385 / 500
第一部「ハルコン少年期」
41 サスパニア出張旅行 その4_22
しおりを挟む
* *
すると、日本の旧軍の制服によく似た身なりの青年は、玉すだれを軽く両手でかき分けながら、躊躇なく室内に入ってきた。
「おやおやぁ、……。これは驚いた! まさかとは思っておりましたが、あなたはかのご高名なハルコン・セイントーク殿ではありませんか?」
先ず、第一声からそれだ。その青年は、いくぶん驚いた表情を浮かべてはいたものの、心の底からビックリしているというワケではなさそうだ。
「えぇ。よくご存じですね?」
こちらも、質問に質問を返すのは何だけどさ、……。
まぁとにかく訊きたいことは、お互い山ほどあるんだろうから、……。
これも仕方ないよね。
「それはもぅ。2週間ほど前に、我々政府は隊商の一団にファイルド国王宮宛に信書を預けたのですが、……。ふふっ、まさかハルコン殿、ご本人自ら、こんなにも早くこちらまでお出で下さるとは!」
そう言って、笑顔で歓迎する表情を浮かべた。
もしかすると、……。石原寛斎らの一派は、私(ハルコン)も彼ら同様、女神様からこのファルコニアの世界に派遣されてきたことを、先刻ご存じなのかもしれない。
「お互い積もる話がおありでしょうから、こうして本隊が訪れる前に、私だけこちらに伺わせて頂きました」
「それにしてもお早いお着きで! まるで信書を手にされましたら、直ぐにこちらまでひとっ飛びしてきたような勢いですね?」
「えぇ、まぁ、……」
さて、その辺りのからくりは、なるべくなら黙っていたいところなのだけど。
「やはり、……チートスキル『マジックハンド』を利用されたとか?」
「えっ!?」
どうして、この青年は秘匿しているチートスキルのことを知っているのだろう?
最大限の警戒を怠らず、場合によっては再び元女盗賊さんを連れて、スキル発動してこの場を離脱すべきか?
「おや、驚きのようですね。本日の昼過ぎ、石原寛斎首相の許に女神様がご降臨されたのですよ。その際、女神様は特別にハルコン殿のことを目にかけていらして、ぜひ仲良くして下さいねと仰っていらしたのですよ!」
「なっ、なるほど、……そうでしたか」
そう告げながら思った。もう既に女神様のご采配で、事態の鎮静化は図られた後だったんだなぁと。
「我々石原政権は、貴殿の電撃訪問を歓迎いたします。つきましては、これから政府官邸にお二方をお連れしたいのですが、……」
私は、いつの間にか傍らに立っていた女盗賊さんを、じっと見上げた。
「ハルコン殿ば、それでよかなら、……」
ニィッと笑う元女盗賊さん。おそらく、相手の青年の力量を即座に目算して、こちらの戦力が不足していると判断したのだろう。
まぁ、……でも、私には奥の手があるんだけどさ。
例えば、スキル「マジックハンド」を使って、国境に聳えるフォリア山の頂を縦横奥行き300メートルの塊で回収して、その政府官邸の直上2000メートルの高度から落下させたとしたら、……。
などと、そんなことを考えていたら、……。
「ハルコン殿、我々政府は友好的に貴殿らを歓迎いたしますよ。できましたら、矛を収めてご同行頂けると、大変ありがたいのですがね!」
「え、えぇ。そうですね。我々2名、これから官邸までお伺いいたします!」
そう言って、努めてニッコリと笑顔を作って応じることにした。
すると、日本の旧軍の制服によく似た身なりの青年は、玉すだれを軽く両手でかき分けながら、躊躇なく室内に入ってきた。
「おやおやぁ、……。これは驚いた! まさかとは思っておりましたが、あなたはかのご高名なハルコン・セイントーク殿ではありませんか?」
先ず、第一声からそれだ。その青年は、いくぶん驚いた表情を浮かべてはいたものの、心の底からビックリしているというワケではなさそうだ。
「えぇ。よくご存じですね?」
こちらも、質問に質問を返すのは何だけどさ、……。
まぁとにかく訊きたいことは、お互い山ほどあるんだろうから、……。
これも仕方ないよね。
「それはもぅ。2週間ほど前に、我々政府は隊商の一団にファイルド国王宮宛に信書を預けたのですが、……。ふふっ、まさかハルコン殿、ご本人自ら、こんなにも早くこちらまでお出で下さるとは!」
そう言って、笑顔で歓迎する表情を浮かべた。
もしかすると、……。石原寛斎らの一派は、私(ハルコン)も彼ら同様、女神様からこのファルコニアの世界に派遣されてきたことを、先刻ご存じなのかもしれない。
「お互い積もる話がおありでしょうから、こうして本隊が訪れる前に、私だけこちらに伺わせて頂きました」
「それにしてもお早いお着きで! まるで信書を手にされましたら、直ぐにこちらまでひとっ飛びしてきたような勢いですね?」
「えぇ、まぁ、……」
さて、その辺りのからくりは、なるべくなら黙っていたいところなのだけど。
「やはり、……チートスキル『マジックハンド』を利用されたとか?」
「えっ!?」
どうして、この青年は秘匿しているチートスキルのことを知っているのだろう?
最大限の警戒を怠らず、場合によっては再び元女盗賊さんを連れて、スキル発動してこの場を離脱すべきか?
「おや、驚きのようですね。本日の昼過ぎ、石原寛斎首相の許に女神様がご降臨されたのですよ。その際、女神様は特別にハルコン殿のことを目にかけていらして、ぜひ仲良くして下さいねと仰っていらしたのですよ!」
「なっ、なるほど、……そうでしたか」
そう告げながら思った。もう既に女神様のご采配で、事態の鎮静化は図られた後だったんだなぁと。
「我々石原政権は、貴殿の電撃訪問を歓迎いたします。つきましては、これから政府官邸にお二方をお連れしたいのですが、……」
私は、いつの間にか傍らに立っていた女盗賊さんを、じっと見上げた。
「ハルコン殿ば、それでよかなら、……」
ニィッと笑う元女盗賊さん。おそらく、相手の青年の力量を即座に目算して、こちらの戦力が不足していると判断したのだろう。
まぁ、……でも、私には奥の手があるんだけどさ。
例えば、スキル「マジックハンド」を使って、国境に聳えるフォリア山の頂を縦横奥行き300メートルの塊で回収して、その政府官邸の直上2000メートルの高度から落下させたとしたら、……。
などと、そんなことを考えていたら、……。
「ハルコン殿、我々政府は友好的に貴殿らを歓迎いたしますよ。できましたら、矛を収めてご同行頂けると、大変ありがたいのですがね!」
「え、えぇ。そうですね。我々2名、これから官邸までお伺いいたします!」
そう言って、努めてニッコリと笑顔を作って応じることにした。
47
あなたにおすすめの小説
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
転生したら『塔』の主になった。ポイントでガチャ回してフロア増やしたら、いつの間にか世界最強のダンジョンになってた
季未
ファンタジー
【書き溜めがなくなるまで高頻度更新!♡٩( 'ω' )و】
気がつくとダンジョンコア(石)になっていた。
手持ちの資源はわずか。迫りくる野生の魔物やコアを狙う冒険者たち。 頼れるのは怪しげな「魔物ガチャ」だけ!?
傷ついた少女・リナを保護したことをきっかけにダンジョンは急速に進化を始める。
罠を張り巡らせた塔を建築し、資源を集め、強力な魔物をガチャで召喚!
人間と魔族、どこの勢力にも属さない独立した「最強のダンジョン」が今、産声を上げる!
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
異世界転生旅日記〜生活魔法は無限大!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
農家の四男に転生したルイ。
そんなルイは、五歳の高熱を出した闘病中に、前世の記憶を思い出し、ステータスを見れることに気付き、自分の能力を自覚した。
農家の四男には未来はないと、家族に隠れて金策を開始する。
十歳の時に行われたスキル鑑定の儀で、スキル【生活魔法 Lv.∞】と【鑑定 Lv.3】を授かったが、親父に「家の役には立たない」と、家を追い出される。
家を追い出されるきっかけとなった【生活魔法】だが、転生あるある?の思わぬ展開を迎えることになる。
ルイの安寧の地を求めた旅が、今始まる!
見切り発車。不定期更新。
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!
たらふくごん
ファンタジー
最強の凡人――追放され、転生した蘇我頼人。
新たな世界で、彼は『ライト・ガルデス』として再び生を受ける。
※※※※※
1億年の試練。
そして、神をもしのぐ力。
それでも俺の望みは――ただのスローライフだった。
すべての試練を終え、創世神にすら認められた俺。
だが、もはや生きることに飽きていた。
『違う選択肢もあるぞ?』
創世神の言葉に乗り気でなかった俺は、
その“策略”にまんまと引っかかる。
――『神しか飲めぬ最高級のお茶』。
確かに神は嘘をついていない。
けれど、あの流れは勘違いするだろうがっ!!
そして俺は、あまりにも非道な仕打ちの末、
神の娘ティアリーナが治める世界へと“追放転生”させられた。
記憶を失い、『ライト・ガルデス』として迎えた新しい日々。
それは、久しく感じたことのない“安心”と“愛”に満ちていた。
だが――5歳の洗礼の儀式を境に、運命は動き出す。
くどいようだが、俺の望みはスローライフ。
……のはずだったのに。
呪いのような“女難の相”が炸裂し、
気づけば婚約者たちに囲まれる毎日。
どうしてこうなった!?
転生したら、伯爵家の嫡子で勝ち組!だけど脳内に神様ぽいのが囁いて、色々依頼する。これって異世界ブラック企業?それとも社畜?誰か助けて
ゆうた
ファンタジー
森の国編 ヴェルトゥール王国戦記
大学2年生の誠一は、大学生活をまったりと過ごしていた。
それが何の因果か、異世界に突然、転生してしまった。
生まれも育ちも恵まれた環境の伯爵家の嫡男に転生したから、
まったりのんびりライフを楽しもうとしていた。
しかし、なぜか脳に直接、神様ぽいのから、四六時中、依頼がくる。
無視すると、身体中がキリキリと痛むし、うるさいしで、依頼をこなす。
これって異世界ブラック企業?神様の社畜的な感じ?
依頼をこなしてると、いつの間か英雄扱いで、
いろんな所から依頼がひっきりなし舞い込む。
誰かこの悪循環、何とかして!
まったりどころか、ヘロヘロな毎日!誰か助けて
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる