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穏やかな日々
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「何の話、してんの?」
神崎が購買で買ってきた焼きそばパンとウインナーのパンと玉子のパンとコーヒー牛乳500mlのパックを、ドンと僕の机に置く。
そこには既に大きな弁当箱とおにぎりが置いてあり三つの大きなパンは落ちそうだった。
お箸を握りしめ、今度は何を食べようかと悩みながらミートボールに狙いを定めていた時だった。思わず刺してしまい、行儀の悪いことをしてしまったと慌てる僕。そして、直輝は不機嫌な声で言い放った。
「何だよ、神崎。吉広かヨシの机にしろよ。邪魔、邪魔」
確かに、財前にも言ったように、一つの机に三人はキツイ。財前は吉広の前の席の机ごと反転させて、ここには机三つの、いびつな形の島が出来上がっている。ここに椅子だけで参戦するなら、吉広か財前、どちらかの机が自然だろう。
「え~、俺、安村っちの近くが良い」
「でも、狭いよ?それに、わざわざここに来なくても、吉広の席の方が近いと思うけど?」
そんなに差はないけれど…。僕もはっきりと邪魔だと言いたい。でも、そんなことは恥ずかし過ぎて言えるわけなかった。モジモジとして、今にも借りた椅子に座ろうとしている神崎を見上げた。
「うっ!ヤバいって、安村っち。その目は反則!」
「何?」
意味不明な呟きに、直輝が素早く反応する。握り潰す勢いでパンを掴むと財前と吉広の机に放るように置き、コーヒー牛乳も転がすように置いた。
「ひでぇな、そんな雑に扱わなくても良いだろ?」
「これで十分。シッシッ」
言葉と共に、仕草でも手をヒラヒラさせて追い払うようにする。
「チェッ、仕方ないな」
借りた椅子を返し、今度は自分のをガタガタと音を立てながら持ってくると吉広の隣に置いて、さっさと座った。何と言われようと、この島で食べるのは神崎の中では決まっていたのだろう。
「はあ?お前、何?」
今度は財前の機嫌がだだ下がりだ。
「で?何の話してたんだよ」
そんな機嫌の悪い財前の事なんか気にもしないで吉広に聞いている神崎は、実は天然なのだろうか?
「この二人が急に仲良くなったなって話」
そう言いながら、僕と直輝をパックの牛乳の角で指す。
吉広は牛乳を飲むノルマを決めていて、学校では500ml、家でも1000mlを日課としている。実はそれほど牛乳が好きじゃないんだと最近聞いた。
こんなに努力してるのに、その成果は全然現れなくて…。それでも大学を卒業するまでは成長期を信じたいらしい。絶対に伸びると自分に言い聞かせている。まだ高校一年生だ。これから、これからと呪文を掛ける。味を変えたらと提案しても、頑なに拒否をする。違うもんが混ざったら効果がなくなる、と真剣な顔をする。
実は日本人は、牛乳のカルシウムは背が伸びるのとは関係ないらしいとテレビで聞いたことを教えられないでいる。テレビが全てではない…と信じたい。
僕はと言えば、吉広と同じでもう少し伸びて欲しいところだ。でも、あんなに牛乳ばかり飲む気力もないし…いや、牛乳は関係ないんだった…。兎に角、気にはしているけれど、特に何かをしているわけではない。
「そう言えば、そうだよな?どして?」
財前に聞く神崎は鋭い視線にも気付いているのかいないのか、呑気なもんだ。
「折角ちょっと俺にも懐いてたのに……、どうして馬渕の方が…」
何かブツブツと呟きながらパックにストローを刺し、パンの袋を破る。
「なあなあ、まあ、仲良くなるのは良いとして…、やっ、良くはないんだけど…。それ、馬渕のだよな?どして、安村っちは馬渕の弁当、食ってんの?」
「えっと…」
何て言えば良いんだろ?
気になるのだろうか?
誰が何を食べようと神崎には関係ないと思うけど…。気になるのだろうか?
気になる…よな。
僕も今まで会話すらなかった二人が同じ弁当食べてたら、どうしたのかな、くらいは思うかも。でも、その理由を知りたいとは思わない。個人の自由だし、本人たちさえ良かったら他人は関係ない。嫌がってるのに、無理やり奪ったりしたら問題だと思うけど、直輝は僕のために作ってくれている。
「そんなの、神崎には関係ないじゃん」
直輝が素っ気なく返事する。いつもと違い、つっけんどんな態度にどうしたのかと不安になる。
「な、直輝?ど、したの?」
「ん?ほら、野菜も食べろよ」
言葉と共に直輝の箸が、ミニトマトを器用に摘み僕の口まで伸びてる。
神崎が購買で買ってきた焼きそばパンとウインナーのパンと玉子のパンとコーヒー牛乳500mlのパックを、ドンと僕の机に置く。
そこには既に大きな弁当箱とおにぎりが置いてあり三つの大きなパンは落ちそうだった。
お箸を握りしめ、今度は何を食べようかと悩みながらミートボールに狙いを定めていた時だった。思わず刺してしまい、行儀の悪いことをしてしまったと慌てる僕。そして、直輝は不機嫌な声で言い放った。
「何だよ、神崎。吉広かヨシの机にしろよ。邪魔、邪魔」
確かに、財前にも言ったように、一つの机に三人はキツイ。財前は吉広の前の席の机ごと反転させて、ここには机三つの、いびつな形の島が出来上がっている。ここに椅子だけで参戦するなら、吉広か財前、どちらかの机が自然だろう。
「え~、俺、安村っちの近くが良い」
「でも、狭いよ?それに、わざわざここに来なくても、吉広の席の方が近いと思うけど?」
そんなに差はないけれど…。僕もはっきりと邪魔だと言いたい。でも、そんなことは恥ずかし過ぎて言えるわけなかった。モジモジとして、今にも借りた椅子に座ろうとしている神崎を見上げた。
「うっ!ヤバいって、安村っち。その目は反則!」
「何?」
意味不明な呟きに、直輝が素早く反応する。握り潰す勢いでパンを掴むと財前と吉広の机に放るように置き、コーヒー牛乳も転がすように置いた。
「ひでぇな、そんな雑に扱わなくても良いだろ?」
「これで十分。シッシッ」
言葉と共に、仕草でも手をヒラヒラさせて追い払うようにする。
「チェッ、仕方ないな」
借りた椅子を返し、今度は自分のをガタガタと音を立てながら持ってくると吉広の隣に置いて、さっさと座った。何と言われようと、この島で食べるのは神崎の中では決まっていたのだろう。
「はあ?お前、何?」
今度は財前の機嫌がだだ下がりだ。
「で?何の話してたんだよ」
そんな機嫌の悪い財前の事なんか気にもしないで吉広に聞いている神崎は、実は天然なのだろうか?
「この二人が急に仲良くなったなって話」
そう言いながら、僕と直輝をパックの牛乳の角で指す。
吉広は牛乳を飲むノルマを決めていて、学校では500ml、家でも1000mlを日課としている。実はそれほど牛乳が好きじゃないんだと最近聞いた。
こんなに努力してるのに、その成果は全然現れなくて…。それでも大学を卒業するまでは成長期を信じたいらしい。絶対に伸びると自分に言い聞かせている。まだ高校一年生だ。これから、これからと呪文を掛ける。味を変えたらと提案しても、頑なに拒否をする。違うもんが混ざったら効果がなくなる、と真剣な顔をする。
実は日本人は、牛乳のカルシウムは背が伸びるのとは関係ないらしいとテレビで聞いたことを教えられないでいる。テレビが全てではない…と信じたい。
僕はと言えば、吉広と同じでもう少し伸びて欲しいところだ。でも、あんなに牛乳ばかり飲む気力もないし…いや、牛乳は関係ないんだった…。兎に角、気にはしているけれど、特に何かをしているわけではない。
「そう言えば、そうだよな?どして?」
財前に聞く神崎は鋭い視線にも気付いているのかいないのか、呑気なもんだ。
「折角ちょっと俺にも懐いてたのに……、どうして馬渕の方が…」
何かブツブツと呟きながらパックにストローを刺し、パンの袋を破る。
「なあなあ、まあ、仲良くなるのは良いとして…、やっ、良くはないんだけど…。それ、馬渕のだよな?どして、安村っちは馬渕の弁当、食ってんの?」
「えっと…」
何て言えば良いんだろ?
気になるのだろうか?
誰が何を食べようと神崎には関係ないと思うけど…。気になるのだろうか?
気になる…よな。
僕も今まで会話すらなかった二人が同じ弁当食べてたら、どうしたのかな、くらいは思うかも。でも、その理由を知りたいとは思わない。個人の自由だし、本人たちさえ良かったら他人は関係ない。嫌がってるのに、無理やり奪ったりしたら問題だと思うけど、直輝は僕のために作ってくれている。
「そんなの、神崎には関係ないじゃん」
直輝が素っ気なく返事する。いつもと違い、つっけんどんな態度にどうしたのかと不安になる。
「な、直輝?ど、したの?」
「ん?ほら、野菜も食べろよ」
言葉と共に直輝の箸が、ミニトマトを器用に摘み僕の口まで伸びてる。
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