天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生

西洋司

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第一部「ハルコン少年期」

32 姫君ステラ・コリンドの留学 その1_04

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「それでハルコン様! ローグの森でキングオーガを倒した時は、どうされたのですか? 首を落として持ち帰ると、ギルドではかなり高額の褒賞金が出るとのことですが、……」

「はははっ、そうですねぇ、……私もミラも殺生はいけないと思いまして。2人がかりで担いで森の奥に入っていったんですよ」

 ハルコンは得意になって話すでもなく、あくまで淡々と、ステラ殿下に当時の状況をご説明した。

 現在、ハルコンとステラ殿下、それにミラの3人は年齢が近いこともあり、王都の王宮に向けて進む馬車の中で、大いに話が弾んでいた。

 すると、いつの間にかハルコンとミラの日常的なフィールドワークに、話が進んでいった。
 ハルコンの話に、ステラ殿下は率直に疑問に思われたのだろう。以下のようにお訊ねになられたのだ。

「お二方は、日常的に森に入られたのでしょ? 危険なこととかありませんでしたか?」
 
 ハルコンとミラはお互いに顔を見合ってから頷くと、ミラが、「殿下、実はですね、……」といって、少しだけ身を前に乗り出した。

「へぇぇーっ。聞きたいです! 森で何があったのですか?」

 釣られるように、ステラ殿下も身を少しだけ前にお出しになられると、ハルコンとミラの武勇譚の続きを聞きたがって、先を急ぐようにお訊ねになられた。

「キングオーガと鉢合わせしてしまいまして。それで、直ぐに臨戦態勢に入りました!」

「怖くなかったのですか? キングオーガは、身の丈2メートル80センチ(地球のモジュール換算で表記しております)以上の巨体と伺っておりますが、……」

「怖かったですよ。いったん手足を掴まれたら、もうそれでお終いですからね!」

 ミラがさも軽い感じで答えると、ステラ殿下は目を見張ってひとつ頷かれた。

「とりあえず、ミラと2人で死角に入り、関節を狙って攻撃したところ、足元のふらついたキングオーガは、岩に頭をぶつけて気絶してしまいました」

「そのまま、……首を刎ねて殺さなかったのですか?」

「しませんよ。血を見るのが嫌ですから」

 ぶるると震えながら、率直に答えるミラ。ハルコンも笑顔でひとつ頷いた。

「そもそも、キングオーガの被害届が出ているワケでもありませんし。私達は2人ともお金には困っていませんから、2人で担いで森の奥に運んでいった後、特にギルドに届けたりはしませんでした」

「そんなぁ、……勿体ない。ミラさんは、それで良かったのですか?」

 ステラ殿下は執着のないハルコンに呆れたそぶりを見せつつ、笑顔でミラにお訊ねになった。

「えぇ。まぁハルコンなら、そうしますから」

 ミラはそう言って、ニッコリと笑う。こちらも同じく執着の「し」の字も見せないため、ステラ殿下は目を皿のようにして驚かれなさった。

「あなた方お二方は、周りから変わっているとか言われたりしませんか?」

「う~ん、そうですねぇ、……。まぁ、それも納得済みですから、私!」

 屈託なく笑うミラに、殿下は呆れたように長いため息をお吐きになった。
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