「お前を妻だと思ったことはない」と言ってくる旦那様と離婚した私は、幼馴染の侯爵令息から溺愛されています。

木山楽斗

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19.緊張する二人

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「さて、色々と考えても仕方ないか……よし、エリーム、準備はいいか?」
「うん、大丈夫だよ」
「それじゃあ、行こう」

 私も結構緊張しているのだが、カルディアスの覚悟の決め方は、そんな私よりもすごかった。それだけ、私を連れて両親と会うのが嫌ということなのだろう。
 それでも、覚悟を決めたらしく、カルディアスはゆっくりと屋敷に向かって歩き始めた。そんな彼に、私もついていく。
 屋敷の前には、既に使用人達が並んでいる。色々と躊躇っている間に、あちらの準備は完了しているようだ。

「お帰りなさいませ、お坊ちゃま……」
「あ、ああ……その、父上と母上は?」
「客室でお待ちです」
「そうか……そうか」

 カルディアスは、老齢の使用人とそのような会話をしていた。
 当然のことかもしれないが、彼の両親は屋敷の中で待っているらしい。
 それを聞いて、私も少し緊張してくる。いよいよ、彼の両親に挨拶をするのだと。
 カルディアスの両親には会ったことはある。二人とも、優しい人だ。
 それがわかっていても、緊張はする。私はややこしい立場であるし、受け入れてもらえるとカルディアスに言われても、心配なのだ。

「エリーム、緊張しなくて大丈夫だ。先程も言った通り、二人は君のことを受け入れてくれている」
「うん……わかっているんですけど、やっぱり怖くて」
「……まあ、そうだよな。いくら言っても、緊張しないなんてことはないよな。会ってみるしかないということか」
「そうだね……」

 カルディアスの言葉に、私はゆっくりと頷いた。
 この緊張は、彼の両親に実際に会うまでは解けないのだろう。そのため、覚悟を決めて、彼の両親と対面するしかないのだ。
 そう覚悟を決めた後、私達はゆっくりと屋敷の中に入っていく。屋敷の中は、特に変わった様子はない。至って普通の貴族の屋敷だ。
 この屋敷にも、何度か来たことはある。そのため、少し懐さがあった。ただ、今はそれに浸っている場合ではない。

「父上と母上の所に案内してくれ」
「はい」

 使用人に案内されながら、私達は客室に向かう。
 広い屋敷ではあるが、そこまで着くのにそれ程時間はかからなかった。客室なのだから、当然かもしれないが、玄関からそれ程遠くない場所にあったのだ。

「エリーム、一度深呼吸をしておこう」
「うん、それがいいよね」

 私とカルディアスは、部屋の前まで来てゆっくりと深呼吸をした。
 それにより、少しだけ心が落ち着いた。もうここまで来たのだ。今更引き返すことなどできないのだから、後は進むだけである。
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