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24.折り合い悪く
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冒険者というのは、平たく言ってしまえば何でも屋だ。
ギルドと呼ばれる場所に依頼をすれば、その依頼をできる人が仕事をしてくれる。
ただ、貴族は滅多にそこを利用しない。権力者から最も遠いのが、冒険者達なのだ。
「それで、レフティア様は義理の母君と妹君を助けたいと」
「ええ、そうなんです」
私は、ギルドにいる冒険者達に呼びかけていた。
しかし反応は、かなり悪い。冒険者からしても、貴族というものは心証が良くないのだろう。
別に私個人は、冒険者を嫌っている訳ではない。だが、一般的なイメージとして貴族は冒険者を見下しがちだ。その影響が、このギルドにもあるのだろう。
それはもちろん、理解はしていた。
だからこそ私も、今まで冒険者を頼ったことはない。
だが、今回は彼らにしか頼めない事情がある。公的機関では対応が遅くなるし、何よりお父様の手が入る可能性があるのだ。
「……どうか皆さんの力を貸していただけないでしょうか。ことは一刻を争うのです」
「……おい、どうするよ」
「どうするって……貴族のために命をかけるなんて、俺はごめんだぜ」
「……」
冒険者達は、まったく腰を上げようとはしなかった。
山賊の討伐には、命の危機もつきものだ。躊躇う人が多いのも、当然かもしれない。
ここで断られてしまったら、最早諦めざるを得ないというのが、正直な所だ。これ以降は、お父様の意思が介入する。あの二人を助け出すのは、まず不可能だろう。
「……まったく、だらしのない奴らだ」
そんなことを思っていると、辺りに低い女性の声が響いた。
それを発したのは、ギルドの端の方にいる筋骨隆々な大柄な女性であるだろう。彼女は、ゆっくりと私の方に歩み寄って来て、隣に並んだ。
「この町の冒険者は腰抜けばかりだ。こんなお嬢さんの頼み一つ聞き入れられないなんて」
「な、なんだよ、藪から棒に」
「山賊なんかにびびって、よく冒険者なんてやれるね。信じられないよ」
「別に俺達は、山賊にビビっている訳じゃあ……」
「それじゃあ何かい? 自由を主とする冒険者が、貴族だからとか下らないことに囚われているって訳かい。アタシはそんなの気に食わないね」
大柄の女性は、辺りの男達に対して一喝していた。
その言葉に、他の冒険者たちは萎縮している。たった一人に大勢が気圧されているようだ。
「レフティア様で、良かったですかね? アタシは、シェリームって言います」
「シェリームさん、ですか」
「あなたがどのような事情を抱えているかはわからないが、力を貸して欲しいんでしょう? それなら、アタシとアタシの仲間が力を貸します。もちろん、報酬は弾んでもらいますよ?」
「ええ、もちろんです。どうか私の義母と義妹を助けてください」
シェリームさんが差し出した手を、私は力強く握った。
よくわからないが、強い味方を得られたような気がする。これならあの二人を無事に取り戻すことができるかもしれない。
ギルドと呼ばれる場所に依頼をすれば、その依頼をできる人が仕事をしてくれる。
ただ、貴族は滅多にそこを利用しない。権力者から最も遠いのが、冒険者達なのだ。
「それで、レフティア様は義理の母君と妹君を助けたいと」
「ええ、そうなんです」
私は、ギルドにいる冒険者達に呼びかけていた。
しかし反応は、かなり悪い。冒険者からしても、貴族というものは心証が良くないのだろう。
別に私個人は、冒険者を嫌っている訳ではない。だが、一般的なイメージとして貴族は冒険者を見下しがちだ。その影響が、このギルドにもあるのだろう。
それはもちろん、理解はしていた。
だからこそ私も、今まで冒険者を頼ったことはない。
だが、今回は彼らにしか頼めない事情がある。公的機関では対応が遅くなるし、何よりお父様の手が入る可能性があるのだ。
「……どうか皆さんの力を貸していただけないでしょうか。ことは一刻を争うのです」
「……おい、どうするよ」
「どうするって……貴族のために命をかけるなんて、俺はごめんだぜ」
「……」
冒険者達は、まったく腰を上げようとはしなかった。
山賊の討伐には、命の危機もつきものだ。躊躇う人が多いのも、当然かもしれない。
ここで断られてしまったら、最早諦めざるを得ないというのが、正直な所だ。これ以降は、お父様の意思が介入する。あの二人を助け出すのは、まず不可能だろう。
「……まったく、だらしのない奴らだ」
そんなことを思っていると、辺りに低い女性の声が響いた。
それを発したのは、ギルドの端の方にいる筋骨隆々な大柄な女性であるだろう。彼女は、ゆっくりと私の方に歩み寄って来て、隣に並んだ。
「この町の冒険者は腰抜けばかりだ。こんなお嬢さんの頼み一つ聞き入れられないなんて」
「な、なんだよ、藪から棒に」
「山賊なんかにびびって、よく冒険者なんてやれるね。信じられないよ」
「別に俺達は、山賊にビビっている訳じゃあ……」
「それじゃあ何かい? 自由を主とする冒険者が、貴族だからとか下らないことに囚われているって訳かい。アタシはそんなの気に食わないね」
大柄の女性は、辺りの男達に対して一喝していた。
その言葉に、他の冒険者たちは萎縮している。たった一人に大勢が気圧されているようだ。
「レフティア様で、良かったですかね? アタシは、シェリームって言います」
「シェリームさん、ですか」
「あなたがどのような事情を抱えているかはわからないが、力を貸して欲しいんでしょう? それなら、アタシとアタシの仲間が力を貸します。もちろん、報酬は弾んでもらいますよ?」
「ええ、もちろんです。どうか私の義母と義妹を助けてください」
シェリームさんが差し出した手を、私は力強く握った。
よくわからないが、強い味方を得られたような気がする。これならあの二人を無事に取り戻すことができるかもしれない。
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