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25.話しておくべきこと
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シェリームさんとその仲間達によって、山賊の討伐が始まろうとしていた。
彼女の言葉に感化されたのか、ギルドにいた他の冒険者も数名参加してくている。
そんな中私は、クレンド様に連絡をしていた。仮に取り戻せても、ペルリナとロメリアがお父様に捕まってしまったら、何の意味もないからだ。
「シェリームさん、実際の所、勝算はあるのですか?」
「レフティア様、心配はいりませんよ。アタシ達はこれでも手練れですから」
「その……今回の依頼、実は少々入り組んだ事情があるんです。もしかしたら、相手はただの山賊という訳ではないかもしれません」
私は、シェリームさんに対して今回の事件のことを説明することにした。
彼女は信頼できる人だ。この短い間でも、それがわかった。
それなら私も、信頼できる雇用主であるべきだろう。命がかかっているのだから、隠し事なんてなしだ。
「心得ていますよ。レフティア様にも、何か事情があるのですよね?」
「え?」
「隠していたつもりかもしれませんが、隠し切れていませんよ。申し訳なそうにしているのが伝わってきました。あなたは人が良いんでしょう」
シェリームさんの言葉に、私は少し面食らってしまった。
まさかそこまで見抜かれているなんて、思っていなかったからだ。
しかし、考えてみれば当然なのかもしれない。シェリームさんは、どう考えたって一流の戦士だ。洞察力や思考能力も、かなり高いのだろう。
「冒険者なんてのは、金さえ積めば何でもやる奴らです。報酬さえ弾んでくれるなら、アタシは隠し事の一つや二つくらい気にしませんよ」
「……今回の件の裏には、私の父が関与しています」
「……話しちゃうんですか?」
「もちろんです。情報を出し渋った結果、シェリームさんが帰って来られなかったら、申し訳ありませんからね」
シェリームさんは、私が何も話さずともことに当たってくれただろう。
だがそういう人だからこそ、私は益々話したくなった。話さない以外の選択肢など、ないとさえ思えた。
「切り抜けられないというなら、アタシらがその程度の人間だったというだけなんですがね……」
「私としても、救出が失敗したら困るんです。成功する可能性はあげておかないと」
「なるほど、それは確かに道理だ。情報を隠す奴が多すぎて忘れていましたが」
「そういう方々が馬鹿なのでしょう?」
「レフティア様、アタシはあなたのためになら命を賭けてもいいって、今心から思えましたよ。そんな風に思えた貴族は、あなたで二人目です」
シェリームさんは、私に対して豪快な笑みを見せてくれた。
彼女が帰って来た時に、もう一度その笑みを見たいものである。そんな風に思いながら、私は彼女を送り出すことになったのだった。
彼女の言葉に感化されたのか、ギルドにいた他の冒険者も数名参加してくている。
そんな中私は、クレンド様に連絡をしていた。仮に取り戻せても、ペルリナとロメリアがお父様に捕まってしまったら、何の意味もないからだ。
「シェリームさん、実際の所、勝算はあるのですか?」
「レフティア様、心配はいりませんよ。アタシ達はこれでも手練れですから」
「その……今回の依頼、実は少々入り組んだ事情があるんです。もしかしたら、相手はただの山賊という訳ではないかもしれません」
私は、シェリームさんに対して今回の事件のことを説明することにした。
彼女は信頼できる人だ。この短い間でも、それがわかった。
それなら私も、信頼できる雇用主であるべきだろう。命がかかっているのだから、隠し事なんてなしだ。
「心得ていますよ。レフティア様にも、何か事情があるのですよね?」
「え?」
「隠していたつもりかもしれませんが、隠し切れていませんよ。申し訳なそうにしているのが伝わってきました。あなたは人が良いんでしょう」
シェリームさんの言葉に、私は少し面食らってしまった。
まさかそこまで見抜かれているなんて、思っていなかったからだ。
しかし、考えてみれば当然なのかもしれない。シェリームさんは、どう考えたって一流の戦士だ。洞察力や思考能力も、かなり高いのだろう。
「冒険者なんてのは、金さえ積めば何でもやる奴らです。報酬さえ弾んでくれるなら、アタシは隠し事の一つや二つくらい気にしませんよ」
「……今回の件の裏には、私の父が関与しています」
「……話しちゃうんですか?」
「もちろんです。情報を出し渋った結果、シェリームさんが帰って来られなかったら、申し訳ありませんからね」
シェリームさんは、私が何も話さずともことに当たってくれただろう。
だがそういう人だからこそ、私は益々話したくなった。話さない以外の選択肢など、ないとさえ思えた。
「切り抜けられないというなら、アタシらがその程度の人間だったというだけなんですがね……」
「私としても、救出が失敗したら困るんです。成功する可能性はあげておかないと」
「なるほど、それは確かに道理だ。情報を隠す奴が多すぎて忘れていましたが」
「そういう方々が馬鹿なのでしょう?」
「レフティア様、アタシはあなたのためになら命を賭けてもいいって、今心から思えましたよ。そんな風に思えた貴族は、あなたで二人目です」
シェリームさんは、私に対して豪快な笑みを見せてくれた。
彼女が帰って来た時に、もう一度その笑みを見たいものである。そんな風に思いながら、私は彼女を送り出すことになったのだった。
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