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美咲ルート
ブラコン姉妹は、天使だろうか? 美咲√(9)
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物心から付いた頃から、しっかりとした性格だった彼女。名前は神楽坂美咲。私の姉妹であり、家族であり、ライバルでもある存在。だが、そんな関係だからこそ、私にも譲れない物というのが存在する。それは……
家族である彼女が――
姉妹である彼女が――
ライバルである彼女が――
様々な顔を持つ彼女自身が、私と同じ境遇である姉妹である彼女が幸せであるかどうか。そこだけが、私にとっての譲れない部分だ。我ながら勝手な事ではあるけれど、今までも私が怒られれば良いという状況も何度かあったし、精神的苦痛を覚えていた時期もあった。
だから私は、部屋の隅で泣く彼女の姿なんてもう見たくない。だからこそ私は、彼女に幸せになって欲しいと願ってしまうのだろう。それでもし、私の願いが叶えられなくなっても……私は我慢出来るし、背中を押す事だって厭わない。
「……でも、兄者は美羽も欲しかったなぁ。……えへへ」
一人で呟いたその言葉は、空気の中へと消えていく。だがその後に私の頬には、何故か生暖かいモノが滴っていた事に気付いた。……そうか、私って兄者の事がやっぱり好きだったんだ。という事を自覚した時には、もう彼女の背中を押した後だった。
「っ……がんばれ、みさき……ひぐっ……」
誰も居ない場所で、ただ一人。私は体育座りで丸くなった状態でそう呟くのであった。そして、これからは彼女を、私の大事な姉妹である彼女を応援しようと誓う。だけど今だけ、今だけはこのまま泣きたい気分だった――。
――廊下でバッタリと遭遇した私は、ビクッと身体が跳ねて硬直してしまった。それは遭遇したお兄様も同じらしく、互いに互いの顔を見つめてしまう状態で固まってしまう。だが今は、私は声を出さなくてはならない。
美羽が背中を押してくれたのだから、私はその押してくれた美羽の為にもやり遂げなくてはならない。
「あ、あのっ……お兄様!」
「お、おう」
「今、お時間はありますか?」
「ん、あぁ、一応あるぞ。どうした?」
しどろもどろとなっている状態のまま、私は少しずつ彼への言葉を紡いでいく。一つ、一つ、頭の中で形にしていく。だがしかし、声に出そうとした瞬間だけ、喉元に引っ掛かってしまう。後少しで声が出るという時に限って、私は……声を出せずに居た。
「……あぅ……えっと……」
「美咲?」
――美咲から、デートに誘ってみようよ!それで、その後に告白しちゃえ!
「っ!?」
美羽が言っていた言葉を思い出し、私は全身から力が消えた。美羽だって彼が好きなはずなのに、笑みを浮かべて、眩しいくらいの笑顔でそう言ったんだ。浮かれていた状態で気付かなかったけれど、冷静になった途端に理解してしまった。
「……っ(馬鹿だよ、美羽。何で敵に塩を送るような真似……ばかっ)」
「お、おい、何で泣いて。どうしたんだよ、美咲!?」
持っていた段ボールを彼は下ろして、私の方へと駆け出してきた。そんな行動でさえ嬉しがってる私だったが、今は胸の中がチクチクして痛かった。美羽は……私の為にそう言ってくれたのだと、今頃になって気付くなんて情けない。
けど、それなら尚更、私は彼女の想いを背負わなくてはならない。私には、そうする責任があるのだから――。
「お、お兄様!」
「おう、どうした?」
「今度の休み、……私とデートをして下さいませんか!?」
家族である彼女が――
姉妹である彼女が――
ライバルである彼女が――
様々な顔を持つ彼女自身が、私と同じ境遇である姉妹である彼女が幸せであるかどうか。そこだけが、私にとっての譲れない部分だ。我ながら勝手な事ではあるけれど、今までも私が怒られれば良いという状況も何度かあったし、精神的苦痛を覚えていた時期もあった。
だから私は、部屋の隅で泣く彼女の姿なんてもう見たくない。だからこそ私は、彼女に幸せになって欲しいと願ってしまうのだろう。それでもし、私の願いが叶えられなくなっても……私は我慢出来るし、背中を押す事だって厭わない。
「……でも、兄者は美羽も欲しかったなぁ。……えへへ」
一人で呟いたその言葉は、空気の中へと消えていく。だがその後に私の頬には、何故か生暖かいモノが滴っていた事に気付いた。……そうか、私って兄者の事がやっぱり好きだったんだ。という事を自覚した時には、もう彼女の背中を押した後だった。
「っ……がんばれ、みさき……ひぐっ……」
誰も居ない場所で、ただ一人。私は体育座りで丸くなった状態でそう呟くのであった。そして、これからは彼女を、私の大事な姉妹である彼女を応援しようと誓う。だけど今だけ、今だけはこのまま泣きたい気分だった――。
――廊下でバッタリと遭遇した私は、ビクッと身体が跳ねて硬直してしまった。それは遭遇したお兄様も同じらしく、互いに互いの顔を見つめてしまう状態で固まってしまう。だが今は、私は声を出さなくてはならない。
美羽が背中を押してくれたのだから、私はその押してくれた美羽の為にもやり遂げなくてはならない。
「あ、あのっ……お兄様!」
「お、おう」
「今、お時間はありますか?」
「ん、あぁ、一応あるぞ。どうした?」
しどろもどろとなっている状態のまま、私は少しずつ彼への言葉を紡いでいく。一つ、一つ、頭の中で形にしていく。だがしかし、声に出そうとした瞬間だけ、喉元に引っ掛かってしまう。後少しで声が出るという時に限って、私は……声を出せずに居た。
「……あぅ……えっと……」
「美咲?」
――美咲から、デートに誘ってみようよ!それで、その後に告白しちゃえ!
「っ!?」
美羽が言っていた言葉を思い出し、私は全身から力が消えた。美羽だって彼が好きなはずなのに、笑みを浮かべて、眩しいくらいの笑顔でそう言ったんだ。浮かれていた状態で気付かなかったけれど、冷静になった途端に理解してしまった。
「……っ(馬鹿だよ、美羽。何で敵に塩を送るような真似……ばかっ)」
「お、おい、何で泣いて。どうしたんだよ、美咲!?」
持っていた段ボールを彼は下ろして、私の方へと駆け出してきた。そんな行動でさえ嬉しがってる私だったが、今は胸の中がチクチクして痛かった。美羽は……私の為にそう言ってくれたのだと、今頃になって気付くなんて情けない。
けど、それなら尚更、私は彼女の想いを背負わなくてはならない。私には、そうする責任があるのだから――。
「お、お兄様!」
「おう、どうした?」
「今度の休み、……私とデートをして下さいませんか!?」
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