やかだ。
ガゼボに集ったボクたちは、美味しいご飯を囲んでワキャワキャと話しながら食事をしていた。
昼食だからサンドイッチがメインだ。
サラダやサーモンマリネなどもあるけど、昼食は気取って食べるよりも、腹持ちのいいものを早くお腹に入れることのほうが正義だと、ボクは思う。
「アイリス。落ち着いて食べないとダメだよ。食べ物が喉に詰まってしまう」
「大げさだなぁ、お父さまは。ボクだって、そこまでマヌケじゃないですぅ~」
お父さまに窘められて、ボクは口を尖らせて反論する。
「王立学園は貴族のいく学園だぞ? そんな風にガツガツ食べていたら、友達に軽蔑されちゃうからな」
「わかってますよ、お兄さま。学園では猫をかぶりますから大丈夫です」
お兄さまにも窘められてしまった。
確かに学園は貴族ばっかりだから上品に食事しないと引かれちゃうね。
ボクは学園では絶対に猫をかぶろうと心に決めた。
「まぁまぁ、そうアイリスに厳しく言わないで。俺は平民出身だから、マナーのことを言われてると俺にも刺さる」
「あっ、ミッチは別だよ? 君の食べ方は豪快だけど不快感を与えるものじゃない」
「そうだよ、お母さまは別だよ。立派なお仕事もされているし」
「ふふ。ありがとう。ドレイク。ブレイズも」
お母さまは楽しそうにウフフと笑った。
動き回っていないときのお母さまは、整った顔立ちが際立つ。
ボクはお母さまに聞いた。
「お母さまのお土産は、どれ?」
「今でてるのは、このフルーツとナッツだね」
真っ赤な小さな実と、大振りの黄色の実を指さして、お母さまが説明する。
ナッツは大小さまざまなものがあって、乾燥していて茶色だ。
「そのままコレを食べてもいいし、料理に使ってもらっても美味しいよ。このフルーツとナッツを使ったお菓子も買ってきたから、食後のデザートに食べようね」
「はーい。ボク、その赤い実を食べてみようかな」
ボクはテーブルに載っていたフルーツをメイドにお願いして小皿へ取り分けてもらった。
小さいけれどボクの親指くらいあって、細長くてゴロンとした実だ。
持った感じはパンとしているけど、中は熟していそうでちょっと柔らかい。
「手で食べていい?」
「いいよ。中に種が入っているから、食べちゃわないようにね。種はペッとしちゃって」
「うん」
ボクは赤い実を口元に運んだ。
カプッとかぶりつく。
あ、汁がちょっと飛んじゃった。
お父さまとお兄さまが凄い顔してこっちを見ている。
「んっ、甘いけどすっごい酸っぱい! でも美味しいよ」
「それはよかった。でも口の周りが真っ赤だね」
ただただ引いているお父さまとお兄さまとは違って、お母さまは笑いながらボクの口の周りを拭ってくれた。
だからお母さまのこと、大好きなんだ。
お父さまとお兄さまはねぇ……なんか微妙。
ボクは楽しく食事を続けた。
服も口の周りも汚れるけど、食事が終わった後、メイドに浄化魔法かけてもらえば大丈夫。
魔法が使えるようになったら、自分で浄化魔法も使うんだ。
我が家では魔法頼りにならないように、自分のことが自分で出来るようになるまでは魔法使ったらダメってことになっている。
でも貴族服なんて複雑なもの、一生自分で着られるようになるとは思えないけどね!
食事が終わってデザートと紅茶が出てきた。
お母さまのお土産のフルーツケーキ、美味しいなぁ。
さっき食べた赤い実が入っている。
ナッツも入っていて、口の中が楽しい。
「にゃ~」
そりゃ鳴き声も出ようというものだ。
甘くてとっても美味しい。
……ん? にゃ~?
「あれ、この子はどこから入ってきたのかな?」
お母さまが戸惑った表情で庭の一角を見ている。
そこには真っ白な子猫のような生き物がいた。
こちらを見ながら「みゃ~ん」と甘えるように鳴いていて、とても可愛い。
「ミッチが砂漠地帯から連れてきたわけではないのか?」
お父さまが指さして聞いた。
お母さまは顔を左右に振った。
「違うよ、ドレイク。生き物は扱わないって知ってるだろ? あぁ、迷い込んで荷馬車に乗ってきちゃったのかな?」
「どうするのだ? まだ子どもみたいだけど」
「弱ったなぁ、どうしよう?」
お母さまは秀麗だが太いを情けなくさげて困ったように言った。
小さな生き物は、ボクのところへ向かってトコトコと歩いてきた。
可愛い。撫でたい。触りたい。
ボクはワクワクしながら小さな生き物が近づいてくるのを待った。
「スナネコかなぁ?」
お父さまが首を傾げている。
「猫かなぁ? フェネックキツネっぽくもある」
お母さまも首をひねっている。
小さな生き物はボクの足元まできた。
ボクを見上げて「みゃ~」と鳴く、小さな毛玉を撫でたいな。
ボクは許可を得ようとお母さまのほうを見た。
お母さまとお父さまは、まだ小さな生き物の正体について悩んでいるようだ。
「ねぇ、お母さま。撫でていい?」
「ん、大丈夫みたいだね。いいよ」
お母さまは『鑑定』ができる。
「動物の種類を鑑定するのは無理だけど、病気を持ってるかどうかは分かるからね。その子は病気とかないから、撫でても安全だよ」
「やったー」
ボクは小さな体を抱き上げて膝に乗せると、白い毛皮を撫でた。
ふわふわで、やわやわで、温かくて、控えめに言ってサイコー。
自然と頬が緩んで笑顔になっちゃうね。
ボクはニコニコと笑顔になりながら、小さな毛玉を撫でまわした。
「ねぇ、お母さま。この子、飼っていい?」
「飼うというか……保護だな?」
お母さまは首を傾げながらも、飼うことを許してくれた。
お父さまとお兄さまは睨んでいるけど、この子は今日からうちの子だ!
「ふふ。今日から一緒に暮らそう。名前つけなきゃね。んー……白い毛だから、シロでいい?」
「にゃぁ~ん」
「ふふ。いいの? じゃ、今日から君はシロだ」
シロはちっちゃなピンク色の舌でボクの手を舐めた。
くすぐったい。
けど、思ったよりも舌がザラザラしている。
やっぱり猫なんじゃないかなー?
猫でも、フェネックキツネでも、なんでもいいや。
今日からよろしくね、シロ。
11
あなたにおすすめの小説
【完結】可愛いあの子は番にされて、もうオレの手は届かない
天田れおぽん
BL
劣性アルファであるオズワルドは、劣性オメガの幼馴染リアンを伴侶に娶りたいと考えていた。
ある日、仕えている王太子から名前も知らないオメガのうなじを噛んだと告白される。
運命の番と王太子の言う相手が落としていったという髪飾りに、オズワルドは見覚えがあった――――
※他サイトにも掲載中
★⌒*+*⌒★ ☆宣伝☆ ★⌒*+*⌒★
「婚約破棄された不遇令嬢ですが、イケオジ辺境伯と幸せになります!」
が、レジーナブックスさまより発売中です。
どうぞよろしくお願いいたします。m(_ _)m
流れる星、どうかお願い
ハル
BL
羽水 結弦(うすい ゆずる)
オメガで高校中退の彼は国内の財閥の一つ、羽水本家の次男、羽水要と番になって約8年
高層マンションに住み、気兼ねなくスーパーで買い物をして好きな料理を食べられる。同じ性の人からすれば恵まれた生活をしている彼
そんな彼が夜、空を眺めて流れ星に祈る願いはただ一つ
”要が幸せになりますように”
オメガバースの世界を舞台にしたアルファ×オメガ
王道な関係の二人が織りなすラブストーリーをお楽しみに!
一応、更新していきますが、修正が入ることは多いので
ちょっと読みづらくなったら申し訳ないですが
お付き合いください!
番に見つからない街で、子供を育てている
はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。
異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。
現世の記憶は失われているが、
この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。
街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、
ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。
だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。
再会は望まない。
今はただ、この子との生活を守りたい。
これは、番から逃げたオメガが、
選び直すまでの物語。
*不定期連載です。
劣等アルファは最強王子から逃げられない
東
BL
リュシアン・ティレルはアルファだが、オメガのフェロモンに気持ち悪くなる欠陥品のアルファ。そのことを周囲に隠しながら生活しているため、異母弟のオメガであるライモントに手ひどい態度をとってしまい、世間からの評判は悪い。
ある日、気分の悪さに逃げ込んだ先で、ひとりの王子につかまる・・・という話です。
【短編】【完結】王子様の婚約者は狼
天田れおぽん
BL
サティ王子はクルクルした天然パーマな茶髪が可愛い18歳。婚約者のレアンは狼獣人で、子供の頃は子犬のように愛くるしかったのに、18歳となった今はマッチョでかっこよくなっちゃった。
「レアンのこと大好きだから守りたい。キミは信じてくれないかもしれないけれど……」
レアン(すでにオレは、貴方しか見ていませんが?)
ちょっと小柄なカワイイ系王子サティと、美しく無口なゴツイ系婚約者レアンの恋物語。
o♡o。+。o♡o。+。o♡o。+。o♡o。+。o♡o。
ノベルバにも掲載中☆ボイスノベルがあります。
モブらしいので目立たないよう逃げ続けます
餅粉
BL
ある日目覚めると見慣れた天井に違和感を覚えた。そしてどうやら僕ばモブという存存在らしい。多分僕には前世の記憶らしきものがあると思う。
まぁ、モブはモブらしく目立たないようにしよう。
モブというものはあまりわからないがでも目立っていい存在ではないということだけはわかる。そう、目立たぬよう……目立たぬよう………。
「アルウィン、君が好きだ」
「え、お断りします」
「……王子命令だ、私と付き合えアルウィン」
目立たぬように過ごすつもりが何故か第二王子に執着されています。
ざまぁ要素あるかも………しれませんね
神獣様の森にて。
しゅ
BL
どこ、ここ.......?
俺は橋本 俊。
残業終わり、会社のエレベーターに乗ったはずだった。
そう。そのはずである。
いつもの日常から、急に非日常になり、日常に変わる、そんなお話。
7話完結。完結後、別のペアの話を更新致します。
【完結】初恋のアルファには番がいた—番までの距離—
水樹りと
BL
蛍は三度、運命を感じたことがある。
幼い日、高校、そして大学。
高校で再会した初恋の人は匂いのないアルファ――そのとき彼に番がいると知る。
運命に選ばれなかったオメガの俺は、それでも“自分で選ぶ恋”を始める。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる