「お前を妻だと思ったことはない」と言ってくる旦那様と離婚した私は、幼馴染の侯爵令息から溺愛されています。

木山楽斗

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14.彼の膝で

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 私とカルディアスは、中庭で話をしていた。
 彼との話は楽しかった。恐らく、この時、私はカルディアスに心を開いたのだろう。今思い返すと、そんな気がする。

「んっ……」
「おっと……」

 カルディアスと話した日は、よく晴れた日だった。気温も高かったし、ぽかぽかとした陽気な日だったのだ。
 そんな陽気の中で話していて、私はいつの間にか眠っていたのである。ゆっくりと目を開けて、カルディアスの顔を見て、驚いたのは今でも印象深い。

「え? あ、あの……すみません」

 私は、体を起こして彼に謝った。
 眠った私は、彼の膝枕で眠っていたのである。それはなんというか、とても失礼なことだろう。

「別に構いませんよ。今日は温かいですからね。眠くなるのも、当然です」
「で、でも、重かったでしょう?」
「いいえ、そんなことはありません。軽すぎるくらいです」

 困惑する私に対して、カルディアスは笑顔を向けてくれた。
 しかし、それですぐに安心できる訳はない。失礼過ぎることをしたということは、自覚しているからだ。

「本当に申し訳ありませんでした。私、失礼なことを……」
「そんなに謝らないでください。その……こう言っては失礼かもしれませんが、あなたは友人の妹ですから、この程度のことで失礼とは思いませんよ」
「で、でも……」
「……もしも、私に申し訳ないと思うのなら、そうやって謝るのをやめていただけませんか? こちらも、そんな感じで来られると逆に申し訳ないというか……」
「そ、そうなんですか?」

 カルディアスの言葉に、私は混乱することになった。
 確かに、ずっと謝れるというのも気分がいいものではないだろう。自分がなんとも思っていないのなら、早く元の態度に戻って欲しいと思うはずだ。
 それがわかって、私は深呼吸をした。とりあえず、心を落ち着かせようと思ったのである。

「えっと……それなら、もう謝るのはやめにします」
「ええ、そうしてもらえると助かります」
「……その、私はどれくらい寝ていたんでしょうか?」
「そうですね……三十分くらいでしょうか?」
「三十分……あれ? アルベルドお兄様との約束は、大丈夫なんですか?」
「ああ、それについては問題ありません。予定していたよりも、時間がかかっているようですから」

 私が寝ている間にアルベルドお兄様との約束の時間が来たのではないか。そう心配した私だったが、それは問題ないらしい。
 色々と迷惑をかけてしまった。そう思って、再び私は謝ろうとした。
 だが、それは思いとどまる。謝らないと言ったのだから、謝ってはいけない。そう思ったからだ。
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