溺愛されている妹がお父様の子ではないと密告したら立場が逆転しました。ただお父様の溺愛なんて私には必要ありません。

木山楽斗

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26.旧知の仲

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「遅くなってすまなかったな、レフティア嬢」
「いいえ、早すぎるくらいです」

 クレンド様は、シェリームさん達が出発してから三日後に駆けつけてくれた。
 当然のことながら、それは遅いなんてことはない。別に急ぐ義理があるという訳でもないことから考えると、迅速以上の対応だ。

「事態は大体把握しているつもりだ。それで、ペルリナとロメリアの二人は?」
「助け出しましたよ。アタシがね」
「……まさか」

 クレンド様は、シェリームさんと顔を合わせて目を丸めていた。
 シェリームさんの方も、苦笑いを浮かべている。その反応からして、二人は知り合いということだろうか。

「シェリームさん、まさかあなたとこんな所で会うとは……」
「アタシも驚いていますよ。まさかレフティア様と懇意にしているのがあなただったとは。しかし、随分と立派になられましたね。見違えましたよ」
「シェリームさんの方は、相変わらずですね。以前は助けていただき、ありがとうございました。バルケインさんやドルトさんはお元気ですか?」
「バルケインの爺さんは隠居しました。ドルトの方は、そちらにいますよ」

 シェリームさんの仲間の一人であるドルトさんは、クレンド様に対して手を振っていた。
 どうやら仲間単位で、知り合いであるらしい。ただ、かなり長い間会ってはいなかったような会話だ。

「レフティア嬢、シェリームさん達には子供の頃に助けてもらったことがあるのだ。俺が悪い輩に連れ去られた時、兄上が父上にも内密に依頼を出してな」
「あ、そうだったんですか。ということは……」

 私はシェリームさんが言っていた命をかけてもいいと思えるもう一つの貴族が、誰であるかを理解した。
 それはつまり、ギーゼル様だったということだろう。弟のために、冒険者に依頼した彼をシェリームさんが好ましく思ったことは想像できる。

「しかしあなた達があの親子を助けに行ったということは……」
「ああ、それについては当然、犠牲も出さずに連れ戻しましたよ。といっても、相手は下らない山賊一味でしたからね。あんなのは、後百人いても勝てましたよ」
「……どうやらお父様は、山賊すら見る目がなかったようです」

 シェリームさん達は、出かけてから二日で戻って来た。
 ペルリナとロメリアも、少なくとも命には別状がない状態だ。
 シェリームさん達は、見事に依頼をこなしたのだ。もっとも、当の本人はどこか不満げではあるのだが。

「レフティア様から話を聞きましたが、胸糞悪い話ですよ、まったく。助けた二人も相当な悪女みたいですけど、それ以上にヴェリオン伯爵が許せません」
「なるほど、その辺りについては俺に任せてください。シェリームさん達が好むような結末をお見せしますから」
「上から目線で言うのはよくないのかもしれませんが、お手並み拝見といった所でしょうか?」
「ええ、存分に見ていてください」

 シェリームさんの言葉に、クレンド様は自信ありげに答えていた。
 どうやら彼の方も、何か掴んではいるようだ。これはもしかしたら、お父様に一泡吹かせることができるかもしれない。
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