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穏やかな日々
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えっ?どう言うこと?緒方先輩は井上さんが好き?自分の好きな人が告白した相手が僕ってことなら、緒方先輩が僕に良い感情を持っているわけない。例えば、僕は直輝と離れている間の丸岡を邪魔だと思っていた。放課後の楽しみを奪った嫌な奴。直輝の隣にいられる資格を僕から掻っ攫った大っ嫌いな奴…。それと同じ。
…何だ、そうか。僕を蔑んでいるのではなくて、単なる嫉妬。ははっ…。なぁんだ。あんな大きな身体で、こんな小さな僕に、可愛い嫉妬。
「ふふっ…」
「何?」
突然笑ったからびっくりしたのか、直輝が振り返る。そう言えば、グラウンドの端とはいえ、こんなみんなの目のあるところで手を繋いでるよ…。振り返った時に自然と離れた温もりに、不安は感じなかった。
もう大丈夫。
「ありがと、ここで見てるね。あと少し、頑張って。待ってるから」
「うん、待ってて。迎えに来るから」
ここは、グラウンドの端。木陰で、周りからの視線は遮るけれど、グラウンドのどこからでも確認することができる場所。それに目立たない。さっきの場所はセンターラインの真横。グラウンドの横を通る人からも見える所だった。ここ良い!笑顔で答えれば、苦笑いの直輝が頭をポンポンと叩いてくれた。
あれから数日が過ぎて、今日も直輝お手製の弁当を一緒に突く。吉広に一つの弁当を食べていたと揶揄されたことを伝えても、直輝は大きな弁当箱に二人分のおかずを入れてくる。気にしてないのか、態となのか?
自然と隣の吉広も一緒に食べることになり、直輝と共に僕の席に来た財前は、嫌そうな顔をした。
「財前は吉広の席の前に座れば良いじゃん。一つの机で三人はキツイよ」
「そうだな。ヨシは邪魔だし。吉広直志の前で食べといて」
「おいおい、せめて机も寄せようぜ」
「えー、俺ら一緒の食べるからこれが良い」
「お前らな」
財前と直輝は、お互い譲れない攻防を繰り返す。
「馬渕、いい加減フルネームで呼ぶのやめてくれないか?それも面と向かって言われると複雑だ」
「そうか?う~ん…ヨシ、どう思う?」
「こいつの呼び方なんて何でもいいだろ?」
「財前、そんな言い方は吉広に悪いだろ?馬渕も普通に名前で良いじゃん」
「そうだな、直志、で良いかな?」
「おい!」
「何だよ、ヨシ」
「俺は何でも良い。下の名前でも。ただ、フルネームだけはちょっとな。そんな呼び方されたことないしさ。なんか、気持ち悪い」
財前は何故か怒っている。吉広の事なのに、財前に聞くのもおかしな話だ。まるで、僕のメイド服のことを直輝に相談したみたいに。それに、何でも良いと言いながら、直志と言った直輝に吉広は了解の返事をし、財前は不機嫌だ。僕もちょっと複雑。そんなに気にしなくても良いとは思うけど、やはり少しだけ……嫌だ。
「睦己はどう思う?」
「えっ?い、良いんじゃない、それで…。吉広が良いなら、僕は…」
「や~めた。睦己が嫌がることはしない」
「えっ、えっ?…へっ?」
「俺も睦己と同じで、吉広って呼ぶ。ヨシはヨシだから、問題ないよな?半年それだったから、良いだろ?」
「お、おう。俺は…、まあ」
財前は端切れ悪く、そして、了解の意思を示した。吉広の事なのに。
「なあ、お前らってさ、そんなに仲良かった?」
「吉広は俺と睦己の事が気になる?」
「やっ、気になるって言うか、急に仲良くなったらから、何かあったんかなって思っただけだよ。名前もさ。馬渕は睦己って名前で呼んでるだろ?前は…、そうだな、安村とも呼んでなかったよな?しゃべってるのって、ほとんど見たことなかった。安村も、今朝、一瞬直輝って呼んで、慌てて馬渕って言い直してたから。逆に気になって」
えっ!そんなことあったかな……。物凄く、あるような気がする。気を付けてたけど、ここのところ嬉し過ぎて多少気が緩んでたかも。付き合い出した四月よりも。し、失敗した。言い直すなんて、意識してます!って宣言してるみたいなものじゃないか!
「仲良く見える?」
「ま、まあ…。馬渕ってそんなだっけ?」
財前に確かめるようにじっと目の前を見つめる。吉広の前に座った財前は戸惑いと、照れで真っ赤だ。あっ!あっ……、そうか。直輝の財前に対する吉広の事を話題にする時の感じは…応援という名の揶揄い。まあ、生温かい友情ってことなのかな?
…何だ、そうか。僕を蔑んでいるのではなくて、単なる嫉妬。ははっ…。なぁんだ。あんな大きな身体で、こんな小さな僕に、可愛い嫉妬。
「ふふっ…」
「何?」
突然笑ったからびっくりしたのか、直輝が振り返る。そう言えば、グラウンドの端とはいえ、こんなみんなの目のあるところで手を繋いでるよ…。振り返った時に自然と離れた温もりに、不安は感じなかった。
もう大丈夫。
「ありがと、ここで見てるね。あと少し、頑張って。待ってるから」
「うん、待ってて。迎えに来るから」
ここは、グラウンドの端。木陰で、周りからの視線は遮るけれど、グラウンドのどこからでも確認することができる場所。それに目立たない。さっきの場所はセンターラインの真横。グラウンドの横を通る人からも見える所だった。ここ良い!笑顔で答えれば、苦笑いの直輝が頭をポンポンと叩いてくれた。
あれから数日が過ぎて、今日も直輝お手製の弁当を一緒に突く。吉広に一つの弁当を食べていたと揶揄されたことを伝えても、直輝は大きな弁当箱に二人分のおかずを入れてくる。気にしてないのか、態となのか?
自然と隣の吉広も一緒に食べることになり、直輝と共に僕の席に来た財前は、嫌そうな顔をした。
「財前は吉広の席の前に座れば良いじゃん。一つの机で三人はキツイよ」
「そうだな。ヨシは邪魔だし。吉広直志の前で食べといて」
「おいおい、せめて机も寄せようぜ」
「えー、俺ら一緒の食べるからこれが良い」
「お前らな」
財前と直輝は、お互い譲れない攻防を繰り返す。
「馬渕、いい加減フルネームで呼ぶのやめてくれないか?それも面と向かって言われると複雑だ」
「そうか?う~ん…ヨシ、どう思う?」
「こいつの呼び方なんて何でもいいだろ?」
「財前、そんな言い方は吉広に悪いだろ?馬渕も普通に名前で良いじゃん」
「そうだな、直志、で良いかな?」
「おい!」
「何だよ、ヨシ」
「俺は何でも良い。下の名前でも。ただ、フルネームだけはちょっとな。そんな呼び方されたことないしさ。なんか、気持ち悪い」
財前は何故か怒っている。吉広の事なのに、財前に聞くのもおかしな話だ。まるで、僕のメイド服のことを直輝に相談したみたいに。それに、何でも良いと言いながら、直志と言った直輝に吉広は了解の返事をし、財前は不機嫌だ。僕もちょっと複雑。そんなに気にしなくても良いとは思うけど、やはり少しだけ……嫌だ。
「睦己はどう思う?」
「えっ?い、良いんじゃない、それで…。吉広が良いなら、僕は…」
「や~めた。睦己が嫌がることはしない」
「えっ、えっ?…へっ?」
「俺も睦己と同じで、吉広って呼ぶ。ヨシはヨシだから、問題ないよな?半年それだったから、良いだろ?」
「お、おう。俺は…、まあ」
財前は端切れ悪く、そして、了解の意思を示した。吉広の事なのに。
「なあ、お前らってさ、そんなに仲良かった?」
「吉広は俺と睦己の事が気になる?」
「やっ、気になるって言うか、急に仲良くなったらから、何かあったんかなって思っただけだよ。名前もさ。馬渕は睦己って名前で呼んでるだろ?前は…、そうだな、安村とも呼んでなかったよな?しゃべってるのって、ほとんど見たことなかった。安村も、今朝、一瞬直輝って呼んで、慌てて馬渕って言い直してたから。逆に気になって」
えっ!そんなことあったかな……。物凄く、あるような気がする。気を付けてたけど、ここのところ嬉し過ぎて多少気が緩んでたかも。付き合い出した四月よりも。し、失敗した。言い直すなんて、意識してます!って宣言してるみたいなものじゃないか!
「仲良く見える?」
「ま、まあ…。馬渕ってそんなだっけ?」
財前に確かめるようにじっと目の前を見つめる。吉広の前に座った財前は戸惑いと、照れで真っ赤だ。あっ!あっ……、そうか。直輝の財前に対する吉広の事を話題にする時の感じは…応援という名の揶揄い。まあ、生温かい友情ってことなのかな?
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