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番外編 クルミ
迎え
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「もがっ!!レスター兄様!!!!??」
「よう、ライ」
軽く挨拶するレスター兄様の横に秋までいる!?
誰が誰の部下に付くのかまだ決まってないルースの所の三つ子が後ろに控え、サラが笑いをこらえてる姿が見える!
「何故、レスターがここに……シュウも、ダメだろ……」
あ、ビックリしすぎて敬語と礼が飛んだな。
そんなライに二重にびっくりして顎が外れそうになってる鷹の王族達。ライのお父様らしき人と、お母様、弟2人、皆紺色の翼。
「鷹族と友好を結んだ妹を迎えに来ただけだ。兄として」
「僕もそう。一応専属護衛なんだよね…………はぁ絶対あとでしばかれる…………僕あと少ししか生きられないと思う」
「あと妹が忘れて行ったノーチェへ持たせる土産を持ってきた。うちの天馬が嫁に行くんだ。何も持たせないなどあり得ない」
救援物資を持ってきたんだとすぐにわかった。
ノーチェ、男の子だけど…………嫁って……無理やりすぎない?
「一週間滞在する」
レスター兄様が短くいい、三つ子の長男が続ける。
「ノーチェの祝いのために、食事も人員も全てこちらで用意させて頂く。鷹族の王よ、これから到着する者達はクルミ姫の迎えの為軍部の者が多数いる。入国許可を」
「御命のままに」
ライのお父上だろう、ライに似ている。
グリーンシルバーの髪の、紺色の羽。ライがもっと大人になったらこうなるのかな。
ちょっと渋いライって感じ。
「クルミ、天馬達に命令を。竜国軍の所まで土産と宮女を迎えに行かせろ」
レスター兄様が私に言う。
自分で言えばいいのに。
よくわからないままテトにお願いする。
「テト、お願い」
テトが空に止まったままの天馬達に向かって一声鳴くと、数十頭が踵を返して動き出した。
「マジかよ……すげぇな……俺の妹怖え」
何がだろ。
「んで、どーすんのあれ。ノーチェの祝いには呼んでねぇけど」
レスター兄様が顎で示した先には大鷲の兵士達。青い顔でガクガクと震えてる。
天馬の魔力も、兄様の魔力も怖いんだと思う。
「領地没収の上、一族まるごと契約解除と追放かな」
答えたライが眩しいものを見る様にレスター兄様を見る。
「うちは受け入れねぇぞ。何でも屋じゃねぇんだうちは」
「あはは、力の弱い国はこんな反乱軍には国民権を与えないだろうし、強い国に入れてもらうしか無いんだろうけど……俺の知ったこっちゃ無いよ、そっちに行ったら……スマン」
ポンポンと交わされる会話に王族達も、大鷲の兵士達も目を白黒させてる。
うん、レスター兄様、すごく偉い人だった。
「これ以上姫殿下の前でお目汚しは許しません。すぐにコーネル神との契約解除をなしなさい」
カカラが大鷲族に向かって言う。
この人結構強いな!?
ライ以外の鷹の王族達とカカラさんとで結託し、一族丸ごとの契約解除の儀がなされていく。コーネル国民で無くなれば、竜族の見張るこの世界で国取りなどできなくなる。
そんな光景を横目に、兄様がライに言う。
「しかし、ノーチェか…………おまえせっかく命が助かったのに、また殺されるぞ」
「レスターはうちの国の古語まで履修してんのか…………軍神にはバレないよ」
「バカだろ!?兄上は俺なんかよりずっと出来がいいんだぞ!お前、秋と一緒に殺される運命だ。残念だな、諦めろ」
「…………兄上助けて」
秋が涙目でいい、レスター兄様が笑う。
「男だろ、なんとかしろ」
「片思いぐらい、許して頂きたいなぁ」
——————「許すわけないよね」
ひょいと片手に抱かれ、急に高くなった視線にビックリする。
大好きなにおいがする。
「クロム兄様!!!」
「この子は僕のお嫁さんなんだよね」
……………………はい?
「に、にぃさま…………?」
「クルミ、諦めろ、これはもう決定事項だ。縁もそうだが…………兄上がお前を手放すわけない」
???????
キョトンとした私に兄様が言う。
「外堀埋めてくつもりだったけど、あまりの可愛さに外野がうるさくなってきたからね?捕まえとかないと変な所が母上そっくりですぐ飛び出していっちゃうし」
「クロム、にいさま……?」
兄様じゃないみたいに沢山喋ってらっしゃる!!い、いや、そこじゃなくて、そこじゃなくて!!!!!
「はぁ、あとは主だけなんだよねぇ。僕より強いってのがやっかいだよね」
クロム兄様が私を抱いたままため息をつく。
「親父がどう出るかは俺にも分かりません。クルミを溺愛してますし。あとは……伯父上でしょうか……」
「アイツは大丈夫。ヘタレだから」
いぇ!?やっぱりフォルド伯父様のこと、アイツって言った!!!!!
「クルミ姫はやはり愛されているな」
ライが笑って言う。初めて出会った時に同じ事を言われた気がする。
「そりゃーね。僕ら3人兄弟と、エルダゾルク国王、王弟の5人に溺愛されてる女の子なんてクルミと母上ぐらいじゃない?」
秋がなんでもない様に言う。
そんな事、初めて言われたけど!?
「あと大母上もか」
兄様達が笑う。
「クルミは天馬の群勢にも愛されてるしな。母上がやってもやれそうだけど、テトの主人の娘で、天馬幹部達の全ての主人が兄上を弟と思ってる。その兄上の宝がクルミだから…………あーもうややこしくなってきた!」
兄様達の会話についていけない、私が、何?
っていうか、私まだクロム兄様に抱かれたままだからね!?兄様私を片手で抱き上げて普通に会話に参加してらっしゃるけど私ここにいるからね!?
複雑な顔をした私に気づいたクロム兄様が言う。
「クルミ、僕らは天馬と主従関係にある。例えばツキはレスターのために動くけど、ヴァルファデやエルシーナはそうじゃ無い。離れ以外の天馬なんて乗るのも無理だ」
「え、でも…………テトにお願いすれば……」
百頭近い天馬が私の味方をしてくれた。
テトの命令で。
「テトは僕らにはそんな事してくれないよ、やってみる?」
「楽しそうですね!俺がやってみます兄上!」
レスター兄様が嬉々として言い、テトに命令する。
「テト!ここにいる群勢全部を下に整列させろ!」
テトが鼻で笑う様に短くブルンと鳴き、そっぽを向いてしらんぷりする。
「な?親父がやってもテト一頭が下に降りるだけだろうな」
「な、なんで……」
「この世界の天馬の王がテトで、お前はテトの宝であって、天馬幹部の宝だからだな」
父様と、クロム兄様(!)に愛されてるから?
「あー、テトは母上も溺愛してるからなーその母上の宝なのがクルミだし……もう僕もこんがらがってきた……」秋が頭をガリガリとかく。
「俺らも親父と母上の宝なのは間違いないけどな、テトは俺らには一頭選んで乗りこなせと求めてる感じはするな」
「あーーーそれはあるかも」
秋がめんどくさそうに言う。
「僕の宝はラズウェル中の天馬達から愛されてるのか…………守りとしては最強だね」
「おいクルミ、アイツら威圧感やべえから、天空領に帰らせろ。直接命令してみろよ」
レスター兄様のセリフに半信半疑ながらも声を出す。
「あの、みんな天空領にかえっていて?りんごもオレンジも、なんでも食べて大丈夫」
と一応いってみたものの、いや、絶対無理でしょ!
天馬達は私をじっと見て、それから全頭が高く泣いた。
「「「「「「クィーーーン」」」」」」
コーネル中が揺れるんじゃないかと思うほどのいななき。百頭の天馬の諾の声。
気づく。気付かされた。
じじ達ありがとう。本当に身近にあったね。
————私は、天馬が好きだ。
天馬達が飛び去る後ろをぼんやり見る。
テトが内緒で何か言ったんだろうかと思って振り返ってテトを見るけど、ノーチェがすり寄って甘えていて、天馬達の方すら見ていなかった。
「よう、ライ」
軽く挨拶するレスター兄様の横に秋までいる!?
誰が誰の部下に付くのかまだ決まってないルースの所の三つ子が後ろに控え、サラが笑いをこらえてる姿が見える!
「何故、レスターがここに……シュウも、ダメだろ……」
あ、ビックリしすぎて敬語と礼が飛んだな。
そんなライに二重にびっくりして顎が外れそうになってる鷹の王族達。ライのお父様らしき人と、お母様、弟2人、皆紺色の翼。
「鷹族と友好を結んだ妹を迎えに来ただけだ。兄として」
「僕もそう。一応専属護衛なんだよね…………はぁ絶対あとでしばかれる…………僕あと少ししか生きられないと思う」
「あと妹が忘れて行ったノーチェへ持たせる土産を持ってきた。うちの天馬が嫁に行くんだ。何も持たせないなどあり得ない」
救援物資を持ってきたんだとすぐにわかった。
ノーチェ、男の子だけど…………嫁って……無理やりすぎない?
「一週間滞在する」
レスター兄様が短くいい、三つ子の長男が続ける。
「ノーチェの祝いのために、食事も人員も全てこちらで用意させて頂く。鷹族の王よ、これから到着する者達はクルミ姫の迎えの為軍部の者が多数いる。入国許可を」
「御命のままに」
ライのお父上だろう、ライに似ている。
グリーンシルバーの髪の、紺色の羽。ライがもっと大人になったらこうなるのかな。
ちょっと渋いライって感じ。
「クルミ、天馬達に命令を。竜国軍の所まで土産と宮女を迎えに行かせろ」
レスター兄様が私に言う。
自分で言えばいいのに。
よくわからないままテトにお願いする。
「テト、お願い」
テトが空に止まったままの天馬達に向かって一声鳴くと、数十頭が踵を返して動き出した。
「マジかよ……すげぇな……俺の妹怖え」
何がだろ。
「んで、どーすんのあれ。ノーチェの祝いには呼んでねぇけど」
レスター兄様が顎で示した先には大鷲の兵士達。青い顔でガクガクと震えてる。
天馬の魔力も、兄様の魔力も怖いんだと思う。
「領地没収の上、一族まるごと契約解除と追放かな」
答えたライが眩しいものを見る様にレスター兄様を見る。
「うちは受け入れねぇぞ。何でも屋じゃねぇんだうちは」
「あはは、力の弱い国はこんな反乱軍には国民権を与えないだろうし、強い国に入れてもらうしか無いんだろうけど……俺の知ったこっちゃ無いよ、そっちに行ったら……スマン」
ポンポンと交わされる会話に王族達も、大鷲の兵士達も目を白黒させてる。
うん、レスター兄様、すごく偉い人だった。
「これ以上姫殿下の前でお目汚しは許しません。すぐにコーネル神との契約解除をなしなさい」
カカラが大鷲族に向かって言う。
この人結構強いな!?
ライ以外の鷹の王族達とカカラさんとで結託し、一族丸ごとの契約解除の儀がなされていく。コーネル国民で無くなれば、竜族の見張るこの世界で国取りなどできなくなる。
そんな光景を横目に、兄様がライに言う。
「しかし、ノーチェか…………おまえせっかく命が助かったのに、また殺されるぞ」
「レスターはうちの国の古語まで履修してんのか…………軍神にはバレないよ」
「バカだろ!?兄上は俺なんかよりずっと出来がいいんだぞ!お前、秋と一緒に殺される運命だ。残念だな、諦めろ」
「…………兄上助けて」
秋が涙目でいい、レスター兄様が笑う。
「男だろ、なんとかしろ」
「片思いぐらい、許して頂きたいなぁ」
——————「許すわけないよね」
ひょいと片手に抱かれ、急に高くなった視線にビックリする。
大好きなにおいがする。
「クロム兄様!!!」
「この子は僕のお嫁さんなんだよね」
……………………はい?
「に、にぃさま…………?」
「クルミ、諦めろ、これはもう決定事項だ。縁もそうだが…………兄上がお前を手放すわけない」
???????
キョトンとした私に兄様が言う。
「外堀埋めてくつもりだったけど、あまりの可愛さに外野がうるさくなってきたからね?捕まえとかないと変な所が母上そっくりですぐ飛び出していっちゃうし」
「クロム、にいさま……?」
兄様じゃないみたいに沢山喋ってらっしゃる!!い、いや、そこじゃなくて、そこじゃなくて!!!!!
「はぁ、あとは主だけなんだよねぇ。僕より強いってのがやっかいだよね」
クロム兄様が私を抱いたままため息をつく。
「親父がどう出るかは俺にも分かりません。クルミを溺愛してますし。あとは……伯父上でしょうか……」
「アイツは大丈夫。ヘタレだから」
いぇ!?やっぱりフォルド伯父様のこと、アイツって言った!!!!!
「クルミ姫はやはり愛されているな」
ライが笑って言う。初めて出会った時に同じ事を言われた気がする。
「そりゃーね。僕ら3人兄弟と、エルダゾルク国王、王弟の5人に溺愛されてる女の子なんてクルミと母上ぐらいじゃない?」
秋がなんでもない様に言う。
そんな事、初めて言われたけど!?
「あと大母上もか」
兄様達が笑う。
「クルミは天馬の群勢にも愛されてるしな。母上がやってもやれそうだけど、テトの主人の娘で、天馬幹部達の全ての主人が兄上を弟と思ってる。その兄上の宝がクルミだから…………あーもうややこしくなってきた!」
兄様達の会話についていけない、私が、何?
っていうか、私まだクロム兄様に抱かれたままだからね!?兄様私を片手で抱き上げて普通に会話に参加してらっしゃるけど私ここにいるからね!?
複雑な顔をした私に気づいたクロム兄様が言う。
「クルミ、僕らは天馬と主従関係にある。例えばツキはレスターのために動くけど、ヴァルファデやエルシーナはそうじゃ無い。離れ以外の天馬なんて乗るのも無理だ」
「え、でも…………テトにお願いすれば……」
百頭近い天馬が私の味方をしてくれた。
テトの命令で。
「テトは僕らにはそんな事してくれないよ、やってみる?」
「楽しそうですね!俺がやってみます兄上!」
レスター兄様が嬉々として言い、テトに命令する。
「テト!ここにいる群勢全部を下に整列させろ!」
テトが鼻で笑う様に短くブルンと鳴き、そっぽを向いてしらんぷりする。
「な?親父がやってもテト一頭が下に降りるだけだろうな」
「な、なんで……」
「この世界の天馬の王がテトで、お前はテトの宝であって、天馬幹部の宝だからだな」
父様と、クロム兄様(!)に愛されてるから?
「あー、テトは母上も溺愛してるからなーその母上の宝なのがクルミだし……もう僕もこんがらがってきた……」秋が頭をガリガリとかく。
「俺らも親父と母上の宝なのは間違いないけどな、テトは俺らには一頭選んで乗りこなせと求めてる感じはするな」
「あーーーそれはあるかも」
秋がめんどくさそうに言う。
「僕の宝はラズウェル中の天馬達から愛されてるのか…………守りとしては最強だね」
「おいクルミ、アイツら威圧感やべえから、天空領に帰らせろ。直接命令してみろよ」
レスター兄様のセリフに半信半疑ながらも声を出す。
「あの、みんな天空領にかえっていて?りんごもオレンジも、なんでも食べて大丈夫」
と一応いってみたものの、いや、絶対無理でしょ!
天馬達は私をじっと見て、それから全頭が高く泣いた。
「「「「「「クィーーーン」」」」」」
コーネル中が揺れるんじゃないかと思うほどのいななき。百頭の天馬の諾の声。
気づく。気付かされた。
じじ達ありがとう。本当に身近にあったね。
————私は、天馬が好きだ。
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テトが内緒で何か言ったんだろうかと思って振り返ってテトを見るけど、ノーチェがすり寄って甘えていて、天馬達の方すら見ていなかった。
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