138 / 485
第一部「ハルコン少年期」
22 仙薬エリクサーにまつわる話_01
しおりを挟む
「それじゃぁ、ミラ。女子の寮長さんには、週末の外出許可、ちゃんと貰っておいてね!」
「了解! ハルコン、何か他に私に手伝えることある?」
「少し多めに器材運ぶから、頼めるかな?」
「いいよぉ!」
ハルコンとミラは、昼休みの王立学校の食堂で、週末の外出計画について話し合っていた。
学校が休みの日を狙って、王都の城門を出て周囲に広がる森に、たったの2人だけで土壌サンプルを取りにいくつもりなのだ。
「危ないですよ、ハルコン! 王都周辺の森は、結構いろんな魔物が出没するのですからっ!」
すると、シルファー先輩がどこで聞きつけたのか、慌てて2人の計画を止めに入ってきた。
「平気ですよぉ。東方3領でも、私達は日々森に潜ってましたから!」
ハルコンがそう言ってニコリとすると、ミラもうんうんと頷いている。
「あなた方は、王都の森を舐め過ぎですっ!」
「えっ!? 王都の近くの森なのに、まだ魔物を狩りきれていないのですか?」
「狩りきれていないんです。むしろ、王都から出る生ゴミに群がって、たくさん出没する位なのですからっ!」
「「なるほど、……」」
そういえば、前世の晴子の時代、日本の首都東京の23区でも平気で狸も狐もいたし、都下にいけば、猪や猿、小型の熊も出没していたようだ。
まぁ、十分あり得る話なのかもなぁと、ハルコンは思った。
ハルコンがちらりとミラを見ると、彼女はキョトンとした顔をして、シルファー先輩の顔を不思議そうに見つめていた。
「ちなみに、どんな魔物が出るのでしょうか?」
ミラは、率直にシルファー先輩に訊ねていた。
「そうですねぇ。王都周辺は、大人の冒険者達のいい狩場ですから。まぁ、ゴブリンとかコボルト、たまにオークやオーガもいるみたいで、新人にケガ人も出ているそうですよ!」
「なら、平気です。私達、ローグの森でキング・オーガを倒したこともありますので」
朗らかな笑顔でミラが答えると、シルファー先輩は、一瞬ぶるると背筋を震わせた。
「ち、ちなみに、……そのことを、ローレル(ミラの父親のこと)卿や大人達は知っているのかな?」
「いいえ、伝えていません。だって、……バレたら森に土壌サンプルを取りにいくの、禁止になっちゃいますから!」
ミラのあっさりした口調に、シルファー先輩は一瞬気色ばんだ表情を浮かべた。
「前にも一度伺ったと思うけど、……確か、森の土壌で薬を作るんでしたっけ?」
「えぇ、そうです。私が生み出そうとしている薬剤は、森の土壌から生み出されます」
「なら、話を詳しく訊かせて貰おうかしら? 場合によっては、外出許可を出せません!」
「そうですねぇ、……ここで話すより、私の研究室で一度見て頂けますか?」
ハルコンは、森の土壌が何故素晴らしいのか、先輩に研究成果の一端を見て貰おうと思った。
「了解! ハルコン、何か他に私に手伝えることある?」
「少し多めに器材運ぶから、頼めるかな?」
「いいよぉ!」
ハルコンとミラは、昼休みの王立学校の食堂で、週末の外出計画について話し合っていた。
学校が休みの日を狙って、王都の城門を出て周囲に広がる森に、たったの2人だけで土壌サンプルを取りにいくつもりなのだ。
「危ないですよ、ハルコン! 王都周辺の森は、結構いろんな魔物が出没するのですからっ!」
すると、シルファー先輩がどこで聞きつけたのか、慌てて2人の計画を止めに入ってきた。
「平気ですよぉ。東方3領でも、私達は日々森に潜ってましたから!」
ハルコンがそう言ってニコリとすると、ミラもうんうんと頷いている。
「あなた方は、王都の森を舐め過ぎですっ!」
「えっ!? 王都の近くの森なのに、まだ魔物を狩りきれていないのですか?」
「狩りきれていないんです。むしろ、王都から出る生ゴミに群がって、たくさん出没する位なのですからっ!」
「「なるほど、……」」
そういえば、前世の晴子の時代、日本の首都東京の23区でも平気で狸も狐もいたし、都下にいけば、猪や猿、小型の熊も出没していたようだ。
まぁ、十分あり得る話なのかもなぁと、ハルコンは思った。
ハルコンがちらりとミラを見ると、彼女はキョトンとした顔をして、シルファー先輩の顔を不思議そうに見つめていた。
「ちなみに、どんな魔物が出るのでしょうか?」
ミラは、率直にシルファー先輩に訊ねていた。
「そうですねぇ。王都周辺は、大人の冒険者達のいい狩場ですから。まぁ、ゴブリンとかコボルト、たまにオークやオーガもいるみたいで、新人にケガ人も出ているそうですよ!」
「なら、平気です。私達、ローグの森でキング・オーガを倒したこともありますので」
朗らかな笑顔でミラが答えると、シルファー先輩は、一瞬ぶるると背筋を震わせた。
「ち、ちなみに、……そのことを、ローレル(ミラの父親のこと)卿や大人達は知っているのかな?」
「いいえ、伝えていません。だって、……バレたら森に土壌サンプルを取りにいくの、禁止になっちゃいますから!」
ミラのあっさりした口調に、シルファー先輩は一瞬気色ばんだ表情を浮かべた。
「前にも一度伺ったと思うけど、……確か、森の土壌で薬を作るんでしたっけ?」
「えぇ、そうです。私が生み出そうとしている薬剤は、森の土壌から生み出されます」
「なら、話を詳しく訊かせて貰おうかしら? 場合によっては、外出許可を出せません!」
「そうですねぇ、……ここで話すより、私の研究室で一度見て頂けますか?」
ハルコンは、森の土壌が何故素晴らしいのか、先輩に研究成果の一端を見て貰おうと思った。
175
あなたにおすすめの小説
転生したら王族だった
みみっく
ファンタジー
異世界に転生した若い男の子レイニーは、王族として生まれ変わり、強力なスキルや魔法を持つ。彼の最大の願望は、人間界で種族を問わずに平和に暮らすこと。前世では得られなかった魔法やスキル、さらに不思議な力が宿るアイテムに強い興味を抱き大喜びの日々を送っていた。
レイニーは異種族の友人たちと出会い、共に育つことで異種族との絆を深めていく。しかし……
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
魔力0の貴族次男に転生しましたが、気功スキルで補った魔力で強い魔法を使い無双します
burazu
ファンタジー
事故で命を落とした青年はジュン・ラオールという貴族の次男として生まれ変わるが魔力0という鑑定を受け次男であるにもかかわらず継承権最下位へと降格してしまう。事実上継承権を失ったジュンは騎士団長メイルより剣の指導を受け、剣に気を込める気功スキルを学ぶ。
その気功スキルの才能が開花し、自然界より魔力を吸収し強力な魔法のような力を次から次へと使用し父達を驚愕させる。
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~
志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」
この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。
父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。
ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。
今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。
その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。
久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。
事故は、予想外に起こる。
そして、異世界転移? 転生も。
気がつけば、見たことのない森。
「おーい」
と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。
その時どう行動するのか。
また、その先は……。
初期は、サバイバル。
その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。
有名になって、王都へ。
日本人の常識で突き進む。
そんな感じで、進みます。
ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。
異世界側では、少し非常識かもしれない。
面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる