ファルデイル王国の聖女は、王国の第一王女であった。
末妹である彼女は、一人娘ということもあり、国王や王子達から甘やかされて育ってきた。聖女になったのもその一環で、魔法使いとしての実力がないにも関わらずその地位にあったのだ。
そんな彼女に対して、平民の魔法使いであるエスティーナは、ある時無礼を働いてしまった。
業務に参加しようとする彼女に対して、強い言葉を使ってしまったのである。
それは王国において、すぐに問題となった。
国王や王子達はエスティーナを許さず、彼女は死罪を言い渡されることに、なってしまったのである。
そんなエスティーナを救ったのは、隣国であるハーデン王国だった。
ハーデン王国は、牢屋に捕らえられていた彼女を救い、ファルデイル王国の行いを批判したのだ。
結果としてエスティーナは、国を揺るがす出来事の中心に立つことになっていた。彼女はハーデン王国において協力者達とともに、ファルデイル王国を変えることになったのである。
文字数 8,970
最終更新日 2025.01.22
登録日 2025.01.21
侯爵家の令嬢であるアルティアは、家で冷遇されていた。
彼女の父親は、妾とその娘である妹に熱を上げており、アルティアのことは邪魔とさえ思っていたのである。
しかし妾の子である意網を婿に迎える立場にすることは、父親も躊躇っていた。周囲からの体裁を気にした結果、アルティアがその立場となったのだ。
だが、彼女は婚約者から拒絶されることになった。彼曰くアルティアは面白味がなく、多少わがままな妹の方が可愛げがあるそうなのだ。
父親もその判断を支持したことによって、アルティアは家に居場所がないことを悟った。
そこで彼女は、母親が懇意にしている伯爵家を頼り、新たな生活をすることを選んだ。それはアルティアにとって、悪いことという訳ではなかった。家の呪縛から解放された彼女は、伸び伸びと暮らすことにするのだった。
程なくして彼女の元に、婚約者が訪ねて来た。
彼はアルティアの妹のわがままさに辟易としており、さらには社交界において侯爵家が厳しい立場となったことを伝えてきた。妾の子であるということを差し引いても、甘やかされて育ってきた妹の評価というものは、高いものではなかったのだ。
戻って来て欲しいと懇願する婚約者だったが、アルティアはそれを拒絶する。
彼女にとって、婚約者も侯爵家も既に助ける義理はないものだったのだ。
文字数 38,221
最終更新日 2025.01.22
登録日 2025.01.08
伯爵家の令嬢であるアルフィアは、横暴な父親に辟易としていた。
自己中心的で高慢な彼は、伯爵家において暴君であった。アルフィアは父に大切なものを奪われて、ひどい扱いを受けてきたのである。
そんな彼女は、婚約破棄されたことによって、父親から罵倒されていた。
そこでアルフィアは限界を迎えて、父に復讐することを決めたのである。
決意を固めた彼女だったが、ある事情から第三王子が主催するお茶会に参加することになった。
そこでアルフィアは、公爵家の令息であるグラートと出会う。その出会いをきっかけとして、彼女の周囲の状況というものは、大きく変わっていくのであった。
文字数 18,481
最終更新日 2025.01.20
登録日 2025.01.17
聖女の選抜において、公爵令嬢であるファナティアは平民に敗北を喫することになった。
しかし彼女は、潔く敗北を受け入れており、むしろ平民の聖女を支えようと前向きな気持ちでさえいた。
だが聖女は、職務当日に行方不明となってしまった。
さらに相次いで、王太子もいなくなる。二人はほぼ同じタイミングで、姿を消してしまったのだ。
そのせいで、ファナティアは聖女としての仕事を請け負うことになった。
選抜において二番目の成績だった彼女に、自然と役目は回ってきたのである。
懇意にしていた第三王子ウルグドの助けも借りて、ファナティアはなんとか聖女として務めることができていた。
そんな彼女の元に、王太子が現れる。彼は聖女と駆け落ちしていたが、心を改めて帰って来たという。
ただ当然のことながら、それはファナティアとしても王国としても、受け入れられることではなかった。既に王太子に、居場所などはなかったのである。
文字数 23,574
最終更新日 2025.01.12
登録日 2025.01.06
伯爵令嬢であるアフェリアは、以前から懇意にしている第二王子と婚約することになった。
前々から気が合っていたこともあって、王家と伯爵家が自然と縁談をまとめたのである。
それに関して、第二王子は運命であると表した。彼曰く、出会った時からそれは決まっていたことだったというのだ。
友人として好感を持っていたこともあって、アフェリアは第二王子の言葉に気を良くしていた。
しかし彼女は直後に知ることになる。第二王子が、他の令嬢と関係を持っているということを。
彼はアフェリアのことを裏切り、さらには弟である第三王子との婚約の話が出ている令嬢と浮気していたのである。
そのことを第三王子に明かすと、彼は兄である第一王子に掛け合うことを提案した。
その結果、王家はアフェリアに協力することになる。第二王子の行いは、王家にとっては何よりも忌むべきものだったのだ。
文字数 53,513
最終更新日 2024.12.23
登録日 2024.12.03
体調不良の双子の妹に代わって舞踏会に参加したイフェリアは、度肝を食らうことになった。
婚約者がいない者が集うその舞踏会に、彼女と婚約しているストラークが来ていたからだ。
しかも彼は、イフェリアを双子の妹の方だと勘違いして口説いてきた。「妹の君の方が魅力的だ」と姉の方に語りかける彼に対して、イフェリアは怒りを覚えていた。
そんな彼女は、舞踏会で公爵家の令息であるルヴェルスと出会った。
彼はイフェリアのことをイフェリアだと見抜いており、そんな彼女が妹の振りをして舞踏会に参加していることに違和感を覚えていたのだ。
そんなルヴェルスに事情を話すと、彼は憤った。ストラークの行動というものは、ルヴェルスにとっても不可解なものだったのだ。
ルヴェルスにいざという時は協力してもらうことを約束したイフェリアは、妹にも事情を伝えることにした。
すると彼女も、ひどく怒りを覚えているようだった。ストラークの主張というものは、妹にとっても到底受け入れられるものではなく、彼女の怒りは心頭に達していた。
こうしてイフェリアは、婚約者と決別することを決意する。そして彼女は知ることになった。ストラークという人間が、どういった人間であるのかということを。
文字数 18,526
最終更新日 2024.12.20
登録日 2024.12.16
公爵令嬢の長女であるアルネリアは、人質同然に隣国の王太子に嫁ぐことになった。
王家の血を引く彼女は、嫌がった妹に代わって関係改善のための人柱になったのである。
長年争っていたこともあって、アルネリアは隣国で冷遇されるものだと思っていた。
しかしながら、彼女を待っていたのは熱い歓迎である。隣国の人々は、アルネリアに温かかったのだ。
その中でも特に夫となる王太子ラゼルトは、アルネリアに対して熱を出していた。
特に面識がなかったにも関わらず、彼はアルネリアを溺愛していたのである。
訳がわからないアルネリアだったが、彼女にとって悪いことではなかったこともあって、とりあえずそれらの寵愛を受け入れるのだった。
文字数 13,144
最終更新日 2024.11.28
登録日 2024.11.26
子爵家の令嬢であるカルネリアは、婚約者と良好な関係を築いていた。
しかしながら、彼は浮気していた。婚約者がいる身でありながら、とある令嬢と関係を持っていたのである。
そのことを知ったカルネリアは、当然婚約者のことを糾弾した。
すると彼からは、意外な言葉が返ってくる。彼はカルネリアが弟と仲が良いことに腹を立てており、その当てつけに浮気したというのだ。
それにカルネリアは、ひどく驚くことになった。
家族と仲が良いということを、まるで浮気しているかのように糾弾してくる婚約者に、彼女は困惑することしかできなかったのである。
しかしカルネリアは、気を取り戻して婚約者を再び糾弾した。
彼の主張は浮気する理由にはならないし、それで同情を誘うこともできない。カルネリアはそう婚約者を切り捨てるのだった。
文字数 17,538
最終更新日 2024.11.26
登録日 2024.11.22
両親と姉を亡くした私は、姉の夫であるお義兄様を始めとするコークス公爵家の人々に支えられていた。
そんな公爵家によって紹介された婚約者から、私は婚約破棄を告げられた。彼は私の一家が呪われているとして、婚約を嫌がったのだ。
それに誰よりも怒ったのは、お義兄様であった。彼は私の婚約者だった人を糾弾して、罰を与えたのである。
それからお義兄様は、私に対して過保護になった。以前からそのような節はあったが、それがより過激になったのだ。
私にとって、それは嬉しいことでもある。ただあまりにも過保護であるため、私は少し気が引けてしまうのだった。
文字数 18,002
最終更新日 2024.11.22
登録日 2024.11.18
侯爵令嬢であるクーレリアは、とある領地を管理する王太子アーゼスの婚約者として選ばれた。
王位を継承するまでの間、二人はその領地を切り盛りすることになったのである。
しかしながらアーゼスは、クーレリアのことを疎んでいた。彼にとって、自分よりも能力的に優秀である彼女は、自分を邪魔する煩わしいものでしかなかったのだ。
そこでアーゼスは、独断でクーレリアとの婚約を破棄した。彼は自ら見出した他の令嬢を婚約者として、領地を運営していくことを決めたのである。
だがそれからしばらくして、アーゼスは窮地に立たされることになった。
彼の領地の運営には強引な面があり、それを正しく修正できるクーレリアもいなくなったことによって、ガタが出始めていたのだ。
それによって、アーゼスは次期国王から下ろされようとしていた。領地の運営は、彼の能力を見極めるためのものであったのだ。故に大きな失敗をしたアーゼスに国は任せられないと、判断されたのである。
そこでアーゼスは、クーレリアを頼ろうとしていた。彼女の力を借りれば、領地を安定さえて自身が置かれている状況が改善されると、思ったのである。
しかしクーレリアは、その要請を受け入れなかった。第二王子でありアーゼスに代わって次期康応候補筆頭となったイドラスと懇意にしていた彼女には、王族としての地位も通じず、彼はそのまま失脚するしかなくなったのである。
文字数 14,375
最終更新日 2024.11.16
登録日 2024.11.14
公爵家の妾の子であるクラリアは、とある舞踏会にて二人の令嬢に詰められていた。
彼女達は、公爵家の汚点ともいえるクラリアのことを蔑み馬鹿にしていたのである。
公爵家の一員を侮辱するなど、本来であれば許されることではない。
しかし彼女達は、妾の子のことでムキになることはないと高を括っていた。
だが公爵家は彼女達に対して厳正なる抗議をしてきた。
二人が公爵家を侮辱したとして、糾弾したのである。
彼女達は何もわかっていなかったのだ。例え妾の子であろうとも、公爵家の一員であるクラリアを侮辱してただで済む訳がないということを。
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文字数 112,380
最終更新日 2024.11.14
登録日 2024.10.01
妾の子であるエリーゼは、伯爵家に置いて苦しい生活を送っていた。
伯爵夫人や腹違いの兄からのひどい扱いに、彼女の精神は摩耗していたのである。
支えである母を早くに亡くしたエリーゼにとって、伯爵家での暮らしは苦痛であった。
しかし出て行くこともできなかった。彼女の母に固執していた父である伯爵が、エリーゼを縛り付けていたのだ。
そんな父も亡くなって、兄が伯爵家の実権を握った時、彼はエリーゼを追い出した。
腹違いの妹を忌み嫌う彼は、エリーゼを家から排除したのだ。
だが、彼の憎しみというものはそれで収まらなかった。
家から離れたエリーゼは、伯爵家の手の者に追われることになったのである。
しかし彼女は、色々な人の助けを借りながらそれを跳ね除けた。
そうしている間に、伯爵家には暗雲が立ち込めていた。エリーゼを狙ったことも含めて悪事が露呈して伯爵家は非難を受けることになったのである。
そんな時に、兄はエリーゼに助けを求めてきた。
だが当然、彼女はそんな兄を突き放した。元々伯爵家の地位などにも興味がなく、ひどい目に合わされてきた彼女にとって、兄からの懇願など聞くに値しないものであったのだ。
文字数 18,689
最終更新日 2024.11.09
登録日 2024.11.05
伯爵令嬢であるクレーナは、ある時婚約者であるラカールから婚約破棄を告げられた。
彼は浮気しており、その相手との間に子供ができたことから、クレーナのことを切り捨てざるを得なかったのだ。
しかしながらラカールは、煮え切らない態度であった。彼は渋々といった感じで、浮気相手と婚約しようとしていたのだ。
身勝手なことをしたというのに、責任を取る確固たる覚悟もない彼に対して、クレーナは憤った。だがラカールは、婚約破棄するのだから関係ないと、その言葉を受け入れないのだった。
婚約者から離れたクレーナは、侯爵令息であるドラグスと出会った。
二人はお互いに惹かれていき、やがて婚約を結ぶことになるのだった。
そんな折、二人の前に元婚約者であるラカールが現れた。
彼はドラグスのことを批判して、クレーナには相応しくないと批判してきたのである。
「浮気して婚約破棄したあなたが、私の新しい婚約者にとやかく言う権利があるとお思いですか?」
しかしクレーナは、ラカールをそう言って切り捨てた。
そこで彼女は知ることになった。ラカールが自分の知らない間に、随分と落ちぶれていたということを。
文字数 26,428
最終更新日 2024.11.06
登録日 2024.10.29
伯爵令嬢であるフェレーナは、同じく伯爵家の令息であり幼馴染でもあるラヴァイルの元に嫁いだ。
しかし彼は、それからすぐに伯爵家の屋敷から姿を消した。ラヴァイルは、フェレーナに家のことを押し付けて逃げ出したのである。
それに彼女は当然腹を立てたが、その状況で自分までいなくなってしまえば、領地の民達が混乱し苦しむということに気付いた。
そこで彼女は嫁いだ伯爵家に残り、義理の父とともになんとか執務を行っていたのである。
それは、長年の苦労が祟った義理の父が亡くなった後も続いていた。
フェレーナは正当なる血統がいない状況でも、家を存続させていたのである。
そんな彼女の努力は周囲に認められていき、いつしか彼女は義理の父が築いた関係も含めて、安定した基盤を築けるようになっていた。
そんな折、ラヴァイルが伯爵家の屋敷に戻って来た。
彼は未だに自分に権力が残っていると勘違いしており、家を開けていたことも問題ではないと捉えていたのである。
しかし既に、彼に居場所などというものはなかった。既にラヴァイルの味方はおらず、むしろフェレーナに全てを押し付けて遊び呆けていた愚夫としてしか見られていなかったのである。
文字数 22,685
最終更新日 2024.10.28
登録日 2024.10.22
聖女であるリルーナは、王国の危機に忙しく働いていた。
魔物の大量発生や異常気象によって、混乱する国を彼女はなんとか守っていたのである。
しかしそんな彼女は、王族達から糾弾されることになった。いつまで経っても事態を収拾できない聖女に責任があるとして、追放する判断を下したのである。
だが、その判断に反発する者達もいた。
彼女とともに働いていた魔法使い達や騎士団、国民の多くやいくつかの貴族達は、リルーナこそが要であることをよくわかっていたからだ。
それによって王族達は、窮地に立たされることになった。
そんな最中、リルーナは事態の収拾に務めていた。追放を言い渡されたにも関わらず、彼女は王国に暮らす人々のために動いていたのである。
文字数 18,110
最終更新日 2024.10.19
登録日 2024.10.15
伯爵令嬢であるアレシアは、婿を迎える立場であった。
しかしある日突然、彼女は婚約者から婚約破棄を告げられる。彼はアレシアの妹と関係を持っており、そちらと婚約しようとしていたのだ。
そのことについて妹を問い詰めると、彼女は伝えてきた。アレシアのことをずっと疎んでおり、婚約者も伯爵家も手に入れようとしていることを。
このまま自分が伯爵家を手に入れる。彼女はそう言いながら、アレシアのことを嘲笑っていた。
しかしながら、彼女達の父親はそれを許さなかった。
妹には伯爵家を背負う資質がないとして、断固として認めなかったのである。
それに反発した妹は、伯爵家から追放されることにになった。
それから間もなくして、元婚約者がアレシアを訪ねてきた。
彼は追放されて落ちぶれた妹のことを心配しており、支援して欲しいと申し出てきたのだ。
だが、アレシアは知っていた。彼も家で立場がなくなり、追い詰められているということを。
そもそも彼は妹にコンタクトすら取っていない。そのことに呆れながら、アレシアは彼を追い返すのであった。
文字数 22,195
最終更新日 2024.10.15
登録日 2024.10.09
伯爵令嬢であるアルティリアは、婚約者からある日突然婚約破棄を告げられた。
彼はアルティリアが上から目線だと批判して、自らの妻として相応しくないと判断したのだ。
それに対して不満を述べたアルティリアだったが、婚約者の意思は固かった。こうして彼女は、理不尽に婚約を破棄されてしまったのである。
そのことに関して、アルティリアは実の父親から責められることになった。
公にはなっていないが、彼女は妾の子であり、家での扱いも悪かったのだ。
そのような環境で父親から責められたアルティリアの我慢は限界であった。伯爵家に必要ない。そう言われたアルティリアは父親に告げた。
「私は私で勝手に生きていきますから、どうぞご自由にお捨てになってください。私はそれで構いません」
こうしてアルティリアは、新たなる人生を送ることになった。
彼女は伯爵家のしがらみから解放されて、自由な人生を送ることになったのである。
同時に彼女を虐げていた者達は、その報いを受けることになった。彼らはアルティリアだけではなく様々な人から恨みを買っており、その立場というものは盤石なものではなかったのだ。
文字数 43,822
最終更新日 2024.10.03
登録日 2024.09.17
男爵家の令嬢であるアムリアは、若くして妻を亡くした伯爵令息ヴィクトールの元に嫁ぐことになった。
しかしヴィクトールは彼女との間に距離を作っており、二人は冷めた夫婦生活を送っていた。
その原因は、ヴィクトールの前妻にあった。亡くなった前妻は嫁いだことを好ましく思っておらず、彼に厳しく当たっていた。そしてそのまま亡くなったことにより、ヴィクトールに深い傷を残していたのである。
そんな事情を知ったことで、アムリアは彼に寄り添おうとしていた。
それはヴィクトールも理解していたが、今の彼には彼女を受け入れるだけの心構えができなていなかった。それ所か、しばらく距離を開けることを提案してきたのである。
ヴィクトールの気持ちも考慮して、アムリアはその提案を受け入れることにした。
彼女は実家に戻り、しばらくの間彼と離れて暮らしたのである。
それからしばらくして、アムリアはヴィクトールと再会した。
すると彼の態度は、以前とは異なっていた。彼は前妻との間にあったしがらみを乗り越えて、元来持っていた愛をアムリアに対して全力で注ぐように、なっていたのである。
文字数 17,598
最終更新日 2024.09.27
登録日 2024.09.23
子爵令嬢であるラルーナは、平凡な令嬢であった。
ただ彼女には一つだけ普通ではない点がある。それは優秀な妹の存在だ。
魔法学園においても入学以来首位を独占している妹は、多くの貴族令息から注目されており、学園内で何度も求婚されていた。
そんな妹が求婚を受け入れたという噂を聞いて、ラルーナは驚いた。
ずっと求婚され続けても断っていた妹を射止めたのか誰なのか、彼女は気になった。そこでラルーナは、自分にも無関係ではないため、その婚約者の元を訪ねてみることにした。
妹の婚約者だと噂される人物と顔を合わせたラルーナは、ひどく不快な気持ちになった。
侯爵家の令息であるその男は、嫌味な人であったからだ。そんな人を婚約者に選ぶなんて信じられない。ラルーナはそう思っていた。
しかし彼女は、すぐに知ることとなった。自分の周りで、不可解なことが起きているということを。
文字数 19,757
最終更新日 2024.09.25
登録日 2024.09.20
伯爵令嬢であるティセリアは、父の横暴に対して怒りを覚えていた。
彼は、妻であるティセリアの母を邪険に扱っていたのだ。
しかしそれでも、自分に対しては真っ当に父親として接してくれる彼に対して、ティセリアは複雑な思いを抱いていた。
そんな彼女が悩みを唯一打ち明けられるのは、親友であるイルーネだけだった。
その友情は、大切にしなければならない。ティセリアは日頃からそのように思っていたのである。
だが、そんな彼女の思いは一瞬で打ち砕かれることになった。
その親友は、あろうことかティセリアの父親と関係を持っていたのだ。
それによって、ティセリアの中で二人に対する情は崩れ去った。彼女にとっては、最早どちらも自身を裏切った人達でしかなくなっていたのだ。
文字数 22,239
最終更新日 2024.09.19
登録日 2024.09.13