誰からも必要とされていないから出て行ったのに、どうして皆追いかけてくるんですか?

木山楽斗

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12.彼女の手回し

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「……つまり、リエネッタさんは私の代わりに手紙を出していた、ということですか?」
「ええ、その通りです。勝手なことをして、申し訳ありませんでした」

 リエネッタさんは、私に対して頭を深く下げてきた。
 しかし彼女の判断は、咎めるべきものではない。むしろ私は、感謝するべきだろう。

「リエネッタさん、ありがとうございます。私は、今になってやっと自分がどれだけ大きなことをしたかを自覚しました。あなたの判断がなければ、今回の件はもっと大きな問題となっていたことでしょう。本当に感謝しています」
「……私にはもったいないお言葉です」

 メセリアの涙を見るまで私は、自分がしたことを正しく理解できていなかった。リエネッタさんは、そんな私を的確に補助してくれたのだ。
 それはとても、ありがたいことだった。幾分か冷静になれた今は、それがなんとも切実に感じられる。

「確認になりますが、ラナフィス子爵家もそのことについては把握しているのですよね?」
「はい。私の方から、大まかに事情をお伝えしています」
「なるほど、お祖父様方が私の無茶ともいえる要求を受け入れてくれたのは、全てを知っていたから、という訳ですね」

 ラナフィス子爵家の人達は、単に孫や姪が可愛いから要求を受け入れてくれた訳ではないということだろう。もちろん、多少はそれも関係しているのだろうが、リエネッタさんが事情を伝えてくれていたことが大きいのは明らかである。

「それで、メセリアはラナフィス子爵家を訪ねて……」
「はい、それでリエネッタさんがここまで連れて来てくださいました」
「そういうことだったんだね……」

 そこで私は、隣に座るメセリアに言葉をかけた。
 しばらく泣いていた妹は、とりあえず落ち着いてくれている。ただ、私の傍を離れようとはしないため、その傷は根深いものだといえるだろう。

 彼女に傷をつけたのは、私の身勝手が原因である。故に私の存在がその傷を癒せるなら、いくらでも傍にいるつもりだ。
 しかし不思議なものである。少し前まで疎んでさえいたはずの妹が、今はなんとも可愛く思える。我ながら単純で、少し自己嫌悪してしまう。

「ミリーシャ様、メセリア様はどうやら旦那様にも奥様にも断りを入れず、こちらに来たようで……」
「え? そ、そうなの?」
「あ、はい。その、知らせを受けてすぐに行動したので……」
「だ、大胆だね……ああいや、私が言えることではないか」

 薄々わかっていたことだが、今回のメセリアの来訪はマートン伯爵家にとっても予想外のものであるらしい。それは言うまでもなく、大変なことである。
 やはり私達は、姉妹ということなのだろうか。揃いも揃って、大胆な行動をしてしまった訳である。
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