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12.幸せな日々
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お父様がいなくなったことで、スウェンリー男爵家は変わったといえる。
セフィーナは古くからいる使用人を何人か退職させた。その人達にも、ザンバルさんが何かをしたようだ。その辺りの詳細について、私は教えてもらっていない。
何か特別な事情がありそうな気はするが、それは考えないようにしている。セフィーナが隠しているということには、きっと意味があるからだ。
「……しかし、驚きましたよ。まさかあなたがこちらにいらっしゃるなんて」
「そう驚くことでもないだろう。俺は元々、こっちに住んでいるんだし」
「スウェンリー男爵家とは関わり合いになりたくないと、以前おっしゃっていたものですからね」
「ああ、それはその、色々とあったのさ」
ボルガン公爵家も、新たな当主が決まって体制が変わった。
そんな二家の間で、婚約が取り決められることになった。それは私と、ハルベルト様の婚約だ。セフィーナと相談した結果、彼にスウェンリー男爵を継いでもらうことに決まったのである。
「そっちの方こそ、まさかスウェンリー男爵を継ぐなんてな……」
「それについては、巡り合わせというものですよ。ソフィーナ嬢とは縁がありました」
「縁というかなんというか、私が脅したようなものですけれどね……」
「いいえ、あれは当然のことですよ。むしろこちらとしては助かりました。無償で黙っていると言われる方が、怖いですからね。交換条件があると安心できます」
私が秘密を握っていることもあって、ボルガン公爵家はスウェンリー男爵家に幾分かの融通を効かせくれている。それが面倒になったこともあって、いっそのこと身内に入れてしまおうと、あちらは判断したのかもしれない。
しかしハルベルト様との婚約は、非常にありがたいものである。ボルガン公爵の件でわかったが、彼は立派な貴族の一人だ。スウェンリー男爵家としても、彼が当主になってくれれば、安泰だと思う。
「ハルベルト様、ソフィーナのことをよろしく頼みます。この子は今まで、色々と苦労してきたのです。どうか幸せにしてください」
「それはもちろんです。ソフィーナ嬢のことは僕にお任せください」
セフィーナの言葉に、ハルベルト様は力強い返事を返していた。
それはなんとも、頼りになる答えだ。彼ならきっと、私のことを幸せにしてくれるだろう。それは間違いないし、特に心配していない。
「そういうことなら、セフィーナもいい人を見つけないとね?」
「……え?」
「私も気持ちは同じだよ? セフィーナにも幸せになって欲しいな……もしかして、その相手はもう見つけているとか」
「それは……」
セフィーナは、私の言葉に苦笑いを浮かべていた。
私は、ザンバルさんの方を見る。私が知らない間に、二人はかなり親密になっていたようだが、それはもしかして恋愛的な感情も含まれているのではないだろうか。
私が当主を婿として迎える立場になったのも、それが要因なのではないかと踏んでいる。ザンバルさんはボルガン公爵の子供とはいえ、悪しき魔法使いの一族の一人だ。スウェンリー男爵家の後継者としては認められにくいと、判断したのではないだろうか。
「……その辺りについては、実際の所どうなのでしょうね?」
「わかりません……それはこれから二人で、楽しみましょうか」
「……あの二人、もう親密そうだな?」
「まあそれは、いいことではあるけれど……」
ハルベルト様の言葉に答える私を見ながら、セフィーナとザンバルさんは楽しそうに話していた。やはり脈はあるのではないだろうか。
そんな風に呑気なことを思えるくらい、今のスウェンリー男爵家は私にとって居心地が良かった。きっとこれからは、こんな日々がずっと続いていくだろう。そう思いながら私は、ハルベルト様と笑い合うのだった。
END
セフィーナは古くからいる使用人を何人か退職させた。その人達にも、ザンバルさんが何かをしたようだ。その辺りの詳細について、私は教えてもらっていない。
何か特別な事情がありそうな気はするが、それは考えないようにしている。セフィーナが隠しているということには、きっと意味があるからだ。
「……しかし、驚きましたよ。まさかあなたがこちらにいらっしゃるなんて」
「そう驚くことでもないだろう。俺は元々、こっちに住んでいるんだし」
「スウェンリー男爵家とは関わり合いになりたくないと、以前おっしゃっていたものですからね」
「ああ、それはその、色々とあったのさ」
ボルガン公爵家も、新たな当主が決まって体制が変わった。
そんな二家の間で、婚約が取り決められることになった。それは私と、ハルベルト様の婚約だ。セフィーナと相談した結果、彼にスウェンリー男爵を継いでもらうことに決まったのである。
「そっちの方こそ、まさかスウェンリー男爵を継ぐなんてな……」
「それについては、巡り合わせというものですよ。ソフィーナ嬢とは縁がありました」
「縁というかなんというか、私が脅したようなものですけれどね……」
「いいえ、あれは当然のことですよ。むしろこちらとしては助かりました。無償で黙っていると言われる方が、怖いですからね。交換条件があると安心できます」
私が秘密を握っていることもあって、ボルガン公爵家はスウェンリー男爵家に幾分かの融通を効かせくれている。それが面倒になったこともあって、いっそのこと身内に入れてしまおうと、あちらは判断したのかもしれない。
しかしハルベルト様との婚約は、非常にありがたいものである。ボルガン公爵の件でわかったが、彼は立派な貴族の一人だ。スウェンリー男爵家としても、彼が当主になってくれれば、安泰だと思う。
「ハルベルト様、ソフィーナのことをよろしく頼みます。この子は今まで、色々と苦労してきたのです。どうか幸せにしてください」
「それはもちろんです。ソフィーナ嬢のことは僕にお任せください」
セフィーナの言葉に、ハルベルト様は力強い返事を返していた。
それはなんとも、頼りになる答えだ。彼ならきっと、私のことを幸せにしてくれるだろう。それは間違いないし、特に心配していない。
「そういうことなら、セフィーナもいい人を見つけないとね?」
「……え?」
「私も気持ちは同じだよ? セフィーナにも幸せになって欲しいな……もしかして、その相手はもう見つけているとか」
「それは……」
セフィーナは、私の言葉に苦笑いを浮かべていた。
私は、ザンバルさんの方を見る。私が知らない間に、二人はかなり親密になっていたようだが、それはもしかして恋愛的な感情も含まれているのではないだろうか。
私が当主を婿として迎える立場になったのも、それが要因なのではないかと踏んでいる。ザンバルさんはボルガン公爵の子供とはいえ、悪しき魔法使いの一族の一人だ。スウェンリー男爵家の後継者としては認められにくいと、判断したのではないだろうか。
「……その辺りについては、実際の所どうなのでしょうね?」
「わかりません……それはこれから二人で、楽しみましょうか」
「……あの二人、もう親密そうだな?」
「まあそれは、いいことではあるけれど……」
ハルベルト様の言葉に答える私を見ながら、セフィーナとザンバルさんは楽しそうに話していた。やはり脈はあるのではないだろうか。
そんな風に呑気なことを思えるくらい、今のスウェンリー男爵家は私にとって居心地が良かった。きっとこれからは、こんな日々がずっと続いていくだろう。そう思いながら私は、ハルベルト様と笑い合うのだった。
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