「お前を妻だと思ったことはない」と言ってくる旦那様と離婚した私は、幼馴染の侯爵令息から溺愛されています。

木山楽斗

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8.これからのこと

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 私は、お兄様とカルディアスとともに客室で話をしていた。
 このように談笑すること自体、私にとって随分と久し振りである。
 それを理解して、私は自分が本当に息苦しい場所にいたのだと改めて自覚した。あの閉鎖された場所は、本当に辛い場所だったのだ。

「さて、それでお前のこれからについて少し話しておきたいのだが、構わないだろうか?」
「これから、ですか……」

 他愛のない話を少しした後、お兄様はそのように切り出してきた。
 これからのこと。それは、今まであまり考えないようにしていた話だ。
 だが、いつまでも目をそらしていいことではない。そう思って、私は覚悟を決める。

「わかりました。聞かせてください」
「……そのように身構えなくても大丈夫だ。事態は、そこまで深刻という訳ではない」
「え? そうなのですか?」

 姿勢を正した私に対して、アルベルドお兄様は笑みを浮かべていた。
 私はてっきり、これから大変なことになるのだと思っていた。離婚した王族という立場の私という存在が、色々と厄介なものになるのではないかと考えていたのだが、そうではないのだろうか。

「もちろん、今回の離婚はただで済む話ではない。オルバディオン公爵家との確執は、さらに高まっただろうし、悪い噂も流れるだろう。だが、それがそこまで深刻な問題に繋がるという訳ではない。それらは予想できたことではあるし、俺はその程度のことで瓦解するような王ではない」
「本当に、大丈夫なのですか?」
「ああ、手は打ってある。案ずる必要はない」

 アルベルドお兄様は、堂々とそう言い切った。
 それが本当かどうかは、正直私にはわからない。もしかしたら、私を安心させるためにそう言っているだけという可能性もある。
 ただ、あまりそれを疑っても仕方ない。ここは、お兄様を信じるべきだろう。

「お前の婚約等も、問題はない。実の所、既に当てをつけてある」
「婚約……」
「おっと、案ずることはない。その当ては、お前を不幸にしないと俺は確信している」
「そ、そうなのですか?」
「ああ……」

 婚約のことと言われて、私はまた身構えてしまった。
 またジグールのような人の妻となるかもしれない。それに、自然と体が反応してしまったのだ。
 だが、お兄様曰く、心配はないようである。それだけ信頼できる人物に、目星がついているということなのだろうか。

「カルディアス、お前もそう思うだろう?」
「え? いや、それは……」

 そこで、アルベルドお兄様はカルディアスに話を振った。
 それに対して、彼は動揺している。その反応は、あまりいいものとはいえないだろう。
 もしかして、お兄様にとっては信頼できる相手だが、カルディアスにとってはそうではないのだろうか。彼の反応から考えると、そういうことのように思える。
 私は、少し心配になってきた。お兄様のことは信頼しているが、同じく信頼しているカルディアスがこんな微妙な反応というのは、本当に大丈夫なのだろうか。
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