転生令嬢はのんびりしたい!〜その愛はお断りします〜

咲宮

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第五章

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動きが止まった殿下にもう一度言う。

「それでは休憩してください」 

「……お断り…」

「殿下?」

「おことわ…」

「あの」

「お断り…」

一体どうしたものか、とうとう壊れてしまった。
そんなに強く言った覚えは無いのだが……。
些細なことでも傷つくくらい、精神的にもきているのだろう。
なら…多少は優しくしないとだな。

「殿下」

「おことわ…」

「……」

駄目だ、自分の世界に入ってしまっている。
……奥の手、使わないとか。

「お断り…ははは」

「……赤月」

「…!」

「話を聞いて」

「は、はい」

「休憩するのでしょう?」

「は、はい」

「言ったわね。言質はとったわ」

「あ…」

「赤月。別に今後付き合いたくないということは言ってないでしょう。ただ、今の状態の貴方とは嫌と言っただけで」

「お嬢様…」

「貴方がしっかり休んで、時間ができたらまたゆっくり過ごしましょう」

「お嬢様……!」

「だから」

「良かった…」

「!」

突然の優しい笑顔に驚いた。
今まで見てきた微笑みとは違う、赤月の心からの喜びを持った甘い笑み。

「お嬢様……ではしっかり休んで私が仕事を全て終わらせた後に一緒にゆっくり過ごしてください」

「え、えぇ」

「なら…私は隣に仮眠室があるのでそこで」

「部屋に戻らないの?」

「えぇ。遠いですから」

「そう……じゃあ赤月がベッドに入って寝たのを確認したら私は戻るわ」

「…そんなに信用ないですか…?」

「今の赤月はね」

「はは…」

そう言いながら隣の仮眠室へ移動する。
疲れは相当出ているようで、若干赤月は足取りが重そうだった。

「大丈夫?」

「はい…大丈夫ですよ」

「しっっっかり休むのよ?」

「わかりました」

そう言いながらベッドに入り眠る準備をする。

「おやすみなさい赤月」

「はい……」

長い間休まなかったということもあり、赤月はもう眠りにつきそうだ。

「……」

それなのに何故か寝ようとしない。
それどころか眠い目を頑張って開けている様に見える。

「あ、赤月…?寝ようか?」

「………目を…閉じてしまえば…お嬢様が…どこかへ…行ってしまいそうで…」

「……」

「……少し、怖いのだと…思います」

「怖い…?」

「はい……今お嬢様がここにいることも…嘘なのかもしれないと…思う自分がいて…」

「嘘じゃないわよ」

「はは…それなら…嬉しいです…」

どうしたものか…。
このままだと赤月は安眠できなさそうだった。
休んでほしいのに、それを自分が邪魔してどうする…!
…今の赤月の不安を取り除けばいいのかな。

「赤月…貴方が眠りについても私はどこにも行かないわ。次に目を覚ますときには必ずここにいるから」

「え…」

「だから安心して眠って?」

「そんな…」

「何、嫌なの?」

「いえ…!……凄くそれは嬉しい…です」

「なら良かった」

「お嬢様…………ありがとうございます…」

「ううん」

赤月は安堵したのかすぐに眠りについた。
穏やかな寝息が聞こえた。










赤月、おやすみなさい。
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