天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生

西洋司

文字の大きさ
137 / 499
第一部「ハルコン少年期」

21 派閥と武闘大会_09

しおりを挟む
   *          *

 漸く両サークル同士の殴り合いが終わった後、シルファー先輩が槍術の達人として、満を持して試合場に上がってきた。

「「「「「「「「「「ワアアアアァァァーーーッッ!!」」」」」」」」」」

 観客達の熱狂的な声援。この国の王族、特にシルファー先輩の日々の行いが、かくも人気の理由なんだろうなぁとハルコンは思った。

「ミラァーッ! そんなとこいないで、こちらに上がってらっしゃい!」

 シルファー先輩の声に、観客の視線が一気にミラに向けて注がれた。

「「「「「「ミラァーッ、応援してるぞぉ―っ、頑張れーっ!!」」」」」」

 学生達の歓声が鳴り止まぬ中、ミラもゆっくりと試合場に上がった。
 これからシルファー先輩とミラ、2人は槍と薙刀を用いて演武を行い、競い合うのだ。

「なら、始めますわよっ、ミラッ!!」

「はいっ!!」

 直後、2人の槍と薙刀が、相手の身体の皮一枚すれすれを舐めるようにしならせて通過していくと、観客達は思わずため息にも似た吐息を漏らす。

 それでも、2人に動じた気配はない。笑顔のまま、互いの武器を振り回し始めた。

 観客達の心配をよそに、2人の演者はまるで楽器を奏でるかのように槍と薙刀を繰り出すと、互いに距離を詰めたり離れたりを繰り返す。

 その姿は、まるで阿吽の呼吸で為されるひとつの演劇であり、見る者をただただ魅了するのだ。
 美少女2人の目の覚めるような素晴らしい演武に、観客達は息を飲んで見守っている。

 凄いな、2人とも! ホンと、びっくりだ!!
 まるで天界の天使が地上に舞い降りて、武を演じているみたいだと、ハルコンは思った。

 そして、無事シルファー先輩とミラの2人が演じ終えると、場内の意識は最高潮に達した。

「「「「「「「「「「ワアアアアァァァーーーッッ!!」」」」」」」」」」

 割れんばかりの歓声の中、シルファー先輩とミラは、溌溂とした笑顔で観客達に手を振りながら試合場を後にした。

「キャーッ、上手くいきましたね、私達っ!」

「はいっ!」

 シルファー先輩とミラが、互いに相手の両手を握り合って喜びを噛み締めている。
 ハルコンは、今日の主役はこの2人で決まりだなぁと心から思った。

 結局、今回の武闘大会、……場内混乱につき、優勝者なし。演武の金賞を、シルファー先輩とミラが受賞するという結果に終わった。

 最有力候補であったイメルダのサークルは、この大会でまるで良いところがなく、その陣営は非常に苦渋に満ちた表情を浮かべていた。

「何でこんな結果になったか、あなた達ワカってらっしゃるの!?」

 イメルダはその美貌を醜く歪め、精一杯戦ったサークルのメンバー達を怒鳴りつけている。
 でも、メンバー達は皆体力を削ぎ落されてしまっている状態なので、反論する気力すら残っていないようだ。

 もう、精も根も尽きてしまった状態で、誠にお気の毒ですなぁとハルコンはニコリと笑った。

「ふふっ、ハルコン、とても悪い顔をしてらっしゃるわよ!」

 シルファー先輩が、これまた意地悪そうにニヤリと笑った。ミラを見ると、そんな顔しちゃ相手に失礼だよぉと言った表情で慌てている。
 ミラは、相変わらずいい子だなぁと、ハルコンは思った。

 一方、セイントーク兄達やサークルのメンバー達は意気揚々、これからはもっともっとトレーニングに励むぞっと意気込んでいた。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。 今後ともよろしくお願いいたします! トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕! タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。 男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】 そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】 アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です! コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】 マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。 見てください。

転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。 不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。 14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

転生したら『塔』の主になった。ポイントでガチャ回してフロア増やしたら、いつの間にか世界最強のダンジョンになってた

季未
ファンタジー
【書き溜めがなくなるまで高頻度更新!♡٩( 'ω' )و】 気がつくとダンジョンコア(石)になっていた。 手持ちの資源はわずか。迫りくる野生の魔物やコアを狙う冒険者たち。 頼れるのは怪しげな「魔物ガチャ」だけ!? 傷ついた少女・リナを保護したことをきっかけにダンジョンは急速に進化を始める。 罠を張り巡らせた塔を建築し、資源を集め、強力な魔物をガチャで召喚! 人間と魔族、どこの勢力にも属さない独立した「最強のダンジョン」が今、産声を上げる!

侯爵家三男からはじまる異世界チート冒険録 〜元プログラマー、スキルと現代知識で理想の異世界ライフ満喫中!〜【奨励賞】

のびすけ。
ファンタジー
気づけば侯爵家の三男として異世界に転生していた元プログラマー。 そこはどこか懐かしく、けれど想像以上に自由で――ちょっとだけ危険な世界。 幼い頃、命の危機をきっかけに前世の記憶が蘇り、 “とっておき”のチートで人生を再起動。 剣も魔法も、知識も商才も、全てを武器に少年は静かに準備を進めていく。 そして12歳。ついに彼は“新たなステージ”へと歩み出す。 これは、理想を形にするために動き出した少年の、 少し不思議で、ちょっとだけチートな異世界物語――その始まり。 【なろう掲載】

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです

飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。 だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。 勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し! そんなお話です。

処理中です...