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本編
26. 修羅場のようです
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セレスティア様の魔法の対策が分かり、私のトラウマも完全に消えた。
だから、お昼からになってしまうけれど、学院に行くことに決めた。
「お嬢様、馬車の用意が出来ました」
「ありがとう」
学院に行く用のドレスには着替え終えているから、荷物をまとめて玄関へと向かう。
セレスティア様の対策が分かったというのに胸騒ぎがするけれど、今は気にしないことにした。
必要以上に気にしても、良いことは何もないから。
「出発いたします」
御者さんから声がかけられ、馬車が動き出す。
それから十数分、学院内のカフェテリアに入った私はいつもと違う様子に気付いた。
誰かを囲うように人だかりができていたから。
中心にいるのは……レオン殿下ね。
他にも誰かいるみたいだけれど、周りの人達が邪魔で確認することはできない。
だから、私はその輪の中心に割り込んで行ったのだけれど……。
「婚約を無かったことにしたい」
声は聞こえなかったけれど、殿下の口の動きから言っていることは分かってしまった。
背伸びをしても前の殿方が邪魔で見えないから、隙間を見つけて前に出る。
すると、衝撃的な光景が目に入った。
「なんで、セレスティア様が隣にいるのよ……」
驚きのあまり、呟いてしまう私。
幸いにも声は喧騒にかき消されたけれど、嫌な空気は変わっていない。
咄嗟に、私はアリスとレオン様に光の防御魔法をかけた。
そしてもう1人、無理やり他の方を押し退けて入ってきた人物──アルト様にも魔法をかける。
レオン様はもう手遅れみたいだけれど、アルト様とアリスは間に合ったみたい。
けれども、アリスは目に涙を浮かべて、こう漏らしていた。
「そう、ですのね……」
勝ち誇ったような笑みを浮かべるセレスティア様。
でも、私はアリスの表情が本心からのものではないと気付いた。
瞳の奥の光は消えていないから。
それどころか、怒りさえ感じている。
この状況……アリスを助けた方がいいわよね……。
そう思って一歩踏み出した時だった。
「レオン、お前は馬鹿か!? 目を覚ませ!」
「僕は至って正気だよ? 本当の愛に気付いたんだ」
「ああ、その言い方はいつものレオンじゃないね。いい加減に目を覚ませ!」
アルト様がそんなことを言いながら、殿下を文字通り殴り飛ばしていた。
吹き飛ぶ殿下に密着していたセレスティア様も床に頭を打ちつけたみたいで、白目を剥いて気絶していた。
「嘘でしょ……」
驚きのあまり固まる私。
けれども、アルト様は気絶している殿下を担ぎ上げると、こんなことを口にした。
「アリス嬢、この大馬鹿者を王宮に送り届けたいんだけど、手を貸してくれないか? 俺だけで行くと騎士団に捕まる気がするんだよね」
「ええ、もちろんですわ。助けていただき、ありがとうございます」
アリスがお礼を言っている時、アルト様と目が合った。
「あ、ソフィア嬢。もう大丈夫か?
できればなんだけど、このアホ王子に治癒魔法をかけて欲しいんだ。あと、王宮で陛下に報告する時に証言してほしい」
「分かりましたわ」
そんな会話を交わしてから、私達は学院の馬車寄せに向かうことになった。
セレスティア様は駆けつけた騎士団によって拘束されていた。
騎士さん達が操られるとまずいから、去り際に彼らにも光の防御魔法をかけておいた。
それから少しして、馬車に乗り込んだ私は気になっていることをアルト様に問いかけた。
「アルト様、何故あのような真似をされたのですか?」
「かなり前の話なんだけど、レオンからこう言われたんだ。
僕が道を踏み外しそうになってたら、殴ってでも止めて欲しい」
アルト様はそのお願いを忘れずに今日までいて、それを果たしたのね。
「……俺は約束したんだ。絶対に止めて見せると。
今回はそれを守っただけだ。あのまま放置してたら、レオンが大勢の前で婚約破棄宣言してもおかしく無かった。こうするしか手がないと判断したというのもある」
アルト様の言う通り、レオン様の行動を止める方法は他に思いつかなかった。
手遅れにならなくて本当に良かったわ……。
「そうでしたのね。確かにアルト様の行動は間違っていないと思いますわ」
「そう言ってもらえると助かるよ」
王族を殴るだけでも死刑になりかねないのに、気絶までさせられるなんて……。
アルト様はずっと前から殿下を殴る覚悟を決めていたのね。
そう思って、少し感動していたのだけれど……。
「言い忘れてたけど、この約束については陛下の了承を得てる。だから俺が罪に問われることは無い」
……アルト様のこの言葉のせいで、心配と一緒にどこかへ行ってしまった。
私の感動を返してくださいっ!
だから、お昼からになってしまうけれど、学院に行くことに決めた。
「お嬢様、馬車の用意が出来ました」
「ありがとう」
学院に行く用のドレスには着替え終えているから、荷物をまとめて玄関へと向かう。
セレスティア様の対策が分かったというのに胸騒ぎがするけれど、今は気にしないことにした。
必要以上に気にしても、良いことは何もないから。
「出発いたします」
御者さんから声がかけられ、馬車が動き出す。
それから十数分、学院内のカフェテリアに入った私はいつもと違う様子に気付いた。
誰かを囲うように人だかりができていたから。
中心にいるのは……レオン殿下ね。
他にも誰かいるみたいだけれど、周りの人達が邪魔で確認することはできない。
だから、私はその輪の中心に割り込んで行ったのだけれど……。
「婚約を無かったことにしたい」
声は聞こえなかったけれど、殿下の口の動きから言っていることは分かってしまった。
背伸びをしても前の殿方が邪魔で見えないから、隙間を見つけて前に出る。
すると、衝撃的な光景が目に入った。
「なんで、セレスティア様が隣にいるのよ……」
驚きのあまり、呟いてしまう私。
幸いにも声は喧騒にかき消されたけれど、嫌な空気は変わっていない。
咄嗟に、私はアリスとレオン様に光の防御魔法をかけた。
そしてもう1人、無理やり他の方を押し退けて入ってきた人物──アルト様にも魔法をかける。
レオン様はもう手遅れみたいだけれど、アルト様とアリスは間に合ったみたい。
けれども、アリスは目に涙を浮かべて、こう漏らしていた。
「そう、ですのね……」
勝ち誇ったような笑みを浮かべるセレスティア様。
でも、私はアリスの表情が本心からのものではないと気付いた。
瞳の奥の光は消えていないから。
それどころか、怒りさえ感じている。
この状況……アリスを助けた方がいいわよね……。
そう思って一歩踏み出した時だった。
「レオン、お前は馬鹿か!? 目を覚ませ!」
「僕は至って正気だよ? 本当の愛に気付いたんだ」
「ああ、その言い方はいつものレオンじゃないね。いい加減に目を覚ませ!」
アルト様がそんなことを言いながら、殿下を文字通り殴り飛ばしていた。
吹き飛ぶ殿下に密着していたセレスティア様も床に頭を打ちつけたみたいで、白目を剥いて気絶していた。
「嘘でしょ……」
驚きのあまり固まる私。
けれども、アルト様は気絶している殿下を担ぎ上げると、こんなことを口にした。
「アリス嬢、この大馬鹿者を王宮に送り届けたいんだけど、手を貸してくれないか? 俺だけで行くと騎士団に捕まる気がするんだよね」
「ええ、もちろんですわ。助けていただき、ありがとうございます」
アリスがお礼を言っている時、アルト様と目が合った。
「あ、ソフィア嬢。もう大丈夫か?
できればなんだけど、このアホ王子に治癒魔法をかけて欲しいんだ。あと、王宮で陛下に報告する時に証言してほしい」
「分かりましたわ」
そんな会話を交わしてから、私達は学院の馬車寄せに向かうことになった。
セレスティア様は駆けつけた騎士団によって拘束されていた。
騎士さん達が操られるとまずいから、去り際に彼らにも光の防御魔法をかけておいた。
それから少しして、馬車に乗り込んだ私は気になっていることをアルト様に問いかけた。
「アルト様、何故あのような真似をされたのですか?」
「かなり前の話なんだけど、レオンからこう言われたんだ。
僕が道を踏み外しそうになってたら、殴ってでも止めて欲しい」
アルト様はそのお願いを忘れずに今日までいて、それを果たしたのね。
「……俺は約束したんだ。絶対に止めて見せると。
今回はそれを守っただけだ。あのまま放置してたら、レオンが大勢の前で婚約破棄宣言してもおかしく無かった。こうするしか手がないと判断したというのもある」
アルト様の言う通り、レオン様の行動を止める方法は他に思いつかなかった。
手遅れにならなくて本当に良かったわ……。
「そうでしたのね。確かにアルト様の行動は間違っていないと思いますわ」
「そう言ってもらえると助かるよ」
王族を殴るだけでも死刑になりかねないのに、気絶までさせられるなんて……。
アルト様はずっと前から殿下を殴る覚悟を決めていたのね。
そう思って、少し感動していたのだけれど……。
「言い忘れてたけど、この約束については陛下の了承を得てる。だから俺が罪に問われることは無い」
……アルト様のこの言葉のせいで、心配と一緒にどこかへ行ってしまった。
私の感動を返してくださいっ!
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