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7.感謝などなく
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「やめる? まあ、いいんじゃないかしら。あなたの代わりなんて、いくらでもいる訳ではあるし」
私が辞職することを伝えると、ロメリア様はそのように返してきた。
私の代わりがいくらでもいるなんて、普通に考えたらあり得ない発言である。私に匹敵する力を持っているのは、サリーム様以外にいないというのに。
「最初からあなたは気に入らなかったのよね? 平民の癖に聖女なんて生意気だもの」
「……」
「目障りなあなたがいなくなれば、私の気も少しは晴れるかもしれないわね?」
ロメリア様は、私に対して忌々しいという表情でそう言ってきた。
別に私は、彼女に何かをしたという訳ではないはずである。むしろ聖女補佐として彼女を支えてきたはずなのだが、感謝の気持ちなどはまったくないようだ。
しかしそんなことは既にわかっていたことではある。彼女は人に感謝をするような人間ではない。感謝するくらいなら、罵倒する人間である。
「……失礼します」
「ふん……」
私は、一言だけ言い残してロメリア様の部屋から立ち去った。
これ以上、彼女と話す意味はない。その時間は私にとってただストレスになるだけだ。
それに彼女の機嫌を少しでも損ねると、何かしらの措置を取られる可能性もある。ここはさっさと立ち去る方が賢明だ。
「……レムバル様?」
「……」
部屋から出た私は、こちらを気まずそうな顔をしながら見ているレムバル様の存在に気付いた。
当然彼にも、私が聖女補佐の地位から退くことは告げている。その時も確か、このような顔をしていたはずだ。
私にとっても、彼と顔を合わせるのは気まずかった。結局この王城を去ることになってしまったというのは、彼には少々申し訳がない。
「ロメリアはあなたの退職を認めてくれましたか?」
「あ、はい。私の代わりなんていくらでもいると言っていました」
「なるほど、やはり彼女は何もわかっていないようですね……」
レムバル様は、呆れたような笑みを浮かべていた。
当然のことながら、彼は私の価値を理解してくれている。ロメリア様の発言がどれ程愚かであるか、よくわかってくれているのだろう。
「あなたの代わりが務まるとしたらサリームくらいしかいないというのに……」
「サリーム様に、お願いするのですか?」
「一応はそのつもりです。しかしながら、恐らく彼女は受けてくれないでしょう。昔から、ロメリアとは相性が悪いですし、今の王城の現状は知っているでしょうからね」
「……そうですね」
サリーム様なら、私の代わりを問題なくこなすことができるはずだ。
ただ、彼女はこの王城の現状を軽蔑するような人である。そのため、ロメリア様の補佐になんて絶対にならないだろう。
「……でも彼女なら、レムバル様の味方になってくれるのではないですか?」
「……いえ、それが今の所特に連絡もしてこないのです」
「それは妙ですね……」
そこで私は、今までずっと頭から抜けていたことに気付いた。
サリーム様なら、この王城の現状を知った場合何かしらの行動を起こすような気がする。それがないというのは、どういうことなのだろうか。
「いえ、彼女のことですから不甲斐ない僕達に手を貸す気はないということかもしれません。親族とはいえ、やはりこちらの問題である訳ですからね……」
「なるほど、確かにそれもサリーム様らしいですね」
レムバル様の言葉に、私は納得していた。
サリーム様は、曲がったことが嫌いな人だ。そして、自分にも他人にもそれなりに厳しい人である。
だから、レムバル様達に任せているということかもしれない。この状況を覆せなければ終わりだと考えている可能性は、充分ありそうだ。
「……もしも時間が許すようなら、サリームの元を訪ねてみたらどうですか?」
「サリーム様の元を、ですか? 平民の私が?」
「彼女はあなたを友人だと思っています。きっと快く受け入れてくれますよ」
「それは……そうかもしれませんね」
レムバル様の言う通り、サリーム様が私の訪問を断るとは思えない。
身分の差はあるが、私達は充分に友人であるといえる関係である。もちろん色々と他にも懸念点はあるが、訪ねてみるのもいいのかもしれない。
「さて、あまり引き止めるのもよくありませんね……ラムーナさん、どうかお元気で」
「はい、レムバル様……今までありがとうございました」
私はレムバル様に対して、ゆっくりと頭を下げた。
彼は本当に私に良くしてくれた。レムバル様には、感謝の気持ちでいっぱいだ。
そんな彼の父と妹が今回の騒動の元凶であるというのは、なんとも悲しいことである。同じ家族であるのに、どうしてこうも違うのだろうか。
私が辞職することを伝えると、ロメリア様はそのように返してきた。
私の代わりがいくらでもいるなんて、普通に考えたらあり得ない発言である。私に匹敵する力を持っているのは、サリーム様以外にいないというのに。
「最初からあなたは気に入らなかったのよね? 平民の癖に聖女なんて生意気だもの」
「……」
「目障りなあなたがいなくなれば、私の気も少しは晴れるかもしれないわね?」
ロメリア様は、私に対して忌々しいという表情でそう言ってきた。
別に私は、彼女に何かをしたという訳ではないはずである。むしろ聖女補佐として彼女を支えてきたはずなのだが、感謝の気持ちなどはまったくないようだ。
しかしそんなことは既にわかっていたことではある。彼女は人に感謝をするような人間ではない。感謝するくらいなら、罵倒する人間である。
「……失礼します」
「ふん……」
私は、一言だけ言い残してロメリア様の部屋から立ち去った。
これ以上、彼女と話す意味はない。その時間は私にとってただストレスになるだけだ。
それに彼女の機嫌を少しでも損ねると、何かしらの措置を取られる可能性もある。ここはさっさと立ち去る方が賢明だ。
「……レムバル様?」
「……」
部屋から出た私は、こちらを気まずそうな顔をしながら見ているレムバル様の存在に気付いた。
当然彼にも、私が聖女補佐の地位から退くことは告げている。その時も確か、このような顔をしていたはずだ。
私にとっても、彼と顔を合わせるのは気まずかった。結局この王城を去ることになってしまったというのは、彼には少々申し訳がない。
「ロメリアはあなたの退職を認めてくれましたか?」
「あ、はい。私の代わりなんていくらでもいると言っていました」
「なるほど、やはり彼女は何もわかっていないようですね……」
レムバル様は、呆れたような笑みを浮かべていた。
当然のことながら、彼は私の価値を理解してくれている。ロメリア様の発言がどれ程愚かであるか、よくわかってくれているのだろう。
「あなたの代わりが務まるとしたらサリームくらいしかいないというのに……」
「サリーム様に、お願いするのですか?」
「一応はそのつもりです。しかしながら、恐らく彼女は受けてくれないでしょう。昔から、ロメリアとは相性が悪いですし、今の王城の現状は知っているでしょうからね」
「……そうですね」
サリーム様なら、私の代わりを問題なくこなすことができるはずだ。
ただ、彼女はこの王城の現状を軽蔑するような人である。そのため、ロメリア様の補佐になんて絶対にならないだろう。
「……でも彼女なら、レムバル様の味方になってくれるのではないですか?」
「……いえ、それが今の所特に連絡もしてこないのです」
「それは妙ですね……」
そこで私は、今までずっと頭から抜けていたことに気付いた。
サリーム様なら、この王城の現状を知った場合何かしらの行動を起こすような気がする。それがないというのは、どういうことなのだろうか。
「いえ、彼女のことですから不甲斐ない僕達に手を貸す気はないということかもしれません。親族とはいえ、やはりこちらの問題である訳ですからね……」
「なるほど、確かにそれもサリーム様らしいですね」
レムバル様の言葉に、私は納得していた。
サリーム様は、曲がったことが嫌いな人だ。そして、自分にも他人にもそれなりに厳しい人である。
だから、レムバル様達に任せているということかもしれない。この状況を覆せなければ終わりだと考えている可能性は、充分ありそうだ。
「……もしも時間が許すようなら、サリームの元を訪ねてみたらどうですか?」
「サリーム様の元を、ですか? 平民の私が?」
「彼女はあなたを友人だと思っています。きっと快く受け入れてくれますよ」
「それは……そうかもしれませんね」
レムバル様の言う通り、サリーム様が私の訪問を断るとは思えない。
身分の差はあるが、私達は充分に友人であるといえる関係である。もちろん色々と他にも懸念点はあるが、訪ねてみるのもいいのかもしれない。
「さて、あまり引き止めるのもよくありませんね……ラムーナさん、どうかお元気で」
「はい、レムバル様……今までありがとうございました」
私はレムバル様に対して、ゆっくりと頭を下げた。
彼は本当に私に良くしてくれた。レムバル様には、感謝の気持ちでいっぱいだ。
そんな彼の父と妹が今回の騒動の元凶であるというのは、なんとも悲しいことである。同じ家族であるのに、どうしてこうも違うのだろうか。
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